第2話:死と隣り合わせ
大分期間が空いてしまい
申し訳ないのです。
今回少し残酷?
描写があるかもしれません。
フェリシアが寝ていると扉からノックの音が聴こえ、フェリシアはその音で目が覚めた。
ガチャリと扉が開きフェリシアは体を起こして顔を向けるとエミリーがベッドの前に立っていた。
「エミリ〜?」
寝ぼけながらその名を呼ぶとエミリーは腰に手を当て小さなため息をついた。
「やっぱりまだ寝てたのね、ご飯だべるわよ?」
フェリシアは寝起きで訓練の事も異世界にいるという事も忘れていた。
「あ、そっか」
フェリシアは立ち上がり服を着替えた。
「全く、あんまり待たせないでよ!」
そう言いエミリーはフェリシアの手を引いて小走りで食卓へ向かった。
「さぁ、食べましょう」
そこには卵をベースにした料理がたくさん並んでいた。
「おいしそう、いただきます」
そういいフェリシアは料理を口にすると
笑顔になった。
「おいしいです!」
フェリシアの言葉にエミリーは嬉しそうだった。
「それは良かったわ、頑張って作った甲斐があったわ」
そういいエミリーは立ち上がった。
「フェリシアはもうすぐ訓練の時間でしょ? 片付けは私がするから行ってもいいわよ」
その言葉に甘えフェリシアは頷いた。
「ありがとう」
そう言い扉を開け部屋を出た。
「うーん、まだ訓練まで時間がある……」
そう呟いて立ち尽くし空を見上げていると空から何かが落ちてきているのが分かった。
「何か、落ちてきてる……って、人?」
丁度こちらに飛んできているのは人だと言うのが分かったが意識は無さそうに見える。
「あの勢いで地面に当たったら死んじゃう……まだ使えるかわからないけど、精霊術でなんとかできるかも」
そう呟き、フェリシアは手を前にかざし、昨日と同じようにした。
それと同時に後ろから誰かが走ってきているのがわかった。
「ちょっと貴方! 水の精霊術だけで受け止めようとしたら水との衝撃で結局死にますわよ!?」
大きめな声が後ろから聞こえフェリシアは振り返った。
「わたくしがやります、尺ですけど貴方は私のフォローをお願いしますわ」
そう言われると昨日のお嬢様風の人は手を前に出した。
「フォローってどうやれば……」
フェリシアは少し戸惑った。
「わたくしに水魔法を背中から流し込むような感じで構いません、それが出来なかったらあの子が死ぬだけですわ」
そう言われるとフェリシアは無我夢中で言われたことをした、その瞬間2人の前に大きめな魔法陣が現れ落ちてきた少女とぶつかる瞬間周りに衝撃波が走り、ゆっくりと落下は収まり地面に少女は倒れ込んだ。
「案外やりますのね、少しだけは見直してあげますわ」
そう言い彼女は去ろうとしていた。
「あ、あの、ありがとうございます!」
フェリシアは頭を下げた。
「ミリア……」
彼女は立ち止まって言うとフェリシアは首を傾げた。
「わたくしの名前、そう呼んでもかまわないわ」
そういうとそそくさと去っていった。
フェリシアはひと段落着くと降ってきた少女を見た。
少女は金髪の左側の長いサイドテールに青いパーカーに短パン、ニーソを履いていた。
フェリシアは服装的に同じ転移者なのでわと考えた。
「取り敢えず運ばないと……」
そう呟き触れようとした瞬間少女は目を覚ました。
「ひっ!」
目を開けると少女は座った状態で怯えながら後ずさりした。
「え、あ、大丈夫だよ?」
フェリシアはなだめようとしたが少女は周りを見れてない気がした。
「や、やだぁ……食べないでぇ!」
少女は周りをキョロキョロと見渡しそう言った。
「だ、大丈夫だから、落ち着いて」
そう言い近付こうとした瞬間、少女は手を前に出した。
それと同時に強い風がフェリシアを吹き飛ばした。
「ぐっ!」
なんとか体制を上手く立て直し地面に足をつけた。
「あ……あぁああぁぁぁあああぁぁー!!」
少女は頭を抱え込むと同時に周りに、さっきと同じ強さの風が全方位に吹き荒れた。
「何事ですか!」
エミリーが後ろから歩いてきていた、そしてその後ろに兵士が二人ほど付いてきていた。
「エミリー」
「彼女は混乱しているの?」
エミリーからそう言われるとフェリシアは首を横に振った。
「わからない、空から落ちてきて目を覚ましたら」
フェリシアは軽く説明するとエミリーは頷いた。
「取り敢えずこれをどうにかしないと彼女は死ぬわ」
そう言いエミリーが右手を左から右にサっと振ると風が止んだ。
そしてゆっくりと近づいて頭に触れると少女は落ち着いた。
フェリシアは恐る恐る近づいた。
「落ち着きましたか?」
そう呟くと少女はゆっくりと顔を上げた。
「あ、あれ……ここは?」
少女はキョロキョロと周りを見た。
「ここはエスティーユ、貴方はどこから来たのかしら?」
そう聞くと少女は首を傾げた。
「ここ、外国……ですか? それにさっきの犬は何処に?」
少女はビクビクしながら質問をするとエミリーはフェリシアの方を向いた。
「貴方と同じ感じかな?」
そうエミリーはフェリシアに振るとフェリシアは頷いた。
「あの、貴方は日本からきましたか?」
フェリシアの言葉に少女は少しの間の後首を縦に振った。
「名前を聞いてもいいかしら? 私はエミリー、こちらはフェリシアです」
そう言い手を差し出した。
しかし少女は手を握ろうとはしなかった。
「私は……ロニカです」
そう言いロニカは一人で立ち上がった。
「じゃあロニカさん、話を聞きたいので付いてきてくれますか?」
その言葉にロニカはビクビクと震えながら頷いた。
「あわっ……」
「えっ……」
ロニカが歩き出そうとした瞬間、足と足が絡まりエミリーを巻き込み転んでしまった。
ロニカがエミリーに覆いかぶさるようにして倒れた。
「貴様! 何をしている!!」
兵士が槍をロニカの方に向けた。
「ひぃっ!?」
ロニカはそれに驚き瞬時に頭を抱えた。
「ちょっ……やめなさい!」
その言葉に兵士は槍を向けるのをやめた。
エミリーはそのままの体制でロニカの頭を撫でた。
「大丈夫ですよ……落ち着いてください」
ロニカは体を震わせながら泣いた。
「もゔやだぁ……がえりだい゛ぃよぉ……」
取り敢えず立ち上がりエミリーはロニカを宥めているとフェリシアは何処からか血の臭いがするのに気が付いた。
「ねぇ、なんか臭くない?」
その言葉にエミリーは感づいた。
「この匂い、まさか……貴方アレに追われてるの!?」
フェリシアはエミリーの動揺の仕方に警戒をした。
その瞬間、兵士とエミリーの間に魔法陣ができ、その中から何か出てきた。
しかしそれは血を全身に浴びた2メートル程ある犬だった。
そして出てきたと同時に鋭い爪で
エミリーを攻撃すると、それをとっさに魔法陣で防ぐが少し飛ばされた。
「ぐふぅ……」
エミリーが飛ばされると犬の様なモノは
