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一体どうしろと  作者: 猫宮蒼
一章 自衛のために好感度とかもっとわかりやすくしてほしい

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どう転んでもフラグの気配



 リタさんのいない生活にも大分慣れてきました。こんな早くに慣れるのもなんだか薄情なんじゃないかと思うけども、とにかく独り立ちできないと後々困るのは自分なのでむしろこれだけ早いうちに慣れて良かった、と思う事にしておこう。


 細々と薬屋やって生活してるけど、もしギルドにいかないで薬屋だけだったらきっともっと長引いたんじゃないかなぁ、と思わなくもない。

 そう考えるとやっぱ適度に人と接するのって必要なんだな、と。

 前世だったら逆に引きこもって人との接点減らしていきたい感じだったんだけど、こっちの世界それやるとマジで世捨て人状態だもんな……


 人の顔と名前を憶えるのはあまり得意じゃないとはいえ、それでもギルドだとかそれ以外の場所でちょこちょこ顔を合わせる人はいるので、最近何となく知り合いが増えてきたなという実感もある。

 とはいえ知り合いの大半がギルド関係なので、ほぼ野郎ばかり。なんともむさくるしいなと思えるけれど贅沢は言えない。

 というかここで私が女の子との出会いが欲しいとか言ってみろ。間違いなく恋愛沙汰と思われてしまう。そしてふざけんな俺だってそうだよとか言われるのが目に見えてる。

 そうじゃなくて友人枠で募集したいんだけども……まぁ、今の私男だと思われてるから過ぎた望みかなー……


 それでなくとも何だか最近浮ついてるんだ空気が。


 ちょっと前に花祭りとか終わったばっかなのに、何でこんな空気からして浮かれてるんだろうか、と思う。


 それをギルド長に質問してみれば、お前マジか、みたいな顔をされたし実際言われた。


「お前星祭りもまさか去年不参加かよ……」

「えっ、なんですかまた祭り?」

「花祭りとはまた違うけどなぁ。星祭りだ星祭り。聞いた事くらいはあるだろ?」

「えー……? いや正直ちょっと記憶にないですね」

「マジか」

「マジです」


 花祭りの時はリタさんの手伝いで外に全然出ない日のうちに終わってたって感じだったけど、星祭り……?

 リタさんそんなん言ってたかな……いつからやるのそれ。


「星祭りってのはな、まぁなんだ。初夏に行われる祭りの一種だ。夏になる前、とにかく星がきれいな日があってな。その日に星に願い事をすれば叶うとかどうとかって伝承があったんだったかな……ともあれそういう感じのそこまで仰々しいやつじゃない細やかなイベントってやつだな」


「へー」


 ビックリするくらい興味ないです、みたいな声が出た。


 いや、なんていうか星がきれいって言われるとちょっと見てみたい気はするけど、記憶にない原因もよくわかったわ。多分寝てた。

 大体リタさんと暮らしてた時夜更かしとかそんなしなかったから、基本早寝早起きだったから間違いなく寝てた。多分普通に過ごして寝るちょっと前に窓の外から見える星とかわー、綺麗だなーとか思った可能性はあるけど、そんなお祭りがあったなんて知らないし間違いなく普通に寝てた。


 というか、星見てお祈りするだけ?

 なんかそれはそれで中途半端だな。


 短冊を笹に飾るとか、何か星の飾りを模した何かに願いを込めて飾るとか、そういう感じですらない、と。


「ま、あんま関係ないって奴のが多いからな。恋人同士が二人で星に願いをかけると末永く幸せになれるとかいう話が出回る程度のものだし」

「なんだリア充専用イベントか」

「リア……なんだって?」

「あぁいえこっちの話です」


 要するに星を見てキャッキャウフフイチャコラするだけのイベントって事だな?

 成程私には無関係のイベントじゃねーの。


「だがな、そういう細やかなものであっても不届きな奴ってのは出るもんだ」


 おっと? 何か雲行き怪しくなってきた感じかな?


