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異世界転生に安全地帯なし!  作者: 久我拓人
第1章
2/13

~異世界落下~

「うわあああああああああ!」


 落ちる。

 落ちてる! というか、マジで落ちてる!

 どうしたらいいんだ? クリエイトって言ってたっけ? え、これ、着地とか、やばい! なんか、え!? 自分でやるの!? どうしたら!?


「あああああああああああああ!?」


 バタバタと体を動かしてみるけれど、どうにも成る訳でもない。まるで走馬灯のように地面が近づいてくるのを感じる。

 走馬灯って、いい思い出とか見えるんじゃなかったっけ?

 大した人生じゃなかったけど、それでも見たい物があると思うんだけどな。マンガの続き読みたいな、とかゲームの新作がしたかったな、とか。ガチャでSSランクを引き当てたような運は、この場合はどうにか、え~っと、もうダメっぽい。


「ぐう」


 と、妙な声を出すことしかできなかった。

 あとは地面にぶつかるだけ。それで本当に死ぬんだろうか。

 なんて、どこか他人事のように思える自体だけど、さすがに地面とぶつかるのを見ていられるほど他人事にはなれないので目を閉じた。

 ズダーン、と大きな音が聞こえた。

 もちろん、俺が地面に落ちた音だろう。


「……あれ?」


 そう思って恐る恐る目を開けたのだが。


「立ってる」


 どうやら着地は自動でやってくれるらしかった。俺は両足でちゃんと地面に立っていて、その地面には穴のひとつも開いてない。過剰な演出もいいところだ。


「ほんとに神さまだったのか?」


 空を見上げると、怪しく渦を巻く黒い雲。どうやら、俺が落ちてきたのはあの雲からみたいだ。白い雲は上側だけだったっぽい。

 下から見たら、まるで魔王降臨っぽい。


「う~ん……まだ夢を見てるみたいだ」


 もう一度ほっぺたをつねってみるが……やっぱり痛い。

 夢じゃないのか。現実感はすごいんだけど、夢か夢じゃないか、いまだに分からない。


「これは、木だよな」


 俺が落ちたのは一本の大きな木の近く。幹の大きさで考えると、ものすごく古くから有る木っぽい。

 ところどころに傷があるけれど、それをなんとも思ってないような感じで、堂々と草原のど真ん中に立っていた。


「日本じゃないよな……」


 草原の中で目立つような大きな木。もしも日本にこんな場所があるのなら、とっくに有名になっているはずだ。

 縄文杉だっけ? 見たことはないけど、きっとそれぐらいに大きな木だし。

 なにより目の前の木がどんな種類なのかも分からない。


「とりあえず、なにか、どこか人のいる場所……」


 周囲には何も無い。ただ草原が広がっていて、すごくのどかな風景っていうだけ。

 キョロキョロと見渡せば道のようなものもある。見える範囲で二本の道があるが、その先には何も見えない。


「地平線っていうんだっけ」


 地面の向こうには青い空。それが見えるってことは、山もないのかなぁ。

 俺は木の周囲を見ることにした。大きく太い根を回りこむようにして反対側へ行くと、もう二本の道を見つけた。


「四つの道が、ここで。交差点なのか」


 はっきりと交わってるわけじゃないけど、交差点のようになっていた。つまり、道と道が交わっている場所。

 大きな木だから目印に使っているのか。


「問題はどっちに行けばいいか」


 道があるってことは、どこかへ繋がっていると思うんだけど。


「ん?」


 どうしようか、と木の周りを見ていたら看板を見つけた。木で作られた案内版のようで、それぞれ矢印のように向いている。


「あっ」


 そんな矢印には文字が書いてあった。全部が全部、読めるわけじゃないけど、ひとつだけ読めた文字がある。


「テウス・レリンクエレ・ムラ……?」


 看板にはカタカタでそう記されていた。

 長い年月がたっているのか、ちょっと消えかかっていて読みにくい。もしかしたらレリンクエレとかじゃなくて、レソリクエだったりするかも?


「ムラって村のことか? まぁ、他に頼るものもないしな」


 他にも看板に文字が書いてあるけど、アルファベットでもないし、漢字でもない。文字らしき物ではあるんだけど、読めない。

 仕方がないので、そのテウスだかレリンクエレだかに行ってみることにした。

 真っ直ぐな道。

 すぐになにか見えるといいんだけど。


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