ロニカに目を向けた。
「あ、嫌だ……何で、やだぁ……だずげーーっ」
ロニカが言葉を言い終わる前に彼女の
上半身は、その得体の知れないモノの口の中に放り込まれた。その際、今まで聞いたことの無い鈍い音が響いた。
そして彼女の下半身は地面にバタリと倒れ
ビクビクと痙攣しては血を吹き出していた。
犬の様なモノがアゴを動かすとバキっと言う音やゴキ、グチャっと異様な音を立てていた。
フェリシアは助けれたかも知れないのに
恐怖で動けなかった自分を悔やんでいた。
そしてそれは恐怖に変わった。
その犬の様なモノはフェリシアへ目線を向ける。
「っ!?」
想像以上に敵の動きが早く既にフェリシアの目の前に来ていた。
フェリシアは自分が死ぬと思った瞬間、鋭い何かが敵を貫き吹き飛ばした。
「キャイーンっ」
そう声を上げ少し距離を取っていた。
「ようやく出会えたなっ!」
その声は突然響き渡った。
その瞬間、敵の背中から血が吹き出した。
そしてエルフがフェリシアの前へ現れた。
「2人とも大丈夫?」
その言葉にフェリシアは頷いた。
「ケルベロスだったっけか、お前にようやくお返しができるのは嬉しいよ」
とエルフの感情には怒りが入っていた。
そしてケルベロスがエルフに飛びつこうとした瞬間、地面から火柱が現れケルベロスを包み込んだ。
後ろからソルティアが放っていた。
ケルベロスは息を切らしながら走って魔法陣を作り出し中に入っていき、魔法陣は消滅した。
「なんで……」
エミリーの声が聞こえそちらを振り返ると
今さっきケルベロスに殺されたロニカが少し光ってはいるが無傷の状態で横たわっていた。
「ゲホォっ!」
ロニカが咳き込むとゆっくりと起き上がった。
「はぁ……はぁ……意味わかんないよ、えぐっ」
ロニカは涙を流しながら言った。
「エミリー、俺らは周りを見てくる」
エルフがそういうとエミリーは頷き立ち去っていった。
「フェリシア、今日は訓練中止だ」
「エミリー、私も行ってくる」
そう言いソルティアも去っていった。
「ねぇ、エミリー……あの犬って」
フェリシアは聴くとエミリーはロニカに近づき頭を撫でた。
「聞いたことはあるんじゃない?」
その言葉にフェリシアは頷いた。
「実はケルベロスは昔色々とこの世界を破壊寸前まで持っていったの」
「だから、今現れたって事は色々と始まったのかもしれないわ」
そう言い、エミリーはロニカの手を握った。
「私の部屋まで案内するわ、ついてきて」
エミリーはロニカに優しく声をかけた。
その声かけに小さく頷き鼻をすすりながらついて行った。
「フェリシア、貴方にも色々話しておくわ、ついてきて」
その言葉にフェリシアは後へ続いた。
ーーーーーーーーーー
3人はエミリーの部屋に入ると椅子に座った。
「さてと、ロニカって言ったわね」
そう問いかけると頷いた。
「貴方がここに来た理由とかあったら教えてほしいのだけど」
ロニカは無言で首を横に振った。
エミリーはあまり質問で攻めると精神を壊しかねないと思い、それ以上はしない事にした。
「まず……いや、やっぱりいいわ、これはまだ話さないでおく」
エミリーはそう言い立ち上がった。
その時、ドアからノックの音がした。
「お嬢様、エルフからフェリシアを至急、訓練所までとの事です」
エミリーはフェリシアの方を向いた。
「わかったわ、下がって」
そういうと足音は遠ざかっていった。
「私?」
首をかしげた。
「おそらく、近くに魔物が大量に出たと思うの、それを倒す為にみんなを集めて部隊を作っていく所だと思うわ」
その言葉にフェリシアはいきなり実戦なんてできるのか不安になった。
「ロニカの事は任せて、貴方はエルフの所に」
そうエミリーは言うとフェリシアは頷き、走って去っていった。
ーーーーーーーーーー
訓練所に入ると目の前が小さく光一枚の紙が現れた。
フェリシアはそれを手に取ると、第六班と書かれていた。
「こっちから順に並んでくれ!」
その声が聞こえると全員一斉に動き出した。
そして左の列から順に並ばれていった。
フェリシアは左の列から一つずつ数えて
6番目の列に並ぶと後ろから肩を掴まれる。
「貴方はもう一つ右ですわよ」
その声はミリアだった。
フェリシアは振り返った。
「あ、ミリアさん、ありがとうございます」
そう言い右の列に並び直した。
前から数えたら自分を含めて5人の隊だった。
他の列も同様で5〜7人程度だった。
「全員集まったようだな」
再び声が鳴り響く。
「今回は近くの森にゴブリンが巣を作ってるとの事、これはこちらに攻めてくる前兆である為、1匹残らず殲滅する」
「各自、命を落とすな!出動せよ!」
その言葉とともに無言の隊もいれば大声で叫んでる隊もいた。
そしてゆっくりと隊は進んでいくがその時
フェリシアは背中を突かれた。
振り返るとエミリーとロニカだった。
「話し合った結果、ロニカちゃんが飛ばされてる時にゴブリンの巣を見たって事で力になりたいんですって」
エミリーの言葉にロニカは頷いていた。
「それとこれ、私特製の剣よ、ロニカちゃんはナイフでいいんだっけ?」
フェリシアはありがとうと言い、ロニカは小さくありがとうと言った。
「さ、行ってらっしゃい」
その言葉に2人は頷きフェリシアの案内の元自分達の隊に行った。
やがて街を出ると平原が広がっていた。
そして徐々に隊が少なくなり森付近でとうとう自分を含め6人の第六班の隊だけとなった。
「あーあ、こっちは女3人もいるのかよ」
一番先頭から声が上がった。
「まーまー、落ち着けよ」
2番目の男が少し鼻で笑いながら言っていた。
「こっちの戦力は俺達2人だけじゃね?」
そう先頭の人が言うと三列目の男が割り込んだ。
「あ、あんまりそう言う事言ったらだめだよ」
気の弱い男の子だ、フェリシアは同い年か、それ以下だと思った。
「なによ、貴方達精霊術使えないんでしょ?」
フェリシアの前に並んでいる女性が口を出すと前の2人は舌打ちをした。
やがて森の中に入ると鳥の鳴き声も聞こえない程静かだった。
「な、なんでこんなに静かなの?」
気弱な男の子が言うと女性が肩に手を置いた。
「ゴブリンのせいでしょ、ビクビクしすぎよ」
そういうと、先頭2人の男子はクスクスと笑った。
気弱な男の子は気まずそうにしていた。
「ねぇ、ロニカちゃん」
フェリシアはそう呼ぶと俯いてた顔がフェリシアの方を向く。
「ロニカちゃんって何歳なの?」
話す事が思いつかなく取り敢えず簡単な質問をした。
「私は19歳です」
その言葉にフェリシアは驚いた。
自分と同い年か年下だと思っていたからだ。
「と、年上だったんだね」
「よく言われます、複雑な気持ちです」
とロニカは微笑みながら言った。
そう話していると前方の草陰からゴブリンが一体でてきた。
