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一体どうしろと  作者: 猫宮蒼
一章 自衛のために好感度とかもっとわかりやすくしてほしい

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掛け持ち尋問官フラグをへし折っておく



 結論から言わせてもらおう。

 どうにかなった。


 というのもですね、一応ディットさんがやらかしたやつを一先ず隠蔽……じゃなかった、治しておこうと思った結果なんですが。

 剣を抜くじゃないですか。流石に刺さったまま治すと問題しかないので。

 で、抜いたら血がぼたぼたっと落ちたわけです。

 傷は治したのでさてじゃあ仕方ないからどういう感じで尋問すればいいんだろうなー、と悩んでたところ、大男、頑なに刺された方の腕側を見ようとしない。


 もう治ってるんだから別にそっち見ても怪我はしてないんだから何か問題あるか? って思って観察してみれば、どうやら血が駄目な模様。

 殴り合いとかそういう荒事は慣れてるようなのに血が苦手ってどういう事? と思うけど、でも考えたらほら、前世でも男の人とか結構血が駄目、って人いたなって……


 女は一定の年齢になったら月に一度は見るの確定してるようなものだし……とはいえ、怪我の状態によっては自分の血も駄目、って人いるから確かにね、殴り殴られは平気でも血がドバっと出るのは無理、って人がいてもおかしくはない。殴り合った場合に出るのなんて鼻血か口の中切って出る血が大半だろうし。

 それ以外の部分から自分が思った以上に出血する、というのは……苦手というか感覚的に無理だと思う人がいても何もおかしなことじゃない。


 鞭でしばかれた時は赤くなる程度で皮膚が裂けて血が出るまではやられてないから平気だったんだと思う。あと、位置的に自分が見えない部分だから平気だったか。


 けど血が駄目っていうならとてもわかりやすい。


 毎回ディットさんが剣でぶっ刺すわけにもいかないだろうから、大男の靴を脱がせて裸足にした状態で、結界発動。

 今回の結界は相手をぶん殴るために出したわけじゃないから結構細かな操作が必要だったけど、とりあえず足の爪を引っこ抜いたよね。


 深爪とかさ、あれもやらかした時点で結構痛いしなんなら最悪皮膚と爪のくっついてるギリギリ部分から血が出る事もあるけど、あれでも結構痛い! って思う事あるのに爪を剥がすわけだから当然ダメージはそれ以上。ついでに血もドバっと出た。指先って神経集まってるからね……手の方にしなかったのは鎖と手枷で上の方にあって私からだとかなり上の方にあるからだよ。見えにくいからコントロールを高確率でミスりそうだなって。


 男はというと、目に見えない結界が爪を剥がすとかいうとんでもな結果に盛大に叫んだ。ついでに足から出た血にこれまた顔を真っ青にしていた。


 剥がした時点でそのまま治せば下手したら今度は巻き爪の恐怖が待ってるわけだけど、一度でお話してくれるかどうか不安だったので、剥がした爪をちゃんとくっつくように元の位置に合わせて回復魔法かけて再び爪を剥がす、を何度か繰り返していたら泣きながらお話してくれるって事になったので、今回の尋問もどうにかなった。いや、ディットさんが感情に任せてとはいえやらかしてくれて助かったわ。あれヒントになってたもんなぁ。


 とはいえ、私も別に尋問官とかやってるわけじゃないんで、こういう事があるたびに毎回呼び出されるのも困る。前回と今回が上手くいったからって次も上手くいくとは限らないもんね。


 なのでヴィンセントさんにはその旨をお伝えして次からはやらないよ、と言っておいた。

 ついでに痛みで駄目なら次からは快楽責めでもやっておけ、と。

 いや、あの、うん。

 大男の尋問で何かいい方法なかったっけなー、って前世で使えそうな知識をあれこれ思い出そうとしていた結果何でか即落ち二コマ、とかいう単語が浮かんでしまってですね……

 あっ、そういや人間てある程度の苦痛には耐えられるけど快楽に耐えるっていうのは難しいって何かの本で読んだ気もするぞ、となりましてですね。


 まぁほら、男性だって一応穴が一つはあるわけだし、メス堕ちさせるくらいできないわけじゃないでしょう、と。

 その提案をした時点でヴィンセントさんが顔を青くしていたけれど私の知った事ではない。


 ついでにある程度方法をざっとメモに書いて渡したけど、それを受け取る手が震えてたのはどうしてだろうね?


