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プロローグ 吟遊詩人は喜劇を詠う
吟遊詩人は語った。
「たまには喜劇でも唄いましょう。」
弦楽器を鳴らしながら語り続けた。
「旅人は恋をしていた。一緒に旅をする仲間の一人へと」
それは楽しそうに、可笑しそうに微笑みながら唄いはじめた。
「旅人は旅をする仲間達から信頼され、頼られ、そして愛されていた。」
「ただ、一人を除いて。」
色白の綺麗な指で弦を弾き、語り出す。
「男は別世界からの異邦人でした。男の世界は寿命を迎えようとしていたのです。」
急に険しい表情になり、静かに語り始め、鳴らす弦も短調なメロディーとなる。
「マナの尽きかけたクリスタルの破片は男を遣わしたのです。クリスタルの大欠片からマナを奪うために。」
一変し、また明るいメロディーへと変わる
「そんなことも知らず、男は旅を続けるのでした。想いが届かないとも知らずに。」