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一体どうしろと  作者: 猫宮蒼
一章 自衛のために好感度とかもっとわかりやすくしてほしい

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討伐戦



「なぁエルテ、ちょっといいか?」


 ギルド長に何やら深刻なお顔でもって呼び止められたのは、今日も一日お手伝いしたしそろそろ帰るか、という時だった。

 えっ、何だろう。延長のお願いとかかな?

 帰る直前という事で思わずそんな事を考えてしまったのは仕方のない話だ。

 まぁ延長のお願いだったとしても、まず今日そんな怪我人が来たりしたわけでもないから違うだろうなとは思ってたけど。


「実は今度、魔物討伐をする事になった」

「はぁ。それ普段もやってませんか?」

「個人で対処するやつじゃなくて、もうちょっと大規模なやつだ」


 とても真面目なお話ですよと言わんばかりな表情だったので茶化すわけにもいかず、とりあえず相槌を打つ。


「大規模っていうと……自警団と連携して、とか騎士団と協力して、とかいう?」

「そこまでの規模じゃないが、まぁ自警団と騎士団からも数名くるって話はある」

「成程結構な大規模ですね」


「とはいえ、自警団や騎士団からくるのは指揮をする奴だろうし、基本的に今回の主戦力はギルダーだ」

「ほほう」

「で、だ。そこでなんだが」

「もしかしてボクもそれに参加しろって事ですか? 非戦闘員なのに?」

「いや、場所が場所だから連れていくには難しいと思う。

 ただ、その日は朝から討伐戦が終わるまでギルドに待機していてほしい」

「あ、なんだ。そんな事でしたか。いいですよ」


 私があっさりと頷けば、ギルド長はあからさまにホッとした表情を浮かべてみせた。

 場所が場所、という事はあまり広い場所などでもなくて、私がついていくには難しいような所なんだろう。でもって私に護衛として誰かをつける余裕まではない、といったところなのかな?

 結界で身を守れるとはいえ、流石にだからって危険な場所に連れてくわけにもいかないよね。

 一応結界張りながら回復魔法も使えるけれど、その場合魔力の消費量が増えるわけで、そうなると怪我人を治すために連れていったはずなのに結局結界に費やした分治せる数が減るかもしれない……と考えると効率はよろしくない。

 それならある程度安全な後方に置いておいてそこで治してもらった方がいいんだろうけど、それもちょっと難しい立地とかなんだろうな、とは理解できた。


 まぁ立地的に戦うのに厳しいような所でもギルダーの人たち的には慣れっこなんだろうとは思う。

 それならある程度怪我をした時点で撤退して安全なところで怪我を治してもらった方がマシ、という事なんだろう。立地的に、って言い方からしてそんな大勢で立ち入れるような所でもなさそうだし。


 ギルドに待機しておけ、というのはつまり、ウルガモットからそう遠くない場所なんだろう。そういや最近魔物がよく出るって話も出てたし、そいつらの巣がそういった場所にあったって判明したのかもしれない。

 人の出入りがあまりないような場所だと、わざわざ行こうってならないから気付くのが遅れるのはよくある話だ。

 そもそも人の出入りがない時点でそこは若干とはいえ危険かもしれない場所なわけで。そんなところを気軽にちょっと覗いてくるか、とはならないだろう。

 最近魔物の出没する回数多くなってきたな……もしかして、みたいなノリでこっそり調べに行った結果ドンピシャでした、って事はあるかもだけど。


 とりあえず出発する時間帯がいつからかはわからないけど、それなりに早い時間に出るのは確定なんだろう。

 で、朝から私がギルドで待機して、討伐がある程度終わるまではギルドにいる、と。


 いつもなら大体日没前にはギルドから帰るわけなんだけど、討伐終わるまで、となると場合によっては日没後にもいないといけないかもしれないって事か。いやまぁ、一応ギルドにも寝泊りできる部屋はあるみたいだから、いるだけであっても問題はないんだけども。

 とはいえ、戦うのはギルダーの皆さんとはいえ、私自身はここで待機となるとそこそこ暇を持て余す可能性もあるよな。

 何か暇をつぶせるような本でももって来るべきだろうか?

 いや、怪我人が多く運び込まれたらそもそも読書決め込む時間なんてないのかもしれないけど。

 うーん、悩むな。

 リタさんの持ってた本の中で怪我の手当てとかそういうの書かれたやつとかならもってきてても大丈夫だろうか。

 漫画とかはないからどのみち役に立ちそうだから持ってきました、で納得されるかな。

 本の内容次第ではおれたちが苦労して戦ってる間にお前何読んでんだよ、とか言われる可能性もあるけど、怪我に関するやつなら何かあった時のために事前に調べてました、とかでいけるはず。


 始まる前から自己保身に走る感じなのどうかなとは思うけど。


 とりあえずその今度ってのはいつなんだろうと思って聞いてみれば、なんと三日後との事。

 今度っていうか最初から三日後って言ってくれてもいいのよ?