 ん? あぁ、もしその快楽堕ちとか実践するとなったらやるのって騎士団の人だもんね。冷静に考えるとそりゃやりたくないよな。何が悲しくて野郎の尻を……おっと、これ以上はやめておこう。

 騎士団の人も大変だなぁHAHAHA☆

 ちなみにそんな方法を押し付けた私を、ディットさんはなんだかとても生温かい目で見ていた。

 その表情は……一体……どういう感情から出るものなんだろうか……


 グッジョブ! とばかりに親指立てられたけど、でもその表情はとてもグッジョブって言ってる顔じゃなかったんだよなぁ……

 一体どういう表情なのそれ……とは思ったけれど、下手に藪をつついた結果気まずい思いをしそうなので私は見なかった事にする。まかせろ、スルーは得意だ。恐らく。


 なんというかこれから先、犯罪者として牢にぶちこまれた男性が場合によってはメスにされちゃう人が出るのかもしれないのか……と考えると色々と大変な事になっちゃったなぁ……という気はしているんだ。一応は。

 うん、もしかしたらその中で開けてはいけない扉を開く者も出てくるかもしれないし、トラウマを発症する者も出るかもしれない。でもまぁ、毎度毎度尋問のたびに私が呼び出される可能性とかちょっと……と思うのも仕方ないわけで。


 そもそも私の職業一応薬屋さんだぞ。

 あとギルドのお手伝いの回復要員。


 どう考えても尋問とか拷問とは対極の位置にいる存在だと思うんですよね。それが毎度のように尋問のために呼び出されてたらそのうち何かうちの薬屋にまで物騒なイメージとかつくかもしれない、って考えるとさぁ……やっぱ早々に次はないよって言っておくしかなくない?


 これが薬屋とかやらないってもっと前に決めててでも仕事が決まってない、とかだったら場合によってはそっちに就職した可能性もあるけど。いやでも騎士団には入れないから自警団とかか? ギルダーになるのに特に条件はなかったと思うけど、騎士団とか自警団はテストとかあったりするんだろうか。

 無いほうがおかしいかな。考えてみれば軍隊とか警察とかそういう系統の組織なわけだし。

 ギルドはどっちかっていうと傭兵とかそっち側だから、ある程度の実力は必須、って感じしかしないけども。


 ……いや、仮に私がそっち方面に就職したとして、今日から私尋問官! とかそれはそれでどうなんだろう。私のメンタルそこまで強靭じゃないから途中で精神病みそう。やっぱ薬屋で正解では?

 まぁ薬屋だけでやってけるかどうか、って考えると微妙な部分もあるけど。

 でも魔物が出るこの世界、傷薬の類は常に需要があるから高品質なお薬とか作れるなら食いっぱぐれる心配はそこまでないんだよな……お店にお客が来なくても場合によってはギルドに売り込みに行くとかやればどうにか……


「それにしてもエルテ、きみの結界見るたび思うんだけどとんでもないよね」

「そう、ですか?」

「普通は結界って対象を覆って身を護るものだろう?」


 一応仕事は終わったから依頼終了したよ、の報告がてらギルドへ戻る途中でディットさんがしみじみとそんな事を言い出した。

 まぁ確かに結界ってそういうイメージ強いよね。


 自分や仲間を包み込んで守るもの。もしくは誰かの手に渡らないように物を覆うようにして手出しができないようにするもの。

 多分この世界の大半の人のイメージはそういうものなんだろう。


 しかし私は完全にこの世界の住人というわけでもない。前世がほら……

 そして私は前世で暇潰しとかに漫画とか小説とか面白そうなのはジャンル問わず手を出したりしていた。

 そういった作品を見て、読んで、時として固定概念を壊されたものだってあった。


 私、とあるゲームをするまでは盾はあくまでも防具の一つであって武器になるとか思ってなかったからね。

 でも確かに皮の盾ならともかく鉄製の盾ならぶん殴れば武器になるわな、って納得したものだ。

 流石に身体全体を覆うような巨大な盾を自分でぶん回して敵を殴れ、ってなったら無理だろうけど、小型の盾ならいけると思う。


 盾だけじゃない、別のゲームでは文房具を武器に化け物と戦ったりしたものだってあった。

 攻撃力はそりゃ大した事なかったけど、でもやろうと思えば何でも武器になる、というのはそういったゲームから学んだわけで。むしろある程度強くなったら舐めプで遊ぶ感じでやらかしてた気がするけど。


 更に他のゲームではユニーク武器、とかいう見た目どう見たって武器にならないだろう、みたいなのが強力な武器になったりしたものだってあった。

 見た目がどう見ても武器じゃないからそんなのぶん回して戦場を駆け抜けるキャラクターとか色んな意味でシュールで楽しくてつい全キャラ分揃えたりだとかしたものだ。


 今あげた例が全部ゲームなのはさておき、漫画とかでもバトルものだと割とえっこの先どうすんの勝てるのこれ!? みたいな展開が多かったりしたので、そこから王道展開から奇策を用いたりする展開まで色んな展開を見てきた結果でもある。

 そう、結界は守るためのものだけど、身を護る手段は一つじゃない……!