それと同時に6人は木の裏に隠れた。
「相手は一体だ、やっちゃおうぜ!」
「そうだな、楽勝だぜ」
そう2人が言うとゴブリン一体に一斉に走り出した。
「ま、まちなさい!」
女性の声を聞かず真っ直ぐに走り出した
男2人はゴブリンに気づかれる。
「ギャギャ」
そう動物のような声を発して動こうとはしなかった。
その時フェリシアは隣にいたロニカが何かに気づいていたのに気がついた。
男の2人がゴブリンに剣を振り下ろすと同時に2人の視界の前には矢があった。
その瞬間その矢はロニカの手に掴まれ男2人にあたることはなかった。
フェリシアはついさっきまで隣にいたロニカが一瞬にして移動していた事に驚いた。
「逃げましょう、罠です」
ロニカのその言葉と同時に木の裏などに隠れていたゴブリンが顔を出す。
「言われなくてもそうするだろ!」
「なんだよこれ!!」
男性2人がそう言い来た道を戻り走り出した。
フェリシアはロニカがこちらに走ってきたことを確認したのち男2人の後を追った。
フェリシアは気弱な男の子が付いてきているか確認すると自分の後ろにいるのを視認した。
男性2人は他の人の事を考えず自分だけが生き残るように逃げてる為他の人達よりスピードがやや早い。
その為女性の人との距離が徐々に開いていく。
「あっ!」
女性の人は木の根につまづき転ぶ。
後ろを振り返ると無数のゴブリンがこちらに迫ってきていた。
「ま、まって!」
その言葉に男2人は振り向くと。
「お、囮にでもなっとけ!」
「俺らは逃げる!」
そう言い走り去っていった。
女性より後ろに走ってたロニカは手を差し出した。
「行きましょう」
女性はその手を掴み起き上がり走り出した。
しかし女性の足が遅い為ゴブリンとの距離は徐々に迫ってきていた。
そして走り続けているとロニカと女性は隣り合わせで走っていたがゴブリンとの距離はもう2メートルもなかった。
女性は息が切れておりもう限界と思えた。
「大丈夫ですか?もう少しですのでがんばーーーーっ!?」
女性を元気付けようとしたが女性はロニカにタックルし、ロニカはゴブリン達を巻き込みながら転んだ。
その後女性は振り返る事なく走り去っていった。
「ギャギャ!」
ゴブリンは即座に起き上がり一体一体が
ロニカの手や足を掴み身動きを封じた。
「はなしてください!」
振り解こうとするがビクともしなかった。
ゴブリンはロニカの至る所を触り弄んでいた。そして、口にナイフを入れられた。
「んぐっ!?んんーーー!!」
ゴブリンはロニカに弄ぶのに集中してしまった為、押さえる力が弱まった。
ロニカはゴブリンの一瞬の隙をとり
ゴブリン2匹程を殴り飛ばした。
それと同時にうつ伏せとなり立ち上がろうとしたが他のゴブリンに背中から乗られ立ち上がることはできなかった。
そしてゴブリンは怒りの声を上げ持っていた刃物をロニカの背中に刺した。
「がはっ!」
背中に激痛が走り目から涙がこぼれ落ちた。
一体のゴブリンが刃物で刺すと他のゴブリンも刃物を取り出しロニカを刺し始めた。
「い゛っ! や、やめ……だずげーーっ!」
ザクザクと無数に刺されやがて首と頭に刺されるとロニカは動かなくなった。
「ギャギャ」
ゴブリン達は笑っているとそれは突然止んだ。
何故なら殺したはずの獲物が無傷となって生き返ったからだ。
ゴブリンは戸惑いはしたが良い玩具を見つけたと思った。
地面に落ちてるツタなどを集め手と足を縛った。
その瞬間ロニカは目を覚ました。
「ひっ!」
目を覚ますと同時に不敵な笑みを浮かべるゴブリンが目の前にいたのだ。
ゴブリンは表情と反応を楽しむ為再び刃物で
ロニカを刺し始めた。
首を絞め殺したり、頭を叩き割ったり。
あらゆる方法でロニカを殺していた。
ーーーーーーー
フェリシアは後ろを振り返ると女性しか走ってきてないのに気がついた。
「あ、あの、ロニカちゃんは?」
そう聞くが女性は目を逸らし走り去って行った。
その様子にフェリシアは嫌な予感がして戻った。
しかしフェリシアが戻ると気弱な男の子も
一緒についてきていた。
「ぼ、ぼくもいくよ」
フェリシアは無言で頷いた。
そしてある程度戻るとゴブリンが数匹集まっているのが見えた。
そしてロニカの今にも消えそうな声も同時に聞こえてきた。
フェリシアは能力を使いスピードを上げ、
そのゴブリンの群れにタックルをした。
ゴブリンとフェリシアはぶつかり、互いにぶっ飛んだ。
その後気弱な男の子がツタを切りロニカを抱えてフェリシアの方へ駆け寄ろうとした。
「大丈夫、いって!」
その言葉に躊躇せず走り出した。
フェリシアは起き上がり周りを見渡した。
すると頬と腕を矢がかすった。
フェリシアは能力を再び使い走り出した。
しかし、木にぶつかりそうになり能力を解除した。
やがて2人に追いつくとロニカは目を覚ました。
「ごめんなさい……」
フェリシアはその言葉に首を横に振った。
「自分で歩けますので」
そういうと気弱な男の子はロニカを下ろし3人で走っていると前方の草陰からゴブリンが現れた。
それに反応できなかったロニカと気弱な男の子は攻撃をもらいそうになるがフェリシアは2人を押してソレはフェリシアの頭部を直撃する。
その後フェリシアは剣で咄嗟にゴブリンの頭を切り落とした。
フェリシアはこの攻撃が刃物じゃなくて良かったと思った。
再び3人は走り出したがフェリシアが地面に倒れた。
「体が、動かない……」
フェリシアはアニメなどで大体こうなるのはマヒのせいだと思った。
おそらくあの矢なのだろう。
ロニカがフェリシアを担ぐと気弱な男の子の方を向いた。
「先に行って人を呼んできてください!」
そうロニカが言うと気弱な男の子は強く頷いて走っていった。
「初日から大変ですね」
ロニカは微笑みながらフェリシアに言うと
フェリシアは小さく頷いた。
「っ!?」
ロニカは立ち止まり木の後ろに身を隠した。
行く手を阻むように二体のゴブリンがいた。
「すこし待っててください」
そういいロニカはフェリシアを下ろし、すごいスピードでゴブリンに接近し、殴り飛ばした。そしてもう一体の攻撃を華麗に避け、もう一撃を同じゴブリンに与えた。
ロニカの戦いを見ていたフェリシアだが横からゴブリンが一体出てきた。
「あ……うあ……」
麻痺が全身にいってしまったのか声が上手く発せなかった。
ゴブリンはそれを悟ったのか武器を捨てフェリシアに覆いかぶさった。
「させないです!」
そう言いロニカはエミリーに貰ったナイフを投げるとゴブリンの頭部を貫き、ナイフはロニカの元に戻っていった。
いつの間にか二体のゴブリンは倒れていた。
「大丈夫ですか!?」
そう駆け寄りながら言うと返事をしたいがもう首を動かす事もままならなかった。
フェリシアはこんな無防備な状態ではいつ死んでもおかしくないと思い、少し不安だった。
