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06 ジョブ

「はいはーい、みんなおはよう」

「おはようございます!!!!」

「うん、元気だね君」


 おはようございまーす。と疎らに返事するクラスメイト。

 とりあえず挨拶は俺の勝ちってことで良い?


 ダンジョンコアとやらのことは頭の隅に捨て置いて、今日はジョブ獲得の日だ。


 ジョブは迷宮専門学校に入学した者は全員もらえる。ただし、退学する場合には剥奪される。


「まあどんなジョブを貰っても、結局は使い方次第だからね。いちいち一喜一憂しないようにねー」


 ちらりとアギトのことを横目で見ると、案の定自信満々な顔をしていた。


 ジョブは無数にあって、二十年経った今でも毎年新ジョブが発見されるくらいで格付けは難しいが、一般に適正が高いほど強力なジョブになると言われている。

 特にステータスは顕著に差が出る。探索者は人間を超越した身体能力を得るが、その強化倍率はジョブによって異なるからだ。


「あー、ちなみに」


 古屋敷先生が心なしかアギトのことを意識しながら言った。


「一般人時代のジョブ適正なんて気にしてる人、プロの中には一人もいないからね。大事なのはどれだけジョブを使いこなしているか、だよ。それに、レベルが上がれば強くなれるしね」


 目から鱗が落ちる思いだった。

 いや、知識としては知っていた。探索者のランクは、適正とは無関係だ。それに、インタビューなどで適正がいくつだったとか話す探索者は見たことがない。


 俺たちは探索者の卵となったわけだが、まだ一般人の気持ちから抜け出せていなかったのだろう。


 適正が高い低いで評価されてきた俺たちに対して、釘を刺す目的があったのだろうか。

 古屋敷先生の真意がどうあれ、クラスの空気が塗り替わった。


 ジョブの獲得が行われるのは、校舎とは別の建物だ。


 『職業管理室』という表札がついた、ひと際大きなドーム状の建物。イメージとしては宮殿に近い。


「ここはレベルやスキルを確認する時も使うから、場所覚えておいてね。学生証持ってないと入れないから気をつけて」

「先生! 今日はちゃんと説明してますね!!」

「うん、うるさいね君」


 怒られてしまった。

 だが待ちに待った探索者としての第一歩に、興奮が収まらない。


 そんな俺に冷や水を浴びせるのは、やはりあいつだ。


「ふん、雑魚はお気楽でいいな」

「はい?」


 席が隣でルームメイトという、何か縁を感じる大門寺アギトだ。

 なんで名前カタカナなんだよ漢字付けろ。


「俺は颯太って名前があるんですけど? アギト君」

「慣れ慣れしく呼ぶな。お前と俺は住む世界が違うんだ」

「さっきの先生の話聞いてなかったのかよ……」


 なんか拗らせてるなぁ。

 やっぱ有名人の息子だと色々あんのかね。俺にはあんま関係ないけど。


「俺は絶対に一番にならなければならない」

「首席じゃなかったけどね」

「黙れ。殺すぞ」


 ひぇー、怖い怖い。


 職業管理室の入口はセンサーで、学生証に埋め込まれたチップを認証して開く。

 中に入ると何もない円形の部屋だった。壁には等間隔に五つの扉がある。


「じゃあそれぞれ勝手に入って、適当にジョブ貰ってきてー」


 突然雑になったなーと思ったら「唐西君が失礼なこと言ったから説明しなーい」とかほざき始めた。


「俺から行こう」


 案の定、アギトが真っ先に扉の一つに向かった。

 まあジョブ獲得の流れは有名で、動画サイトにも流れているくらいだから皆知っている。


 自信のありそうな五人が、一斉に扉を開けた。俺? 俺は自信満々にアギトの隣の扉に走ったよ。

 アギトに手を振ったらすっごい嫌な顔された。


「たしか中にはジョブストーンがあるんだよね」


 世界中に突如現れたダンジョン。それに対抗するための手段、ジョブを人類にもたらすのは、ジョブストーンと呼ばれる白い石だ。

 日本には公表されているだけで七十二個。そしてこの三迷は五つ保有している。


「おお……」


 眩い光を手で遮った。部屋は六畳ほど。窓もなく、あるのは宙に浮かぶジョブストーン一つのみ。


「なんかダンジョンコアに似てるな」


 色が白か赤か、って違いくらいだ。

 一瞬気になったけど、自分にどんなジョブが宿るか、に比べたら些細な疑問だ。


 俺はごくりと生唾を呑み込んで、ジョブストーンに手を伸ばした。


ヒロインの登場はまだか!!

まだだ!!

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