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15 演習場

「ふはははは! 笑いが止まらん!!」


 生徒が授業外でスキルの練習をできる数少ない場所、演習場に悪役が出現していた。

 俺である。


 この演習場は主に一年生と二年生が使用している。難関校に合格できるだけあって皆練習熱心で、今日も多くの生徒が戦闘訓練を行っていた。


 的やカカシを相手にしたスキルの練習や、対人訓練。もしくは召喚系のジョブを持つ先生の手が空いていた場合は、モンスターを想定した演習もできる。

 また研究科が作った装備などを試す場でもある。


「おい、気が散るから黙ってろ」

「えー誘ったのアギトじゃん」

「突然高笑いを始めるとは思わなかったからな……ジョブが弱すぎて狂ったか?」

「うるせえ。あ、もう一回さっきの見せてよ」

「ふっ。いいだろう」


 アギトが指で鉄砲の形を作って、スキルを発動した。炎を生み出し纏う『装炎』が発動し、右手を包み込む。

 だが、まだ終わらない。ガスコンロを弱火にするように、小さくなった炎が右手指先に灯った。否、小さくなったのではなく圧縮されたのだ。


「BANG」


 彼が小さく呟くと同時に、炎の弾丸が発射された。それは猛スピードで突き進み、壁に設置された的を撃ち抜いた。


「どうだ?」

「掛け声がダサい」

「なっ!? ふざけるな! 探索者は己の技に誇りをもって名前を……」


 アギトがなにやらほざいているが、俺の興味は彼にはない。


 俺は自分だけに見えるダンジョンクリエイトのメニューを開いて、内心ほくそ笑む。


 ここ、演習場の地面には実態のないダンジョンが広がっている。つまり、ダンジョンの内部扱いだ。

 演習場でスキルを使いMPを消費すれば、当然。


『所持DP:5349』


「インフレきたぁああああ」

「さっきから何をぶつぶつ言っているんだ」


 職業管理室と迷宮資源室だけだった時とは、まさしく桁が違う。

 目の前でアギトがスキルを使うたび、演習場で誰かがジョブを顕現させるたび、DPがジャラジャラと増えていくのだ。


 俺は何度もメニューを開いて、その度に増えていくポイントにニヤニヤが止まらない。

 アギトが気味悪がっているが関係ない。今からダンジョンクリエイトが楽しみである。


「いやー、みんな精が出るね!」


 いいぞもっとやれ!


「ふっ、明日はついにダンジョン実習だからな」

「あっ、そういえば」

「……忘れていたのか? まったく、弱者は意識が低くて困るな。せいぜい足を引っ張るなよ」


 こればかりは真実なので何も言い返せない。

 ここ一週間はダンジョンクリエイトと薬草の量産に夢中で忘れていた。ダンジョン内の環境は自由に設定できるから、地下室なのに畑があるんだよな。


「はっ、やぁあっ」

「ふぁーあ。良い動きだねぇ。ボクが学生の頃はもっと強かったけど」


 少し離れたところでは、日下部さんが対人戦闘訓練をしていた。相手は古屋敷先生だ。めんどくさがりなのに、どうやって連れてきたんだろ。


 彼女は制服ではなく、探索者スーツに身を包んでいた。

 三迷の生徒は制服とは別に、ダンジョンで着るための装備を持っているのだ。装備した状態に慣れる目的なのか、ジャージのような見た目の探索者スーツを着て演習をしていた。


 ミニスカートじゃないから、激しく動いても下着が見られるような心配はない。だが、俺は少しもがっかりしていなかった。なぜなら……


「短パンだと!? おいおい、そんな陸上競技のような防御力のない装備じゃまずいだろ! 太ももが全く守れていないじゃないか。どうして女子高生はすぐ足を露出させるんだ。仕方ない、俺が守ってやるしかないな」

「怒るならせめて口元の緩みを抑えてからにしてくれないか?」

「はっ!」


 しまった。危うく社会的地位を失うところだった。

 女子に警戒心を与えてしまっては、長ズボンが主流になってしまうかもしれない。それだけは回避しなければ。


 あくまで俺は紳士。バレないように楽しむのみ!


「オレのダンジョンの中だから何しても大丈夫だぜ、と思うソータなのであった」

「勝手にナレーションを付けるな! ……ん?」


 今耳元で囁いたのは誰だ?


「ソータの友達は強くておっかないね。あとソータ好みだね~」

「おいおい、足が良ければ誰でもいいわけじゃないからな?」


 間違いない、この声はシードフェアリーのシーちゃんだ。

 だが姿が見えない。マスターとしての感覚で、シーちゃんを探す。

 いた、演習場の隅にある花壇の中だ。


「おい、なんでお前がいるんだ?」


 花壇わきにしゃがみ込んで、小声で言った。


「ソータが通ってる学校が見たくて」

「バレたら退学じゃ済まないんだぞ」

「大丈夫だよ。姿消してるもん」

「そんなことできたのか」


 それでも安心とは言えない。ジョブの中にはモンスターの気配を感じ取れるものもある。シーちゃんは戦闘能力ゼロで害はないから感知できないかもしれないが、だからこそバレたら瞬殺だ。


 それを少し叱りながら告げると、薄桃色の髪で顔を隠してしゅんとした。


「役に立とうと思っただけなのに」

「いや、ごめんな? でも危ないからさ。ほら」


 つい数日前に作成したばかりなのに、シーちゃんは感情豊かで俺にすごく懐いている。俺の方も、彼女にはどうしてか愛着が湧く。


『ダンジョンマスターとモンスターとの間には初期状態から魂のパスが繋がっております。また、ダンジョンコアとの間にはもっと強いパスがございますよ、マスター』


 後半の戯言はともかく、前半は貴重な情報だ。ありがとう。


「ダンジョンの中がすぐ把握できるように、あちこちに草を植えてたんだよ」

「ん? どういうことだ?」

「私が植えた植物が見てるものは、私も見えるの!」

「……え、すご」

「裏庭に生えてた雑草を植え替えただけだから、バレないよ! ね、すごいでしょ?」


 褒めて褒めて、とばかりに頭を差し出してきたので、指先で軽く撫でてやる。

 実際めちゃくちゃ有用な能力だ。シーちゃんはレベル2で作れるモンスターとは思えないほど優秀である。


「じゃあ、今もダンジョンの中が見えているのか?」

「うん。例えばね、今この建物の裏でソータが好きそうな子が襲われてるよ」

「は?」


 太ももが?

 じゃなくて、女の子が襲われてる?


胸派と尻派の諸氏には申し訳ない。

この小説は、全員太ももがメインだッ


同志はぜひ評価を。

巨乳キャラも出せって人も、★くれるとモチベ上がって出現率アップ!

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― 新着の感想 ―
[一言] ああ、太ももいいね。いい太ももに顔をうずめたい!
[一言] 胸よりも、尻よりも、太モモよりも、女の価値は穴です。
[一言] 綺麗な脚は勿論すてきだけど胸派なのよね。
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