ロニカはフェリシアを再び抱えて歩き出した。
「今は何もできなくて不安だと思いますが安心してください、私が守ります!」
フェリシアはその言葉にとても落ち着いて
平常心を保てた。
そうこうしていると森の出口が見えてきたが
その前に嫌な影が複数いた。
ゴブリンだ。
後ろの木の影からも現れ、いつからか誘き出されていたようだった。
「大丈夫です、私がフェリシアさんを守ります」
その言葉は何故か凄く安心感が湧いた。
ロニカはフェリシアを木にもたれ掛かるようにすると、全速力で敵の目の前まで行き薙ぎ払っていく。
ゴブリンの攻撃は一つとして当たらずロニカは一体一体を確実に倒していった。
そしてフェリシアの方に向かう敵もナイフの一撃によって倒れていった。
「はぁ……はぁ……」
ロニカは倒しても切りのない戦いに体力だけが減っていた。
「あぐぅっ!?」
ロニカは背中に鋭い一撃を受けたが、足を止めはしなかった。
そして再び攻撃をしようとした瞬間、足を滑らせ倒れてしまった。
「ぐっ!」
そして目の前にゴブリンが刃物を構えていた。ロニカは避けれないのを覚悟して目を瞑った。
「ギャっ!!?」
バチバチという音と共にゴブリンは吹っ飛んでいった。
その雷は森の外から放たれているものだった。
ロニカは目を開くと金髪の女性がいる事に気がついた。
それはミリアだ。
「わたくしの魔力を持って敵を消し去りなさい!」
そう言うとミリアは手を挙げ魔法陣を出すとそこから無数の雷がゴブリン全てを襲う。
一瞬にしてゴブリンは灰となった。
「あ、ありがとうございます」
ロニカが頭を下げて言う。
「別に気にしなくていいわ、それよりフェリシアさんはどこかしら?」
その言葉にロニカは小走りでフェリシアの所に向かうが何か様子がおかしい事に気がついた。
「あの、フェリシアさん……?」
近くとわかった、フェリシアは呼吸をしていなかった。
「フェリシアさん!」
その声にミリアは走って近いた。
「どうしたの?」
「息をしてないんです!」
そう言われてミリアはしゃがみ、フェリシアに手を触れる。
「わたくしの予想通りね」
そう言うとミリアの手が光その後、手を少しフェリシアから離すと手に雷を帯びる。
それをフェリシアの胸に強く当てると
パァン!という音と共にフェリシアの体は
ビクリと跳ね上がる。
「ゲホッ!ゲホッ!!」
フェリシアが息を吹き返すとロニカはフェリシアに抱きついた。
「フェリシアさん!」
「はぁ……はぁ……わた、しは……」
フェリシアは体が動く事を確認した。
「全く、ゴブリン程度に苦戦するなんてまだまだですわね」
その言葉にフェリシアは微笑んだ。
「あはは、ほんと……だね」
「助けに来てくれて……ありがとう」
そう言い終わるとフェリシアは気を失った。
「フェリシアさん!?」
ロニカは驚いたがミリアがロニカの肩を触った。
「安心しなさい、彼女は眠ってるだけですわ」
それを聞くとロニカは胸に手を当てて
安心した。
「さ、早く貴方達は城に帰ってなさい」
その言葉に首を傾げた。
「えと、貴方は?」
ロニカは名前がわからなく一度言葉を詰まらせたが気にせず続けた。
「帰らないんですか?」
その言葉にミリアはロニカの肩の上に手を置いた。
「私は後片付けがありますの、それと私の名前はミリアですわ」
「ありがとうございます!ミリアさん!」
そう言い大きく一礼をして、フェリシアを
背負い、ロニカは森を出た。
ーーーーー
「はぁ……」
ロニカは森を出ると小さなテントが数個
張られていて、何人かの人が集まっていた。
1人の兵がロニカに気づき手を振った。
「怪我人がいるならこちらへ!」
そう言われロニカは駆け足で向かった。
「フェリシアさんをお願いします」
そう言い兵に交代して兵はテントの中へ入っていった。
テントの外で弱気な子と無言で立ち尽くしているとエミリーの声がした。
「ロニカちゃーん」
ロニカはその声の方を向くと既に目の前まで
来ていてビックリした。
「んびっ!?」
ロニカの体を色んな所から見て怪我はないか確かめていた。
「あ、あの……」
「大丈夫そうね!」
そうこうしていると隣にいた男の子が
体を震わせていた。
「ひ、ひひひ姫さま!?」
その態度でエミリーは自分の立場を思い出した。
「あ、えと、ヒューイくんだっけ?」
そういうと男の子は更に驚いた。
「ど、どどどどどうして僕の名前を!?」
その言葉にエミリーは首を傾げた。
「どうしてって、私はみんなの顔と名前を覚えたからよ」
その言葉にロニカも驚いた。
「全員ですか!?」
ヒューイがそういうとエミリーは頷いた。
「と、そういえばフェリシアは?」
その言葉にロニカは今までの事を話した。
「そう、でも生きて戻ってきてくれてよかったわ」
そういい一息つくと同時にすごい爆発音と共に地面は揺れ森の奥から雷の柱が立っていたのを全員見てエミリー以外は驚いた。
「終わったみたいね」
その言葉と同時にフェリシアがテントから出てきた。
「フェリシアさん!」
ロニカは側までよるとフェリシアは微笑んだ。
「心配かけてごめんね」
「全く、本当よ」
エミリーが腕を組みムスッとした表情で言った。
「エミリー!?」
その反応に慣れたのかエミリーは苦笑いをした。
「あ、そういえばロニカちゃんは」
フェリシアがロニカに話そうとした瞬間
ロニカはフェリシアから三歩下がりナイフを持ち構えた。
「あ、貴方は誰ですか!?」
その急な言葉に一同は唖然とした。
周りの兵もその声に気づいたのかロニカの方を見始めた。
「ロニカちゃん?」
フェリシアはロニカに近こうと一歩前に歩み寄るとロニカは一歩下がった。
「近づかないでください!」
固まった空気の中、森の中からミリアが
戻ってきたがその様子にロニカに声をかける。
「ちょっと、何事?私がいない間にケンカなんてしてるんですの?」
そう言いフェリシアとロニカの間に歩み寄ろうとした瞬間ロニカは咄嗟に声をあげた。
「きちゃダメです!!」
その言葉と同時にテントの中から禍々しい光が一直線にミリアの胸目掛けて飛んで来た。
本来反応できるスピードでは無いはずなのに唯一ロニカだけは反応できていた。
ロニカはナイフを飛ばし光を跳ね返した。
しかし、思わぬ方向に飛んでしまった。
「ゲホっ……」
その光はフェリシアの胸を貫き口から血を吐いた。
「違う、こんな……私はこんな事を……」
ロニカは頭を抱えていた。
エミリーはフェリシアを抱えて胸に手を当て精霊術で治していた。
「おち……ついて、ロニカちゃん」
ロニカはフェリシアの方をゆっくりと見た。
「私は大丈夫……だから」
そう言い微笑んで。
しばらく静かな時間が過ぎた。
「治ったわ」
そう言いエミリーは一息ついた。