「恋人と二人、星空の下逢瀬を重ね……ってーのは聞こえはいいが、要は人気の少ないところで二人だけだ。そういうのを狙う犯罪者だとか、一人暮らしの若者でそのイベントに参加して留守になってる家を狙うやつだとか、まぁ、出るんだよなぁ……」


 出る、のところで両手をだらんと下げてオバケっぽいジェスチャーしてくれたギルド長だけど、それ出るの意味違うやつでは。


「家を狙う奴はわかりやすいから警備するのも楽っちゃ楽なんだが、人を狙う方はな……わざわざどこそこで落ち合って、なんて宣言するでもないし、他の奴らと鉢合わせしないように人の少ない所少ない所とまばらに点在するわけだ」

「あー、つまり周囲に人がいないから、そいつら狙ってる連中からするととてもやりやすい、と」

「そうなんだ。男の方だけボコって女は連れ去るだとか、ここ数年はそうでもないけど昔は結構酷いもんだって聞いてる」

「毎年あるならそれなりに自衛しろって言いたいし、なんならやめちまえそんなイベントと言いたいところだけど、やる奴は何言ったってやるわけですしね」

「そうなんだよなぁ……イチャつくなら普段好きなだけできるだろ、と思うわけだが」

「年に一度の星祭り、という付加価値がついた日はその日だけですもんね。記念日とかそういう言葉にそわっとくる人たちからすれば外せない、と」

「お前さんホントに星祭り知らなかったクチか? 話の理解度早すぎて怖いんだが」

「そうですか? 概要聞けば大体察するでしょこういうの」


 いやマジか……みたいな目を向けられたけど、いやだってこれ、話聞けば聞く程「あっ……(察し)」ってなるやつじゃんね。


 前世でも似たようなイベントはあったけど、どっちかってーとこの犯罪あれでしょ。空き巣とかはほら、お盆とかの帰省するとか夏休みシーズンだから子供たちと家族で旅行とかで家を数日留守にするの確定してる時みたいなもんでしょ?

 昔と違ってSNSとかでこれからどこそこ出発でーす、なんてやらかしたらこれから家を空けます、って言ってるも同然だしそういうの狙って犯罪やらかすなんて話とかあったしな。

 ここにそういうSNSみたいなのはないけど、星祭りで恋人、もしくは恋人になりそうな一歩手前くらいの人たちがこの日に賭ける……! みたいな感じで家を空けるのわかってるなら、そりゃ狙いどころよね。家にいるかどうかから調べないといけない空き巣とか、いないってわかってるだけで最初の手間が省けてるもの。


「で、一応毎年自警団のやつらが見回りしてるんだ。割と厳重に」

「それでも出る、と」

「そうなんだよなぁ……」


 こういう話聞くと人は愚かだ、って思っちゃうよね。やるなよ! 成功率上がってそうだからってやるなよわざわざ! 馬鹿なの!? それで捕まっても誰も同情しないからな!


「で、うちでも何名かは毎年見回りに出てる」

「へぇ……」

 なんかだんだんその先の展開が読めてきたぞ……


「それ、今年ボクも参加しろって感じの話です?」

「できるならしてほしいが、無理ならいいぞ」


 おっと。てっきり強制参加のイベントかと思ったけど違ったらしい。


「花祭りと違って屋台なんかも恋人向けのアクセサリーとか売るのが少し出るだけで、食べ物とかはないからな」

「星見てアクセ買ってさっさとイチャついて帰れとばかりな雰囲気が漂ってる気がするの、ボクの気のせいじゃありませんよね」

「まぁ大体はそうだな。街全体で、って感じの催しじゃぁねぇし」


 確かに言われてみればそうかもしれない。

 日が沈んで星がちらちら瞬いてるうちならまだお子様も起きてるだろうけど、あまり遅い時間に外に出すには危険もある。

 というか、そのためだけに夜更かしさせるにしても、そこまでさせる必要性もないように思える。

 もっとこう、花祭りの時みたいに大人から子供まで参加できますよ、って感じならともかくどう聞いてもお子様は楽しくなさそうな感じだもんなぁ。割と恋人向け。大人であっても恋人がいなかったら意味がなさそう。