 回復魔法は勿論だけど、念の為ポーションとかの傷薬とかも持ち込んでおいた方がいいだろうか。

 お薬に関しては無償で提供ってわけじゃないから、使うのであればギルドでのお買い上げになる。

 ギルド長に確認してみたら、頼むとあっさり言われたので薬屋に置いてる商品からいくつか見繕っておこう。


 とりあえず帰ったら店の看板に三日後は臨時休業とでも書いておくか。

 どうしても用のあるお客に関してはギルドに来てもらうように書いとけばどうにかなるはず。


「しかし最近盗賊やら魔物やら、何か多くないですか?」

「そうだな。なんだかよくない事の前触れみたいであまりいい気分じゃねぇやな」


 うわ、ギルド長のセリフが何かのフラグみたいでイヤだ。

 自分としても別にそういうフラグを立てるつもりで言ったわけじゃないんだけど、今のセリフだけなら明らかに何かのフラグになってそうなのがどうにもこうにも。

 ウルガモットの街そのものでは特に治安が悪くなったりした感じもしてないのに周辺だけが妙に物騒だよな、とは思ったけど。

 ウルガモット以外の場所で何か治安が悪化するような事があって、とかでもその場合そっちで事件とか発生するよね。わざわざこっちに来る意味ないはず。知らんけど。


 これが明らかにウルガモットで治安悪化するような事があって、街で暮らしていけなくなって仕方なく外に出たはいいけど他に暮らすアテがなくて盗賊になりました、とかならまだわからなくもないんだけど、他の町や村とかでそうなったとしてもわざわざこっちに来る意味がわからない。都会なら仕事があるかもしれない、と思って来たはいいけどそうでもなくて……うーん、無いとは言い切れないけれども。


 はたまたウルガモットで何かをやらかそうとしている何某かがここに魔物を集めたり盗賊がやってくるようにしている……ゲームじゃねぇんだぞ。いや、半分くらいゲームだったわ。一応この世界知り合いが作ったフリゲと同じ世界観ぽいわ。ゲームの中に入りこんじゃいました、とかではないから完全にゲームとは言えないだけで。


 ゲームっぽい世界である、というのは否定できないわけで。

 知り合いの作るゲームの方向性として、不穏なものは割とよくある話だったから何かの陰謀説があってもおかしくはない。

 王道的展開で魔王が復活する、とかいうやつはないと思うけど、いっそ魔王が復活とかのがまだわかりやすい、みたいに思う事はあるかもしれない。


 よくない事の前触れ、って言われて確かにそれっぽいとは思ったけど。

 じゃあそのよくない事ってなんだ、ってなると具体的な案が出てこない。いや、よくない事が確実に起きると決まったわけでもないから具体的にこういう事があるかもしれない、と言えるだけのものがないってだけか。



 ともあれ。

 三日後には私はギルドで待機してなきゃいけないって事だけは確定している。

 まずは無事にその討伐戦とやらが終わる事を祈るとしよう。祈りが何に届くかまではわからないけど。


 ギルド長に確認したらここに所属しているギルダーの大半が討伐に出るらしいので、そういう意味ではそれなりに大規模だ。

 もっと大規模なものとなると自警団や騎士団がメインで出る事もあるだろうし、そういうのはギルドはお手伝いに回る事もあるみたいだけど……それに比べればそうでもないとはいえ、それでもギルドの大半が出るのだ。

 大規模って言っても過言じゃない。


 街の護りは自警団や騎士団がいるので問題はないけれど、今回の討伐にはつまり私の知り合いであるギルダーはほぼ全員出るってわけで。

 ……ルーウェンさんとかディットさんとかカイルさんとかマトハルさんとか、まぁ、強い人たちだから大丈夫だとは思うんだけども。


 これがもしゲームで何かのイベントとかだったとして。

 もしそうならいくら強くてもイベント戦で負け確定イベントとかなら死人が出る可能性もある。


 この世界はゲームじゃない、とわかってはいるんだけど、でも世界観的に知り合いの作ったフリゲ。ゲームみたいな展開になったりするはずもない、と断言できないのがつらい。しかも仮にゲームの内容まんまの展開がありますよ、となったとしてもだ。

 私の知るゲーム内容と既に異なってるから私にできる事はほぼ無いと言ってもいい。私が知り合いのフリゲでこの世界観と似たものをやったとはいえ、それは途中までだったし尚且つ今の私は主人公でもない。

 私の知る主人公は既に仲間の一人でもあったフレッドと結婚してるって話だし、続編の可能性を考えたとしても……続編だったとして、そうだとしてじゃあ自分の知る原作知識的な物は全く意味を成さない。


 こういう考えに陥ると大体同じところで堂々巡りになるのが困りもの。



 当日はとにかくすぐに魔法が発動できるように前日はしっかりご飯食べて睡眠とって英気を養っておかなきゃな……考えすぎて結果として睡眠不足だとかからくる体調不良になりました、じゃ役立たずもいいとこだからね。


 討伐する日がそもそもすぐ迫っていた事もあって、その日はあっという間に訪れた。

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