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一体どうしろと  作者: 猫宮蒼
一章 自衛のために好感度とかもっとわかりやすくしてほしい

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どうにか一段落



 尋問ったって、要するにちょっときつめの口調とか態度とかでとにかく話せと詰め寄るだけならそりゃ話すつもりがない相手からすれば黙秘を続けるだけなので、そんなんじゃ情報吐くも何もないよな、と思う次第。

 前世の警察とかが私と同じような事をやらかせば大問題になってそれこそマスコミがニュースでボロクソに叩き、ネットでも炎上するだろうくらいにはなるだろうけれども。


 生憎この世界にそんなものは存在してないので炎上しません。

 あと、一応ね、騎士も穏便に済ませるつもりで平和的な尋問しかしてなかったけど、あの盗賊たちがもっと悪質な存在で捕まえたら即座に殺せ、とか言われるような相手だったら勿論尋問っていうか拷問に発展してたとは思うの。

 そもそも捕まえる以前の話で交戦になった場合、マトハルさんがやったように仕留める事の方が多いのだから生きてる事にまず感謝してほしいものだと思う。


 情報を吐かせるために親分だけに狙いを絞っていたようだけど、ああいうのは仲間がいるなら巻き込んでしまった方がいい場合もある。

 親分が他の仲間をどういった意図で庇っているかはわからないけれど、それでも庇うつもりがあるのであれば、そこら辺からやりようはあるわけだ。

 一緒に捕まってしまった仲間が無事であると思っているからこそ、彼は自分に向けられた尋問もだんまりを続けていた。


 仲間に狙いを定めたとして、そっちが吐いたかはまた微妙なところだ。

 親分を裏切る事になるから決して喋らないぞ! と思う者もいただろうし、喋った結果親分にオレが殺されちまうよぉ、と思ってだんまり決め込む奴もいたかもしれない。


 けどああやって捕らえた全員を同じ場所に纏めた状態で、とりあえず最低一人でも生きてれば情報は得られる、とかなんとかいってボコボコにした場合、我が身可愛さで自分だけ助かろうとする者も出てくるかもしれないわけだ。

 あと、親分に狙いを定めるだけなら自分たちはひとまず大丈夫だと思っていたかはともかく、その親分が喋らない事で自分たちまで巻き添え食らって痛い目を見る、となればそれはそれで何でおれたちまで……みたいに思う奴だって中にはいたかもしれない。


 というかあの時の子分の反応からして一人くらいは思ってたはず。


 子分は三人いたし、既に四人は死んでるわけだしそこから更にもう一人か二人死んだとしても想定の範囲内だよね、くらいのノリで痛みを与えたのも今回は上手く作用した。

 あと、殴る時に相手がこれから殴りますよってわかりやすい動作をしてくれればまだ歯を食いしばって耐えるとかできたかもしれないけど、目に見えない結界でぶん殴るわけだから、向こうからすればいつ攻撃がくるかわからない状態っていうのも大きかったと思う。

 攻撃が来ると思って耐えるつもりでいたのにこなくて、一瞬、息を吐いた瞬間に殴られたりすればより一層痛みは増すわけで。

 しかも途中、回復魔法で怪我は治る。でも、痛みが完全に消えたわけじゃない。だって治った端から殴られてるんだもの。


 打ちどころが悪くて最悪死にました、なんてなればそこで終わるけれど、死ぬ前に治されるのだから終わりが見えない。そんな状況で延々殴られ続ければ、耐えきってみせる……! とか言ってた連中も途中で心折れるわけで。


 根比べするにしても、期限は花祭りが始まるまで、と考えると流石にそこまで我慢できるか? って話よね。一日二日耐えるだけじゃ済まないぞ。ついでに言うと私の魔力が尽きるまで、とか考えてたかもしれないけど、ぶん殴るのに使ってた結界に費やした魔力量は実の所ビックリするほど少ない。

 全体を覆うように展開すればそれなりに魔力も消費するけど、殴るための結界、それも相手は椅子に縛り付けられてて回避できないとなれば、ぶん殴り結界の大きさは限りなく小さくしておいても問題はないわけで。

 なんならオートでしばらくそういう感じで発動させる事も可能っちゃ可能。三発殴って一度回復挟む、くらいの雑な感じになっちゃうけど私が寝てる間であってもそういう風にやろうと思えばやれない事もない。


 終わりが見えてるなら耐えようもあるけれど、情報を吐かせたい相手は花祭り前にできる限り情報を吐かせたい、というだけであって別に花祭り過ぎたからって情報吐かせるの諦めるわけじゃないんだよね。

 要するに、吐くまでやる。

 それならさっさと吐いた方がお互いのためとも言えない事もない……かなぁ?