「全員聞いてください! テントの中から人が出てきた所を見た人はいますか?」
エミリーは大声で言うと全員首を横に振っていた。
「テントの中にいる医療班は何人かわかる?」
フェリシアにエミリーが聞くとフェリシアは
指を二本立てた。
「ふ、ふたりだった」
その言葉に頷きエミリーはもう一度声をあげた。
「医療班の2人は1人ずつゆっくりと出てきてください!」
その言葉にテントの中から1人目がゆっくりと出てくる。
「ミリア」
エミリーが言うとミリアは頷きながら
1人の医療兵に手を向ける。
「もう1人出てきて」
そういうと同じようにもう1人も出てきて
ミリアはその人にも手を向けた。
「こ、これで中には誰もいないはずですよね」
ヒューイが震えながら言うとエミリーは
ゆっくりと中へ入っていった。
テントの中に入って数秒が立つとミリアはテントの方が気になりほんの少しだけ目を離した、その時兵の1人が手をテントの方とミリアの方に向けた。
その瞬間、テントは爆発した。
そしてミリアの方に禍々しい光が放たれたがロニカはそれを飛ばしたナイフで上空へ跳ね返した。
「あら、不思議な技を使うのね」
男の医療兵から女の声がしたと共にその兵から黒い煙が出てきて兵が倒れるとそこには黒い服の化粧が強めの女性が立っていた。
「それに、私の技を初めて見て何度も防いだのは貴方が初めてよ」
女性は袖からナイフを取り出し指でクルクルと回していた。
「初めてって、もう何度もみてますよ」
その言葉に一同は何度もこの人に出会っているのかと思った。
「まぁいいわ、私は目的を果たす だ・け」
そう言いエミリーが中に入っていった
焼き焦げたテントに向かおうとすると
それをフェリシアが剣を構えて守るように前に出た。
「エミリーはやらせない!」
そう言い剣とナイフが交わりつばぜり合いとなった。
「貴方、綺麗な目をしてるのね……」
その言葉と視線に恐怖を感じた。
「な、何を……」
「その目を頂いてもいいかしら?」
そう言いながら空いてる手でフェリシアの顔に近づける。
「くっ」
フェリシアは互いの顔の間に魔法陣を出した。
「っ!?」
敵は警戒した瞬間、魔法陣から水がはじけた。
その水で目が眩んだ瞬間フェリシアは相手の背後に回り込んだ。
「はぁ!」
肩から腰にかけて一直線に斬るが手応えは無かった。
「今は引いた方がいいわね」
「けど、少し腹が立ったから貴方を殺すことにするわ」
そう言い突然医療兵の後ろに現れた。
「そ、そんな! 見逃してくれるって言ったじゃないか!!」
兵は怯えて後ずさりする。
「そんな事言ったかしら、忘れちゃったわ」
そう言いナイフを兵に振り下ろすと、辺りに血が飛び散った。
誰もが兵が殺されたかと思ったがそのナイフはロニカの右手に止められていた。
「約束は……守るもの…………です!」
歯を食いしばりながら言うと相手の腕を思いっきり殴った。
「ゔっ」
女性は痛みで表情を歪めた。
「本当に貴方は、厄介ね!」
目にも止まらぬ速さで女性はロニカから離れた。
その瞬間ロニカの腹と首から血が噴き出した。
「がはっ!!?」
ロニカは膝から崩れ落ちた。
「流石にこの攻撃は避けられないでしょ」
と余裕のある表情でいう。
その瞬間、フェリシアが女性の後ろに物凄いスピードで向かい剣を振り下ろした。
「よくもロニカちゃんを!」
しかし、その一撃は無事であるもう片方の手で止められた。
「別にこの世界では死は当たり前じゃない」
「貴方も、ここにいる人も、それは当然の事、もちろん私も……ね」
女性は不敵に笑うとフェリシアは恐怖した。
「何を言ってるの」
「あら、わからない? 貴方、転移者なのでしょ?」
フェリシアは驚き、手の力が一瞬抜けてしまったため、少しだけ押し返されそうになった。
「あらあら、油断してたらスッパリ言っちゃうわよ」
フェリシアはなんとか体制を立て直した。
「あ、貴方も転移者なの?」
「そうねぇ、私も貴方達と同じ転移者よ」
「なんでこんな事……」
「なんで? そもそも、転移者が全員良い人とは限らないわよ? それに、この世界は許せないもの」
そう言った瞬間、フェリシアの足元に紫色の魔法陣が現れ、そこからトゲが生えてきた。
フェリシアはそれを後ろに下がり回避した。
「串刺しにならなくてよかったわね」
そう言い不敵に笑うと女性の後ろから猛スピードでロニカは拳を前に出し突進した。
「やぁ!!」
しかしその攻撃は見えない壁があるかのように途中で止まった。
「この能力、意外に使えて助かってるわ……ね、エリンちゃん」
そう言いながらロニカを見た。
「エリンって誰ですか?」
ロニカは首を傾げた。
「あら、覚えてないの? 片割れちゃん」
そう曖昧な言葉とともに笑みを浮かべながら言うとロニカ惑わされていると思い一度距離を取った。
「私は、戸色・アナスタシーロニカです」
そう言うと女性はニヤリと笑った。
「そう、そう言う感じになっているのね、面白いからそのままでいてほしいわ」
そう言い女性は森の方へ歩き出した。
「そろそろ疲れたし、帰らせてもらうわ」
その言葉と共に周りの違和感を覚えたロニカとフェリシアは、ふと見渡した。
2人は周りの状態に驚いた。
まるで時が止まっているかのように
フェリシアとロニカと女性以外、全く動いて
いなかったのだ。
「これは、何が……」
フェリシアが呟き、女性の方を見ると
既に姿を消していた。
その瞬間、時が動き出したかのように
全員一斉に動き出した。
「あ、あの女は!?」
ミリアが驚くように言うと今はそれより
エミリーの方が大事だと思い全員テントの方を見た。
「姫さま!」
兵達は一斉に駆け寄った。
その瞬間焼けたテントの中からエミリーが
ススだらけではあるが無傷で出てきた。
「ケホっ……、もう、いったいなんなのよ」
服についたススを払いながら立つと
兵士は安心していた。
「えと、大丈夫?」
「大丈夫よ」
フェリシアがそう言うとエミリーは
一瞬だけ笑顔になって大丈夫と答えた。
その時、城の方面から人の声がした。
「おやおや、これは何事かな? 女王エミリー様」
その声を聴くとエミリーの表情が険しくなったのをフェリシアは見た。
「第3の王ベルザルト……」
エミリーはいつもよりトーンを低くして言った。
「おやおや、王に向かって様を付けないとは相変わらずですね、エミリー さ・ま」
そこには少し太り気味の王冠を被った
男性が立っていた。
「っ……」
エミリーは睨みつけた。
「なんだいその目は、一応私はエミリー さ・ま、よりも上の立場の人なんだよ?」
「態度を気をつけなくてわなぁ?」
そう言い王と名乗る者はエミリーの頭を
強めに撫でてエミリーの髪はボサボサになる。
「失礼しました、ベルザルト・プロイスト王」
