表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/49

07 ダンジョンクリエイト

『警告:魔王の使徒よ。それより先に進むことは許可できません』

『警告:マスター。現在のレベルでは神に挑むのは危険です』


「んなっ」


 頭の中に、二種類の音声が同時に響いた。

 一つは今朝聞いたダンジョンコアの声。もう一つは、ジョブストーンの声か?


 俺の右手――ダンジョンコアが埋め込まれた部分が、ジョブストーンに対抗するように赤く輝いた。


『マスター、緊急事態のため早急にダンジョンを作成してください。現在使用可能なDPは100です』


 いや、俺はジョブを貰いにきたんだけど!?


 なんだか理解の及ばない展開になってきた。

 頭が真っ白になり、よろけて尻餅をついた。


 ダンジョンマスターになったからジョブを貰えないのか。

 そりゃそうだ。ジョブはダンジョンを攻略するための機能。言ってしまえば、ダンジョンの敵だ。


 俺が夢想していたステータス表示の代わりに、視界にはダンジョン作成のメニューが現れた。ホログラムのように空中に描かれたゲーム画面のようなメニューだ。



『ダンジョンクリエイト(植物系)

 所持DP:100


 階層メニュー

・階層追加:50pt

・階層拡張:現在利用できません

・部屋追加:現在利用できません


 設置メニュー

・薬草:1pt

・レッサーヴァイン:20pt


 特殊メニュー

・レベルアップ:100pt

・ステータス偽装:50pt

・ダンジョン内転移:50pt』



「情報が多すぎる!」


 そうしている間にも、ジョブストーンの輝きは増していく。

 まさか探索者になるどころか敵認定されるとは……だが諦めるのはまだ早い!


「とりあえずダンジョンを作ればいいんだよな」


 俺は探索者のファンであると同時に、ダンジョン攻略そのものが好きなんだ。

 生まれる前ならともかく、俺が知っているダンジョンとはワクワクドキドキ、楽しいものである。悲惨な事件が多く暗いイメージは、探索者の質が上昇したことでなくなった。


 だからダンジョンを作れると聞いて、正直心躍っている自分がいる。


「コア。ダンジョン作成を」

『かしこまりました。なお、話しかけなくともマスターがこうしたいと願うだけで操作は完了します』

「そうなんだ」


 最初は階層追加だよね。半分のDPを使っちゃうけど、これをしないと始まらない。


『場所を指定してください』


 場所とは? と思ったら地下、地上という文字が出てきた。


『ダンジョンの作成は現在地でのみ可能です』

「えっ、こんなところに入口作ったらバレバレじゃん」

『入口の作成は任意です。ただし、内部に探索者を呼べなければDPを稼げません。なお、地上に作成した場合入口は必要ありません』


 いや、地上に作ったらバレるとかいう以前の問題なんだが。


 なんせここは三迷の生徒が定期的に訪れる職業管理室だ。

 ダンジョンを攻略されたらどうなるのかは知らないが、俺がマスターだと知られるのはなんとしても回避しなければ。


「ん? でもダンジョンって色んな構造があるよな。選べるの?」

『はい。材質や壁、天井の有無、道の広さなど自由に設定できます』

「じゃあ、何も作らずただ空間だけをダンジョン扱い(・・・・・・・)にする、とかは……?」

『可能です』


 おお、ならそれでいいかな。

 範囲はなるべく大きく……あ、最初はそんなに広くできないみたいだ。限界まで広げて、職業管理室を囲うようにした。


 地面はそのまま、壁も天井も道もなし。ダンジョンというより、もともとあった場所をダンジョン扱いにしただけだ。


『警告:魔王の使徒よ。それはやめてください』

『マスター。たかが石ごときにダンジョンクリエイトを止める術はありません。こちらからジョブ関連の動作を止めることもできませんが』


 コアさん、なんだか辛辣。


 だがそれなら安心だ。それに、コアが何も言って来ないということはジョブストーンが誰かにこのことを伝える、という心配もなさそうだ。ジョブストーンに意思がないことは広く知られている。


「おし、これでダンジョン完成だな! 何もないけど!」


 残りのポイントどうしようかなー、と考えていたら、背後の扉が力強く叩かれる音がした。


「ちょっと! 大丈夫!?」

「え? いや、その」

「早く開けなさい! 何かあったの!?」


 はっきりとしたハスキーな声は、首席入学の子だ。

 まずい、今この状況は……。


 この部屋に入って、ジョブを貰っていないというのはおかしい。

 ジョブの報告は義務だから、何もありませんじゃ怪しまれる。


「そうだ、ステータス偽装があった」


 残りのポイントを全て使うことになるが、仕方ない。


「いい感じに偽装してください」

『マスター。私に頼るのはおやめください。ジョブを拳使いとして表示するよう偽装しました』

「めっちゃ弱そうなジョブに! でもありがとう」


 コアとのやり取りが終わって赤い光が収まった瞬間、勢いよく扉が開け放たれた。


「大丈夫!?」


次回ヒロイン回!

「待ちくたびれたわ」って人は★★★★★

「いやコアさんがメインヒロインでお願いします」って人も↓から評価していってください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