 ともあれ情報は既に吐かせた。

 街でしれっと盗賊? 怖いですよねぇ……なんて感じでさも自分は無関係ですよ、みたいに装ってる仲間もこれで捕まるわけだ。そっちは騎士とか自警団とかの仕事なんで私の知った事ではない。


「……ところで。

 あれで吐かなかったらどうするつもりだったんだ?」


 帰りしな、ルーウェンさんがそんな事を問いかけてきた。

「え、どうって言われましても。一人くらいは見せしめに殺すくらいの感じでやらかすつもりでしたよ。

 何やっても駄目なら最終手段としては……自白剤、でしょうか。ただあの薬はご禁制扱いなのでボクの一存では使えません。その場合は許可を出してもらう必要がありますね。

 許可が出たなら自白剤作るのは可能ですから」

「あの薬の作り方知ってるのか……」

「リタさんが。とはいえ材料がないので作る事になった場合、材料を調達しないといけないんですよね。まぁ、その場合ギルドが手助けする感じになってたはずですが」


 材料のいくつかは魔物の巣の近くじゃないと採れない、なんてのがあったはずだし、そうなると私みたいな非戦闘員一人で行くのはとても心許ない。戦える、護衛ができる相手がいるのが望ましい。

 ホント、攻撃魔法が使えないのは痛いな。結界でちまちまぶん殴るにも限度ってあるからね。

 結界の形をちょっと鋭角にした上でそれぶつけるにしても、強度的にちょっと微妙な感じしかしないし……刺し貫くのが可能な魔物は多分そんなに強くないやつだ。強いやつは素早すぎて当たらないか硬すぎて刺さらないかのどっちかな気がする。


「……正直、色々と思う部分や言いたい事はあるのだが、全部言うとキリがないからやめておく」

「そうですか」


 えっ、何その思わせぶりな発言。言いたい事あるならハッキリ言ってほしい。雰囲気からお説教の流れなのはわかるけど、何に対してのものかわからないので多分次回も私やらかす可能性高いんですが。


「ただ、君のおかげで花祭りが始まる前にはこの街に潜んでいる盗賊の一味も捕獲できるだろう。それに関しては礼を言う」

「あ、はい……」


「ただ、あいつらだけがこの周辺にいる盗賊というわけでもないだろうし、他の盗賊団だとかそういったものの存在は他にもいるだろう。街の外に行く際はくれぐれも注意してくれ」

「わかりました」


 まぁ確かにね……ここいらでやらかしてる盗賊って別に一つのチームだけ、とかじゃないもんね。

 っていうか……その言い方だと他にもまだいるって事よね。今までいたのを捕まえて大分減ったけど、みたいなニュアンスじゃないって事は他にもまだそこかしこを根城にしてる盗賊とかいるって事よね……



 私の知るゲームの内容であれば、マトハルさんが盗賊たちを纏め上げていたわけなんだけど……そのマトハルさんはギルドで盗賊とか捕まえたりする側だ。なんでそうなってるのかわからないけど、マトハルさんが盗賊たちの親分じゃないという点で、纏まらなかった結果そこかしこに盗賊が分散してしまっているのが現状……なんだろうか。


 本当なら主人公……ミラだったっけ、彼女が学生だった時に盗賊たちのほとんどはマトハルさんを倒した時点で捕まったり倒されたりしてたはずなので、私の知るゲームの内容通りであったなら盗賊は今ここで街を悩ませる原因になっていないはずだった。


 ……いや、ホント、どうなってるの?

 今からでもマトハルさん倒したら盗賊たちがパッと煙のように消えるとかいう事になったりしない……?

 いや、したらしたでそれも怖いな。


「では、今日は助かった。また何かあった時には頼む」

「えぇと……期待に応えられるかはわかりませんが」

「あぁ、ではな」


 まだ暗くなるには早い時間帯ではあったけれど、ルーウェンさんは何故かわざわざ私を薬屋まで送ってくれた。そうして自分はギルドへ報告にでも戻ったのだろう。立ち去る時にこちらを振り返る事はしなかったけれど、片手をひらひらと振っていたので思わず私も手を振り返した。いや、ルーウェンさんこっちに背を向けてるから見えるはずはないんだけども。


 あまりルーウェンさんと話す機会もなかったけど、案外面倒見のいい人なんだなぁ、と思いました。

 表情からはとてもそうは見えないくらいに不愛想なんだけどね。

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