不機嫌な顔のままエミリーは誤った。
「して、なんの騒ぎかね?」
ベルザルトは話を戻した。
「はっ! ゴブリン討伐を目的とした我が兵達の拠点に謎の黒服の女性が現れ襲撃を受けました」
1人の兵がそう言うと王はエミリーを見た。
「その格好を見るに、狙われたのはエミリー さ・ま ではないのかね?」
「全く、王族としての意識を持って貰わぬからこのような事態になるのだよ、王族であるにも関わらず、このような地に足を運ぶなんて」
ベルザルトは煽るように言うがエミリーは無言だった。
その言葉が終わるとベルザルトの後ろから
フェリシア達と同じ班の男2人が出てきた。
「あ、2人共無事だったのですね」
ロニカはそう呟くとその言葉は2人の男に
掻き消された。
「ベルザルト様! わ、私達はこの人達のせいで死ぬ所でした!」
「森の中でゴブリンの群れに襲われ、撤退する状況になった時この人達に囮にされたのです!!」
その突然の発言にフェリシアとロニカは
混乱した。
「ほう、その話は本当かな?」
王が尋ねると男2人は頷いた。
「仲間を盾にするとはなんと下劣な! これは死刑にするしかないな!!」
王がわざとらしくいうとエミリーは口を出した。
「何をデタラメを言っているのですか?」
「囮にしたのはそこのペルトとガリアです」
エミリーの言葉を聞くにペルトとガリアが
男2人の名前だというのをフェリシアは理解した。
「それはこちらのセリフだな、エミリーさ・ま、自分の仲間が大事だからと言っても罪をなすりつけるとは、それでも女王ですかな?」
その言葉にエミリーは更に口を出した。
「フェリシアとロニカが2人を囮にしたと何故言えるのですか! 証拠もないでしょう」
エミリーの言葉にベルザルトは笑った。
「わっははは!」
「証拠なんてものは必要ない、次期王になるものか、一般人か、大切にするのはどちらか決まっているであろう?」
その言葉にエミリーはベルザルトを睨んだ。
「貴様……」
その言葉にベルザルトは更に笑みを浮かべた。
「まぁ〜た、口がなっとらんぞぉ?」
そう言いベルザルトはエミリーの頬を片手で
両頬を挟むように抑えた。
「ぐっ……」
ベルザルトは顔を近づけたがエミリーは目を逸らした。
「まぁいい、後は好きにしてくれ、私は城に戻るとするよ」
そう言いエミリーを思いっきり突き飛ばし、エミリーは地面に尻餅をつく。
そしてベルザルトと男2人は城に帰っていった。
「大丈夫?」
フェリシアとロニカは同時に駆け寄った。
「えぇ……、大丈夫」
エミリーは俯いたまま返事をした。
「そうだ、ミリア、あの事をお願い」
エミリーはミリアの方を見て言うと
ミリアは頷いた。
「もう、ですか?」
エミリーは再び俯いた。
その行動を見た後ミリアは城へ走り出した。
「本当にごめんなさい……」
エミリーはフェリシア達の方を向き
謝った。
「そんな、エミリーが謝る事じゃ……」
フェリシアがそう言うがエミリーは首を横に振った。
「戻ろっか、そこで色々話すわ」
小さめな声で言うと城へ歩いて行った。
「もっと強くならなきゃ……」
フェリシアは呟いてエミリーについて行った。その後ろでロニカもついて行った。
ーーーーー
城内の廊下を歩いていると前方に壁にもたれかかっている白髪でピンクの瞳の女の子が
いた。
それを見るとエミリーはフェリシアとロニカに目を向けた。
「話は風呂でしましょ、先に行ってて」
そう言われるとフェリシアは頷いた。
「ロニカちゃん、いこっか」
ロニカは頷いた。
エミリーは2人がいなくなったのを確認すると女の子に近づいた。
「ソリア、どうだった?」
そう問いかけるとソリアは窓の方に近づいた。
「エミリーの予想通り、部屋には例の物があった」
その言葉にエミリーはため息をついた。
「そう、ありがとう、これから風呂に行くのだけど一緒にどう?」
そう問いかけるがソリアは首を横に振った。
「2人っきりじゃないならいかない」
その言葉にエミリーはいつも通りだなという表情で返事をした。
「わかったわ、それじゃあ、引き続きお願いね、ミリアの事も……ね」
ソリアは頷き体を光らせて何処かへ消えた。
「いつも見てるけど、ほんと……精霊術の使い方が独特ね」
エミリーはソリアが消えた後に少しの間だけ残った光を見てから風呂場へ歩いて行った。
「さて、2人を待たせたら悪いから急がないとね」
ーーーーー
「私こんなにデカイお風呂初めて見ました!」
ロニカは大きな風呂を見てかなり興奮していた。
「もしかして温泉に行った事ないの?」
フェリシアが体を流しながら言うとロニカは首を傾げた。
「温泉って何ですか?」
「うぇ?」
フェリシアは驚いた。
「そんな事より、早く入りましょうよ!」
そう言いロニカは駆け足で風呂に入ろうとするがフェリシアは声を出した。
「ロニカちゃん、ちょっと待って!」
その声で突然泊まろうとしたロニカ足が滑り尻餅をついた。
「だっ!」
「だ、大丈夫?」
フェリシアは駆け寄り右手を差し出した。
「は、はい、すみません」
ロニカは手を取り立ち上がろうとするが
今度はフェリシアが足を滑らせロニカが
フェリシアの上に乗るような感じで
コケてしまった。その際、フェリシアは
石鹸を背中で踏み真っ二つに割れた石鹸は
風呂の扉付近まで飛んで行った。
「いだっ!」
「わっ」
その時、風呂の扉が開きエミリーが入って
きた。
「あら、お取り込み中だった?」
そう言われるとフェリシアは慌てて答えた。
「ち、違うよ!」
エミリーは微笑んだ。
「ふふ、わかってるわ」
そう言いエミリーは風呂場に入るとさっきの
割れた石鹸の片方を踏んでしまい、石鹸はクルクルと回転しながら転がって行った。
「あっ」
パシーンという音が鳴り響く。
エミリーはコケた。
「だ、大丈夫ですか!?」
ロニカは心配になって駆け足で近寄ろうとするとエミリーが転んだ石鹸がロニカの足に丁度入り込みロニカは再びコケた。
石鹸はフェリシアの方に飛んで行った。
「びゃっ!!」
パシーンという音が再び鳴り響く。
「ふ、2人共だいじょゔっ!」
フェリシアは右手を床につき立とうとしたが
その手に石鹸が入り込み風呂の角で頭を
強く打ち付けてしまい、ゴツっ! と鈍い音が鳴り響く。
「ふ、2人共、大丈夫??」
フェリシアは何事も無かったかのように聞いた。
エミリーとロニカは頭から血を流している
フェリシアを見て慌てていた。
「一番大丈夫じゃないのはフェリシアさんですよ!?」
「一番大丈夫じゃないのはあなたよ!!?」
エミリーは石鹸を取りながらフェリシアに近づいた。その後ろからロニカも近づいた。
「えへへ、ズキズキする」
フェリシアは微笑みながら言うとエミリーは
フェリシアの頭に手をかざした。
「えへへじゃないよ、全く」
