転生したらモブキャラでした。
物語の急展開は、唐突に来た。
「僕と婚約してくださいませんか?」
ぶほっ。お茶が、喉に詰まった。
違うんだ、言い訳をさしてくれ。
遡ることだいたい30分前ー
「ヴァレリア様!カフェで、新作のスイーツが
今日から発売されるそうなんですよ!
食べに行きましょう!」
「行きたい!!!」
「楽しそうだね。僕もご一緒してもいいかな?」
そう言ってフィリパの後ろから
顔を覗かせたのはルドルフ・シェイファー
だった。
「ごきげんよう。」
「こんにちは。僕も一緒に行ってもいいかな?」
「お断りします。」
ピシャリと。物語のルドルフ・シェイファー
はこんなんじゃなかった。
もっと根暗で、地味だったのに……
その裏にある優しさが、良かったのに。
「まぁ、まぁそう言わずに、ね?
フィリパ君もいいよね?」
「は、はぁ。」
フィリパ!!!今日は、2人きりで女子トークが
したかっかのに!
「ん~。美味しい!」
美味しいのは分かったから溢れ出る
キラキラをどうにかしなさい。
「食べすぎると、お腹壊すよ。」
「ふっふっふっ。大丈夫ですよ!
私の胃袋は、無限大なので!」
馬鹿だなぁ。思わず笑みがこぼれる。
その途端フィリパの表情が曇る。
「ちょっと失礼。」
言わんこっちゃない。
「ところで、バラノフ様、婚約者は
いらっしゃるのですか?」
ルドルフが、口を開く。
初対面なのに。
「そのような方は、今の所いませんの。」
「・・・。」
うっ、沈黙が重い。
でも、高校生で婚約者って言うのも
どうかと思うよ?
「シェイファー様は、いらっしゃるのですか?」
「・・・・。」
何か変なこと言ったかなぁ?
いや、でも向こうも聞いてきたし。
「あなたは、小さい時の約束を覚えていない
のですね。」
何の約束だろう。全然覚えていないやぁ。
「約束とは、なんのことでしょうか?」
ルドルフが、ため息をついて話しだす。
「小さい時に、
僕達は会ったことがあるんですよ。
その時、お互いの孤独を分かち合い
もう一度再会する時に
婚約者もしくは好きな人がいなければ、
結婚しようと誓ったじゃないですか?」
マジか。想像以上にまずい展開だ。
「ですが、所詮子供の口約束ですわ。」
「僕の思いを所詮だの、口約束だので
片付けないで頂きたい。なんなら血判書も
見せましょうか?」
小さい時の私何してんだ?
「ですのでヴァレリア様どうか、」
ルドルフは、片膝を付きながら
「僕と婚約してくださいませんか?」
と言った。
そして、今に至るー
しばらくしてフィリパが、戻ってきた。
「では、フィリパも戻ったので今日は、
このへんで。」
「え、ちょっとまだ食べたかったスイーツ
半分しか食べられてない!」
どんだけ食べるつもりなんだ。
フィリパを引きづりながら、
足早に退散して行った。
コンコン。
寮のドアをノックされた。
「はい。」
ドアが、キィっと音を立てて開く。
入って来たのはアルフだった。
「お前、皇子に婚約申し込まれたんだってな。」
なんで知ってるの?
「なんで知ってるの?って顔してるな。
俺の伝達魔法にかかれば
そんなの余裕だつーの。」
以外と、厄介な魔法だった。
「それがどうかしたの?」
アルフが、ギクリとする。
「べっ別に!ただ、気になっただけだよ。」
変なやつ。
「俺がいながら......油断してた。」
「ん?何か言った?」
「なんも言ってないし!」
「もう、就寝時間過ぎてるから帰りなさいよ。」
「・・・・。」
アルフは、動こうとしない。
もう寝たいんだけど。
「ねぇ、聞いてる?」
「ん?じゃ、また明日な!」
「う、うん。」