第1話 朝のホームルーム
これはどっちかといえばギャグ小説、に近いかもです。本人はいたってまじめに書いてますので、そこらへんについてはもうスルーしてやってください。
「あーあぁっと。」
高屋幸也は窓を見ながら体を思いっきり伸ばした。
「うっわー眠ぃ…。誰かー!誰かオロナミンEXくれよ…何故だか今の俺はそれで元気100倍のスーパーヒーローになれる気がする。」
横から風紀委員の中村修輔が頭をはたく。
「うおっ!なにすんだよこの眼鏡が!!」
風紀委員の中村くんは派手な頭に染めた高屋に臆することなく、
「心配するな、急所は外した。」と気にもとめないらしい。
そういう問題じゃないのだが。とクラスの心が団結しているなか、ただ一人団結していない者がいた。いや、団結していないというより寝てる。それはもう某モンスターアニメのカ●ゴンのように。
「石居ー、お前まだ寝てんのー?今クラス全体が高屋の頭を殴った中村が殺されないか緊迫の最中なのに…。」
石居と呼ばれたセーラー服の少女は顔をあげた。一言で言うと…美人だ。ただし鼻水とよだれがついていなければの話だが。
「なんで起こすかなぁ…今スーパーヒーローになって地球を救う夢を見てたのよ?ありとあらゆる怪獣たちが皆を叩き潰すなか、私が登場!ってとこだったのに…。黒岩、あんた殺されたいの?あの怪獣たちに殺されたかったの!?」
黒岩は地味な見た目で、なぜかクラスで可哀そうな役回りにされることが多い。
実際石居を起こしたのは瑞樹ちゃんだ。
「えっちょっ!別に殺されたかなんかないよ!それに僕が起こしたんじゃないってば!」
黒岩が必死に目で指す方向に気付いた石居はゆっくり瑞樹ちゃんのほうを向いた。どちらかといえば親友の部類に入る彼女は、もう笑いが止まらないという表情でこっちを見ないようにしていた。
「みーずーきーちゃーん?」瑞樹は頭に鉄拳をくらった。150のダメージ!
瑞樹は涙目で訴えた。「だって勝手に優奈が勘違いしたんじゃんーっ!」
優奈は少し考え、「…それもそうか。」と頭をなでてやった。ごめんごめん。心の中で謝るよ。
そうやって瑞樹をなだめている時だった。後ろから声が聞こえる。
「ねーねーっ!石居さんさっきスーパーヒーローって言ってたよね!俺の心と一緒のこと考えてたんじゃんー!仲間仲間。」…高屋幸也だった。
優奈は瑞樹の頭をぐりぐりしながら、目を細めた。瑞樹が小声で「あんまり関わんないほうがいーよ。」というのが聞こえた。だけど人間の性はあまのじゃくなんだよー、瑞樹。
「…あんたってさ、いうこと面白いんだからその頭どうにかしたら?だから皆寄ってこないんだよ?」瑞樹が横で口をぱくぱくさせている。
幸也は目をいっぱいに見開いた。まるで子供が面白いおもちゃを見つけて純粋に喜んでいるようだ。
「面白いねーっ優奈ちゃん!美人だし、ちょっと変人だからどういう子なんだろって気にはなっていたけど!ねね、今度俺ら遊びに行くんだけど、よかったらどう?」
その答えに優奈も目を点にした。ちょっと話しただけでちゃん付けかよ。
「…変人は余計よ。遊びにも行かないけど、俺らってあなたと誰のことを指してるの?」
すると眼鏡の中村君が横から出る。「…おそらく俺のことだろう。信じたくはないがな。」
優奈が何か言いかけた時、チャイムがなった。
「あーそろそろ始まるね。」誰かが言った。
「俺ステッキ忘れてきたんだよなーっ。誰かー予備持ってねぇ?」「あ、私持ってるー。」「こないだの妖精の木がさー「あの先生マジ「あの呪文なんだっけーっ「確かアラ…アラなんだ「
皆がしゃべることを忘れていたかのように話し始める。
普通のクラス。普通の教室。ただし、一つのことを除いて。
言い忘れていたが、この学校、私立魔穂雨学園は、その名の通り魔法学園である。