 そして攻撃は最大の防御っていう言葉もある。


 つまり、結界を武器に戦っても構わんのだろう……? とかいう考えに至っても何もおかしくないわけで。

 むしろ私自身は別にとても強いとかそういうの一切ない一般市民なので、この結界を駆使しないと魔物やら賊やらがそこかしこにいるこの物騒な世界では早々に死んでしまいかねない。


「まぁそうですね。でも」

「でも?」

「結界で身を守るだけだと長期戦になったりするので」


 例えば街の外とかで盗賊に囲まれたとしよう。

 結界で自分の身を覆って守ったとして、盗賊がかわるがわる結界を壊そうと攻撃仕掛けたりしてきたとして、一人だけが延々頑張ってる状況だとしても、そいつが疲れたら他の仲間にバトンタッチされたりするわけだ。

 複数で一斉に壊そうとする場合もあるけど、でも全員で一斉に、というのは実のところそんなにない。

 ばらばらに攻撃するより一点集中した方が壊れるとか思われてるのかもしれない。まぁ、考え方としては間違っちゃいないけども。


 攻撃する側が疲れたとしても、他の仲間と交替してそいつが疲れたらまた別の仲間が……みたいな感じで向こうは攻撃の手を緩める事がまずないわけだ。

 でもこっちはずっと守らなきゃいけないから休む暇もない。攻撃側は疲れた奴が休んだりしてるくせにこっちは休めないので明らかに不利だ。


 更にずっと魔法を使ったままだと魔力の消費は勿論あるので、そのうち消耗して力尽きて結界を維持できなくなってしまう、なんて事もあり得る。まぁ私は滅多にそういうのないんだけど。

 でも、結界で身を守ろうって場合、どうしたって長期戦になればこっちが不利なのは確かだ。

 結界を維持できなくなるくらいに弱ってしまったら、結界がなくなった時点で盗賊が今度は本体を甚振るのは言うまでもない。

 相手が疲れ果ててもうこいつ攻撃するの時間の無駄だわ……って諦めてくれるくらいにお互いに我慢とか忍耐を試すくらいに持ちこたえられればいいけど、それ絶対一時間や二時間で終わるはずがないんだよね。


 となると、こっちは飲まず食わずで相手の攻撃をしのぎきらなきゃいけないわけで。


 魔物なら何度か攻撃しても意味がないなー、ってなれば諦めて別の獲物探しに行く事もあるんだけど、人間の場合はそうもいかない。

 いや、魔物も場合によってはめっちゃ粘って諦めてくれないのもいるけど。


「長期戦になればどちらにしても不利なのはこちら側です。なら、手っ取り早い解決法を選ぶべきでしょう」

 身を守りつつもう一つ結界出してそれでぶん殴るとかね。

 結界って基本的に目に見える感じじゃないのとかあるから、ちょっとした空気の動きとか気配を察してとかいう達人級の相手じゃなければ不意打ちも成功しやすいし。

 結界で身を守ってる相手がまさか正面から不意打ちかますとは基本的に思われてないので、隙を突けば他の仲間も同じように沈める事が可能なわけだ。


 そういった事を説明すれば、ディットさんは、

「きみの発想力は凄いな……」

 とどこか感心しきりで頷いていた。

 いやうん、ごめんね。私の、っていうか前世で見た漫画とかゲームのあれこれが基本なんだ。凄いのは私じゃなくてそういった展開を考えた人たちだと思う。

 でも流石にそこら辺は説明できない。

 前世云々を抜きにすると、下手すると私が以前世話になってたおばあさんの仕業になりかねないし。おばあさんが凄かったのは主に薬の調合とかの腕前であって、そういった暴力的解決法とかではなかったし。


 既に死んでしまったおばあさんに一つ二つ功績を捏造しても問題ないとは思うんだけど、そうやっておばあさん最強説を作っちゃうと万一他におばあさんを知ってる人の耳に入ったらとても違和感、ってなるからね。

 いるかどうかわからない知り合いを警戒するのもどうかと思うけど、もしいた場合嘘に嘘を重ねないといけないのでそうなると自分がとても不利になる。


「ボクより凄い人なんてそれこそ沢山いますよ」


 ただ、なんていうかディットさんの称賛の言葉をそのまま受け止めるのは何とも言えない気持ちになったので、とりあえず少しだけ話を逸らそうとしてそんな事を言っておいた。


 実際私は自分の事を凄いとはこれっぽっちも思ってないからね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 素敵な性格の持ち主だ!! [一言] 昔読んだ漫画で、極小結界を投げつけて攻撃してたの思い出して、懐かしさもありました(笑) 読み始めたばかりですが、続きが楽しみです。 楽しい作品、あり…
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