表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一体どうしろと  作者: 猫宮蒼
一章 自衛のために好感度とかもっとわかりやすくしてほしい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/267

予想以上の効果が発動



 さて次の日。


 朝というには少し遅く、昼というにはやや早い、そんな時間帯に起きた私たちは、自警団サブリーダーの人から近隣住民に連絡したので、あの洞窟をどうにかできるならやって構いませんよと許可をもらった。


 まぁ、夜の方が魔物としては活発に行動するらしいけど、流石に夜に爆破は騒音問題的にヤバいのでじゃあご飯食べたらどうにかしに行こうぜ、という流れになった。

 まぁそうよね。いくら私が結界で包んでるとはいえ、下手したら大爆発を起こす可能性のある火精霊イフリートの息吹を所持してるとか、考えたら気が気じゃないかもしれない。


 他のギルダーの皆さんは遅くまで見回ってた人たち以外は既に起きている。


 海側の魔物に気をとられてるせいか、町周辺に出没する魔物がちょいちょいいつも以上に接近してこっちにちょっかいかけようとしてるとかって話みたいだし、そういうのを駆除するのにそこそこ時間がかかったっぽい。


 とはいえ、それぞれの報告を聞く限り応援で呼ばれたギルダーの皆もそこまで魔物と戦ったりはしていないようだ。いや、見かけるし遭遇するけど、思っていた以上ではない……といった感じか。


 私たちとは別方向を見回っていた砂浜でやっぱりサハギンと遭遇したっていう人たちも、何体かは倒したけど倒し損ねたのはさっさと海に逃げたようだし。ただ、逃げたと思われるのが私たちが見回ってた方角っぽいのでやっぱあの洞窟付近に何かあるのでは? と彼らも言っていた。

 今回参加したギルダーの中に魔物の生態を調べるのを専門にやってる、って人がいたんだけど、その人の言葉なので余計になんていうか信憑性があったよね。


「巣とかかな……」


 なんて呟けば、サハギンは群れで行動する事が確かにあるけど住処に関してまでとなるとそうでもない、と言われた。

 つまり、普段群れてるのは仲間だから一緒に行動するけど、仲間であって家族ではないから一緒には暮らさない、という事らしい。

 人間に当てはめると家族と一緒に住むのは別にそこまでおかしな話じゃないけど、お友達と一緒にずっとは暮らさないよねっていうやつかな。お泊り程度ならよくあるけど。ルームシェアするような年齢ならともかく幼いうちにお友達と一緒にずっと暮らすとかってなると、当人たちは特に何とも思わなくても外から見るとちょっと違和感があるかもしれない。


 そういう感じのコミュニティを作るという事は、それなりに知能があるわけで。


 うーん……つまり中途半端な事しちゃうと私たちが帰った後で『逆襲のサハギン! 怒りのメルドーラ壊滅作戦!!』みたいな展開が待ち受けてる可能性もある、と。


 やっぱ海の底も一応調べるべきかなぁ……


 ともあれ、許可を得たので早速洞窟を潰しに行く事になったわけだ。


 洞窟に行くのは勿論実行犯の私! そしてカイルさんとルーウェンさん。あとはサブリーダーと数名、うちからギルダーの人たちもついてくる事になった。


 全員で行っちゃうと洞窟以外の場所で何かあった時に対処できないからね。もし洞窟破壊して直後にサハギン大量に押し寄せてくるようならサブリーダーさんが他の人を呼びに行く手筈になってる。

 まぁ、多分どうにかなる。常に最悪の事態を想定しろって言葉があるけど、あまりそればっかり考えてると何かこう……本当にその悪い結果を引き寄せるんじゃないかな、っていう気がね、しなくもないっていうか。


 噂をすれば影、みたいな感じとは違うけど似てるとは思う。


 とはいえ、やる事はとてもシンプル。

 洞窟の中に入って火精霊イフリートの息吹を瓶ごと置いてきてそのまま洞窟から出てそこで瓶を覆ってた結界を解除するだけだ。

 置く場所をちょっと考える必要があるかもしれないけど……まぁ、水の底に沈めたりしない限りはどうにかなるはず。



 というわけで早速洞窟の中に行って、瓶を置いて、出てきました!