エミリーの手が光るとフェリシアの傷は治った。
「ありがと、エミリー」
「うん」
フェリシアはロニカの方を見た。
「そうだ、風呂……温泉に入る前は体を軽く流すんだよ」
そういうとロニカは頷いた。
「私に任せて」
エミリーは手を上に掲げると水の塊が
3人の頭上にできた。
「へ?」
フェリシアとロニカは上を見上げて言うと
ソレは思いっきり振ってきた。
「ぶへぇ!」
びしょ濡れになりフェリシアの頭から流れた血は全て流された。
「これでオッケーね、入りましょうか」
そういうと3人は同時に風呂に入った。
「ねぇ、エミリー」
「ん?」
「王について聞きたいんだけど」
フェリシアは恐る恐る聴くとエミリーは上を向いた。
「そうね、話しておくわ」
「過去から現在までの流れ、そして王という存在を……」
エミリーは語り出した。
「この国は昔、王と女王が1人だけだったの」
「その2人は国民から愛され、また2人は国民を愛していたはずだった……」
「ある時、女王は王を突然殺し、魔術を使い街を破壊した」
そのことを聞きフェリシアは首を傾げた。
「国民を愛してたんじゃないの?」
エミリーはフェリシアに微笑んだ。
「実際の所、本人にしかわからないけど愛していた……とは思う」
フェリシアはさらに首を傾げた。
「街を破壊したとは言ったけど、死者は出なかったの」
「まぁ、王を殺して街を壊した女王は全員から魔女と言われ国を追放されたわ」
フェリシアは疑問に思った。
「国に王や女王がいなくなった時って誰が仕切るの?」
エミリーは頷いた。
「本当か嘘かは分からないけど、その時は王と女王の子供がいたらしいよ、隠し子ってやつ」
フェリシアは「あっ」と呟いた。
「それがエミリー?」
「違うよ、そもそも昔って言ってるじゃん、私その頃いないよ」
フェリシアは得意げに答えたが外れてしまい恥ずかしくなった。
「それで、取り敢えず王はその子になったんだけど、また不測の事態に備えて王は複数人にしようという事になったのよ」
フェリシアは水に口だけ沈めてブクブクしながら頷いた。
「まぁ、そんなこんなで色々続いてね、子供が王になってったけど、女の子が生まれれば、それは一番下に置かれてね……今のようになってるってわけ」
エミリーが話を終えると立ち上がった。
「そろそろ出ましょうか」
その言葉にフェリシアは頷き立ち上がり、ロニカの方を見た。
「ロニカちゃん、いこっか」
「はい」
ロニカは立ち上がった。
「せっかくだし3人で洗いっこしない」
エミリーが言うとフェリシアは悩んだ。
「ふぇ……」
「しましょうしましょう!」
ロニカは楽しそうに言った。
フェリシアはそれを見て断りずらかった。
「わ、わかったよ〜……」
3人はシャワーの方へ向い腰をかけた。
「じゃあまずはフェリシアを洗おう!」
エミリーがそういうとシャワーを手に取った。
「目を閉じて、頭にかけるよ」
フェリシアは言われた通り目を閉じた。
エミリーとロニカはシャワーで濡らしシャンプーを使いフェリシアの頭を洗い始めた。
「なんか、気持ちいい」
「でしょでしょ」
エミリーは嬉しそうに言っていた。
「ながすよ〜」
エミリーが言うとフェリシアは軽く頷いた。
泡を全て流し終えるとフェリシアは目を開けた。
「じゃあ次はエミリーで」
そういうとエミリーは頭を出した。
「おねがいするわ」
フェリシアはシャワーを持った。
「ながすよー」
そう言い頭にお湯をかけた。
ロニカはシャンプーを手に取りエミリーを洗い始めた。
「痒いところはありませんかー! なんて」
ロニカがそう言うとエミリーは少し笑った。
「大丈夫だよ」
そしてフェリシアはシャワーで泡を落とした。
「こんな事するの久しぶりで嬉しい」
エミリーは満足そうに言っていた。
目から垂れた水が頭から落ちてきた水なのか涙なのかはわからないがフェリシアには泣いていたように見えた。
「最後はロニカだね」
エミリーがそう言うとフェリシアはシャワーからお湯を出した。
「じゃあながすよー」
そう言うと同時にロニカは目を瞑り頭を出した。
「ロニカちゃんって、髪多いね、長いし」
フェリシアが言うとエミリーはシャンプーを手に取り質問をした。
「普段どうやって洗ってるの?」
「適当にワシャワシャって感じでやってます」
そう答えるのが分かっていたようにエミリーは言葉を発した。
「そんな風にしたら髪が傷んじゃうでしょ、もっと優しくやらないと、て言うかもう傷んでるところあるけども」
少し長めの時間洗い、シャワーで流した。
「じゃあ次は体だね」
エミリーが言うとフェリシアは恥ずかしそうに喋った。
「あ、えと、体は自分で洗わない??」
そう言うとエミリーは考え込んだ。
「時たまいるよね、なんでそんなに恥ずかしいの?」
その言葉にフェリシアは目を逸らした。
「恥ずかしんだもん」
「別に恥ずかしがるような身体はしてないと思うけどなぁ、太ってるわけでもないし、肌も綺麗で女性らしい体型、一部除く」
色々言われフェリシアは恥ずかしさが増した。
「うぅもう!わかった! わかったから!」
エミリーは、ふと思った。
「はっ! もしかして胸!」
「ちがう!」
エミリーの言葉をかき消すようにフェリシアは言った。
「この中だと私が一番大きいかな?」
エミリーは得意げに言った。
「そうだねぇ〜……」
フェリシアはションボリしながら言った。
「でも大丈夫! 二番はフェリシアだから!」
「一番小さいのは……この子だから!」
エミリーは親指と人差し指を伸ばし、人差し指がロニカの方に向くような感じにしてウィンクをしながら言った。
「へ?」
ロニカは何の話か分からないのか首を傾げていた。
「じゃあ、さっきとは逆の順番で洗おっか」
そう言うとフェリシアは頷きロニカの方を見た。
少しだけ沈黙があった。
「あ、私だ!」
そう言いロニカは一度お辞儀をした。
「お願いします」
タオルに石鹸をつけ泡立たせてエミリーとフェリシアがロニカの身体を洗い始めた。
「んんー、くすぐったいです」
ロニカは少しムズムズしていた。
「ロニカちゃんって思ったより少しだけ筋肉がある感じなんだね」
腕を洗いながらフェリシアが言うとロニカは
少し照れながら微笑んだ。
「実は武道をやってますので」
エミリーは興味を持った。
「へぇ〜、どんな武道なの? 空手??」
その言葉にフェリシアはこの世界に空手があるのだと思った。
「ロニカ道です!」
フェリシアとエミリーは戸惑った。
武道の名前に自分の名前がある事がとても不思議に思えたのだ。
「え、えと、ロニカ道??」
フェリシアが首を傾げながら聴くとロニカは
笑顔で頷いた。
「ロニカ道って言うのは、音を頼りに相手を見切り、カウンターをメインとした武道です!」
自信満々で答えていた。
「今度見せてよ」