 こどもだから恋人がいない、ってわけでもないだろうけど、まぁ危険だよなぁ。何かそういうの狙う奴も出るっていうなら。だとしたら親が外に出るのを許すはずもない。


 しかしまぁ……ちょっと前に盗賊の一味とか捕まえたりしたはずなのにその手の犯罪者減った感じしないのなんなんだろ……ウルガモットの街の人口考えたら確かにあれが全ての犯罪者ってわけじゃないんだろうけど、それにしたっていすぎでは?


「……んー、まぁ、多分暇なんで一応見回り参加します」


 強制イベントってわけじゃないなら別に参加しなくてもいいかな、と思ったんだけど、折角だし参加しとこうかなって。いや何か下手にイベントに関わるのもちょっとどうかなーと思わなくもないんだけど、一度も星祭りとやらに参加した事がない、ってどこかで話題に出たらそれはそれで別のイベントが発生しそうな予感がしたし。


 恋人はいないけど見回りとかで何度か……みたいな事だけ言っておけば周囲もそこまで率先して一度くらい参加しとけよー、みたいな事は言ってこないだろう。きっと。


「で、その星祭りっていつなんです?」

 とりあえず見回り参加はいいんだけど、具体的にいつなのかわからないと参加も何もあったもんじゃないよね。

「そうだなぁ……今日から数えて……七日後だな」

 来週かぁ……っていうか、二、三日前とかに浮かれるならまだしも、もう既に空気が浮かれてるの早すぎない?

 せめて前日とかにさぁ、明日晴れるかしら、みたいな浮かれっぷりならまだわかるんだけど来週だよ!?


 リア充を呪う連中とかが雨乞いとかしたりしてないだろうか。

 前日とかだと手遅れ感あるけど一週間あれば雨乞いとか何かこう、成功するんじゃないかな、みたいな気がしなくもないよね。フライングで四日前くらいに雨とか降って終わりそうな気もするけど。


 そういや前世とかだと七夕の日とか毎年天気悪くて天の川? 何それ美味しいの? って感じだったけどこっちは違うんだろうか。違うんだろうなぁ……今こうして私が生きてるここは現実の世界だと思ってるけど、ゲームの世界観とか考えるとイベントの日に雨天中止とかあるはずがない。何かこう、よくわかんないけど不思議パワーでイベントの日はそういう感じになるに違いないんだ。


 まぁでもそんな事ないよって感じで土砂降りになったらそれはそれで面白いんだけどな。その場合星祭りってどうなるんだろう。

 もし天候悪化で星空が見えないとかだとどうなるんですか? ってギルド長に聞いてみたけど、いや一応毎年晴れる日を選んでるはずだぞ、って言われた。

 もうちょっと突っ込んで聞けば、どうやら星祭りは毎年同じ日にやるわけじゃないらしい。今年はこの日が晴れるからこの日が星祭りです、って何かそういうお知らせがあるらしい。

 そっかー。

 私そういうの全然知らないんだけど、もうちょっと俗世に興味持つべきだろうか。

 ぶっちゃけ日々の生活で精一杯な部分あるからそこまで目が向かないってのもあるにはあるけれども。


 ともあれ、来週は私も星祭りの見回りという予定が確定した。

 参加するのとしないのとで、どっちがアレなんだろうな……って思うんだけど、まぁ見回りならそこまでとんでもなイベントにはならないと思いたい。

 その考えがフラグなんだぜ、とか言われるとどうしようもないけど。


 というか、どっちに転んでも何かのフラグになりそうな気がするんだよね。

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