「そういうわけなので、皆さん念の為に耳を塞いでいて下さい。……念の為目を閉じて口を少し開いておいた方がいいかもしれません」


 何か昔見た映画でそういうのがあった気がするんだよね。爆発するから耳を塞げ! みたいに言われてその通りにしたものの、思った以上に音が大きすぎて鼓膜とかに衝撃きちゃって結局鼓膜が破れた! みたいなやつ。で、その後に耳を塞げ! って同じ展開がまた別のシーンであったんだけど、その時に前と同じ失敗しないように口を少し開いて空気の逃げ道っていうんですかね? 何か作ってたなぁと。

 口閉じてても鼻から空気が出るだろって話だけど、勢いがあると鼻の穴とか小さいから衝撃の方が大きい場合鼻も怪我をするのでは……? とか思ったんだけど、映画だったからな。実際どうなのかわからないんだよね。観てる時はそれっぽい説得力があったけど。


 しまった。まさか転生して爆弾みたいなの扱う事になるなんて思ってなかったからそこら辺全然調べてなかったわ。

 いや、っていうか、まずそもそも、転生する事前提で前世でお勉強するか? って話よね。


 私の根拠があるんだかないんだかわからない言葉に、皆案外素直に従ってくれた。


 最悪鼓膜が破れたら治癒魔法で治すからね……! 治るからって痛い目見るの前提なのもどうかと思うけど。


 全員何となく準備ができたみたいなので、私も同じように耳を塞ぎつつ口を若干開いて目を閉じて――瓶にかけてた結界を解除した――ら。



 ごがぁあああああああん!!


 爆音というより轟音といった方が正しいくらいの大きな音が響き渡った。あまりの音に耳塞いだ意味とは? って感じだし、何なら空気がビリビリと振動するっていうのを体験するとか思ってもなかった。

 耳塞いでたの意味あった? って思ったけど鼓膜が破れる事態を回避できたと思えばあったんだと思う事にしよう。むしろ耳塞いでたのに鼓膜破れましたって人、いる? 見た感じ大丈夫そうかなとは思うけど、目を閉じてた人たちはあまりの音にびっくりして目を見開いてた。


 夜のうちにやらなくて正解だったな。

 夜にやってたら、メルドーラの住民の皆さん一斉に飛び起きてたぞ絶対。

 騒音ってレベルじゃない。事前に洞窟破壊しますので、とか教えてもらってなかったら天変地異でも起きたのかと思って飛び起きる人ばかりだったに違いない、ってくらいの音だったわ。

 正直自分でドン引いてる。


 なんなら周囲の人たちもドン引いてる。でしょうね。自分でやっておきながら周囲の反応は当然だと思うわ。


 ってか、実際の火精霊イフリートの息吹ってあんなえげつない威力出るんだ……下位互換って言われる火蜥蜴サラマンダーの息吹はじゃあどの程度の威力に……?


 火精霊イフリートの息吹をもっとたくさん持ってきてたらと考えるととんでもないなとしか思えない。いやだってこれ……下手したら小さな町や村なら壊滅できるだけの火力にならんか?

 リタさん……結界しか身を守る手段がない私にちょっとは他の手段をって思って教えてくれたのはいいけど、これは逆に……ヤバない? って思うんだけど。


 洞窟があった場所はすっかり崩壊してしまって何もない。

 いや、崩れた岩壁だったものが海に沈みきらないまま見えてるけど、随分と見晴らしがよくなったのは確かだ。


「いやいやいや、威力ヤバすぎだろ!?」


 最初に声を上げたのはカイルさんだった。


「オレの知ってる火精霊イフリートの息吹より威力ヤバいぞこれ」

「えっ、そうですか?」

 いかんせん私はリタさんから教えてもらったこれが標準だと思ってるからそんな事言われても……って感じだ。ゲームだと威力は敵に与えるダメージとして表示されるだけで、強い! ってのはまぁそこそこわかるけど実際敵じゃない物に使った時にどうなるか、なんてのはハッキリわかる感じで表現されてなかったしな……


 あ、でも今回は洞窟を壊すのに使ったからまぁ結果として問題ないって感じだけど、これ例えばどっかの鉱山とかで落石があってそれをどうにかするのに使う、ってなってたら下手したらヤバかったかもしれないなとは思う。落石だけ吹っ飛ばすつもりで使ったら周辺まで一緒に、ってなると流石にマズイよね。


 ……まぁ、そういった事態が果たしてあるかはわかんないけど。


 ともあれ洞窟はすっかりなくなってしまったし、サハギンがそこから出てくるとしてもこれからはすぐにわかるわけだ。

 もしかしたらそこから出てこなくなって別の所から、ってなるかもだけど。


 ちなみに。

 あまりにもあまりな爆音のせいで連絡がいってたにも関わらずご近所さんたちが確認にやってきたのはこの直後のことだ。


 いやうん、私もね、流石にあんだけの音したら気にならないはずがないとは思うけども。


 更にこの後しばらく砂浜で待機してたけど、別段海からサハギンが出てくる事もなかった。

 洞窟もろとも吹っ飛んで海に沈んだ可能性もあるけど……完全に大丈夫そう、とは言い切れないのがどうにもこうにも。



「……夜あたりに、もしかしたら」


 事の次第を見守っていたギルダーの一人がそんな事を呟く。


 まぁ、確かに騒ぎが起きた今海から出ても危険だろうし、静かになった夜あたりにメルドーラの町に報復に出てくる可能性はあるよね。

 他の皆もそう思ったらしく、今日の夜の見回りはより重点的に行おうという話になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