エミリーが少し興味を持ち言うとロニカは頷いた。
そしてロニカの身体を洗い終わると順番ではエミリーだった。
「じゃあ次はエミリーさんですね!」
ロニカは泡立てたタオルでエミリーの身体を洗い始めた。
「エミリーって何歳なの?」
フェリシアはエミリーの身体を洗いながら聞いた。
「突然どうしたの? うーん、何歳に見える?」
その返しにフェリシアは悩んだ。
「14歳!」
ロニカが勢いよく答えた。
「ふむふむ」
エミリーはニヤニヤしながら言った。
「確かに見た目は14くらいには見えるけど中身は20とかそのくらいだよね」
フェリシアはそう言った後にエミリーの胸を見た後に自分のを見て少し落ち込んだ。
「大丈夫、大丈夫、フェリシアもきっとすぐ大きくなるよ」
フェリシアはエミリーから励ましの言葉を貰ったが気になった事があった。
エミリーは顔をそらして言っていたのだ。
「思ってないんだよね……むーー……」
エミリーはフェリシアの言葉に慌てて答えた。
「ち、ちがうの!そうじゃないの!」
そうこう言っていると横からロニカがシャワーを持ち出した。
「そろそろ流すよ!」
その言葉にエミリーは頷いた。
「おねがいするわ」
エミリーの身体を流し終わると最後はフェリシアの番だった。
「つ、次は私かぁあ」
フェリシアは声が裏返った。
「あはは、緊張し過ぎだよ」
そう言いエミリーは泡立てたタオルを手に取りフェリシアの身体を洗い始めた。
フェリシアは目を強く瞑り我慢していた。
「フェリシアの身体は……なんて言うか、子供のような感じがしてすぐ壊れそうで心配になる身体してるね」
エミリーはそう言いフェリシアの腕を持ち上げた。
「腕も細いなぁ……すぐ折れちゃいそう」
エミリーがそう言うとロニカもフェリシアの手を持った。
「ホントだ……」
ロニカは呟き、少しの間マジマジと見ていた。
フェリシアはロニカを見て首を傾げた。
「えい!」
ロニカはフェリシアの腕を曲がらない方向に力を入れた。
「いだだだだぁあいぃっ!!」
フェリシアは涙目で手を振り解こうとするが
全く動かせなかった。
「あ、ご、ごめんなさい!!」
ロニカは慌てて手を離した。
「い、いきなりなにするの!?」
フェリシアは腕の関節を撫でながら言った。
「な、なんかいきなりやってみたくなっちゃって、本当にごめんなさい!」
ロニカは頭を下げた。
「べ、別にいいけど、もうしないでよ」
フェリシアの言葉にロニカは強く頷いた。
「あははは、ホント何やってるんだか」
エミリーは異様に笑っていた。
そして2人はフェリシアの身体を洗い終わり
シャワーで流し3人は立ち上がった。
「それじゃあ、出よっか」
エミリーが言葉を放ち3人は出ようとすると出口から複数の男性の声が聞こえ始めた。
「えあ……しまったぁー!」
エミリーは頭を抱えて言った。
ロニカとフェリシアはエミリーの方を見た。
「今、男性用の風呂が壊れてて時間を分けて男性用と女性用を使い分けてるんだった!」
「えぇ!? 何でそんな大事な事忘れてるの!!」
フェリシアはアタフタした。
「取り敢えず隠れよう!」
エミリーが誰も見ないかつ、そこに行かないであろう隙間を指差した。
「2人は先に言ってて! 今ならドア越しで言えば間に合うかも」
そう言いフェリシアはドアへ向かい、エミリーとロニカは隙間に隠れに言った。
「へへ! 今回も一番乗りだ!!」
男性がドアを強く開けた。
「あ?」
「ひっ」
男性とフェリシアは目が合った。
しかし一瞬にしてフェリシアは隙間に隠れ
男性には一瞬で消えたように見えた。
「おい、ドアの前で止まるなよ、何してんだ」
他の男性が入ろうとしていた。
「いや、今女の子がいた気がしたからさ、目が合ったし」
男性はキョロキョロ周りを見たが見当たらなく首を傾げていた。
「お前、ついに幻覚まで見始めたのか?」
そう言い笑いながら中に入っていった。
「ま、気のせいか」
気にせず中に入った。
「はぁ……はぁ……見られた、かもぉ」
フェリシアは赤くなりながら言った。
「2人とも、男達を引きつけるから合図と共に外に出て」
そうエミリーが言うと頷いた。
「いくよ」
そういうとエミリーは魔法陣を出した。
その瞬間、風呂場の水が色々な形になり男達を襲いかかった。
「な、なんだこれ!?」
「ぐはぁ!」
風呂場は大混乱になっていた。
「今のうちに!」
そう言い3人は外へ走り出した。
外へ出ると身体をタオルで拭き、服を着て走って出た。
「はぁ……」
3人は一息ついた。
窓の外を見て真っ暗になってることに気がついた。
「もうこんな時間なんだね」
フェリシアが言う。
「フェリシアは部屋に戻ってもう寝たら?」
その言葉にフェリシアは首を傾げた。
「ロニカちゃん、少しだけ話がしたいからいい?」
エミリーの言葉にロニカは頷いた。
「じゃあ、先寝てるね、おやすみ」
フェリシアはそう言い自分の部屋へと戻って行った。
「うん、おやすみ」
ーーーーー
部屋に戻ったフェリシアはベッドに横になった。
その時凄い勢いで顔にペンちゃんが乗っかってきた。
「ふぶっ!」
フェリシアはペンちゃんを撫でた。
「きゅっきゅっ!」
ペンちゃんは喜んでいるようにも見えた。
顔に引っ付いてるペンちゃんを外し、自分の横に移動させた。
そしてポケットから電話を取り出しアリンにかけた。
「あ! もしもし!!」
元気のいい声が聞こえてきた。
「もしもし、こんばんは」
フェリシアは昨日と同じように今日の出来事を報告した。
「ほほほう!そんな事があったのね!!」
「げ、元気だね」
少しうるさいと感じる程の声量だった。
「あ、そうだ、大切な事を言い忘れてたから伝えるんだった!」
「大切な事?」
フェリシアは電話越しではあるが首を傾げた。
「その携帯は大事に使ってくださいね、それが壊れると元の世界に帰れなくなっちゃうので!」
何故今更言うのかとフェリシアは思った。
「わ、わかった……気をつける」
そのあとアリン側に誰かの話し声が聞こえた。何を言ってるのかは分からなかった。
「ごめんなさい、もう行かないと」
「はい、わかりました、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
そう言い電話は切れた。
「やっぱり、もっと力をつけないと」
フェリシアは強く思い、目を閉じた。
ーーーーー
ドタバタと何人かの足音が部屋の外から聞こえてきた。
フェリシアはその音で目が覚め起き上がった。
「こんな朝早くに、なんだろ……」
目をこすりながら言うと扉が強く開けられた。
「次期王子候補の殺人未遂で貴様を死刑にする!」
突然の事で頭が追いつかなかった。
「へぇ??」
どうでしたか?
少しおかしなところがあるかもですが
これからも頑張っていきます!