表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碧の勇者の転移物語!  作者: おでん
1/5

第1話:異世界転移

「その世界は本物ですか?」

の別視点です!

なんか、何を言えばいいのかわかんない!!

「んんーーー……」

一人部屋の中でテレビに向かって少女は唸った。

「うっ、2キル32デス……」

少女は暇な時はゲームをやるけど、今回は知り合いに勧められたFPSゲーム、戦争もののシューティングゲームをやっていた。

「私にはむいてないかなぁ……」

ゲームの電源を切りベッドに寝転がった。

「はぁ……今何時だっけ?」

少女は仰向けのまま携帯の画面を付けた。

「2時半過ぎ……かぁ」

その時指の力が抜けて顔に携帯を落としてしまった。

「あたっ!」

携帯を取るのも面倒くさくなり、そのまま目を閉じて寝ようとした。

それを妨げるように瞼を通って光が目に入った。

「まぶし……」

携帯の画面でも付いたかと思い携帯を手に取った。

「あれ?」

携帯を取ったのに光が消えない事に驚き目を開けた。

「へ? ここどこ?」

少女は周りを見渡すと真っ白な空間にいた。

「あー、えっと、初めまして」

そう後ろから声が聞こえ少女は後ろを振り返った。

そこには小さな光の玉が一つ宙に浮いていた。

「初め……まして?」

よく分からず取り敢えず返事を返した。

「突然の事で混乱していると思いますが落ち着いて聞いてくださいね」

光の玉がそういうと少女は首を傾げながらも頷いた。

「貴方はこれから異世界に行って世界を救ってもらいます」

そう光の玉が言うと少女は「はい」と言った。

「…………」

返事をして少しの間沈黙があった。

「あ、えぇーと、では、貴方に特殊能力を一つ与える事になっておりますので、何がいいですか?」

光の玉がそういうと、少女は首を傾げた。

「あ、えっと……はい」

少女は特に答えなかった。

「あ、貴方に特殊能力を一つ与える事になっておりますので、何がいいですか?」

光の玉は英語でそう言っていたのを少女はなんとか理解した。

「えーと、あってますかね?」

光の玉は少女が白髪だからか英語じゃないと話せないと勘違いし英語で話し始めた。

「えと、私……日本語わかります」

少女が答えたあと、再び沈黙ができた。

「えと、ごめんなさい……突然すぎて理解がまだできていませんので」

少女が申し訳なさそうに言う。

「あ、いえ、気にしなくて大丈夫ですよ!!」

「ところで、余り驚かないのですね?」

少女は首を横に振った。

「驚きはしました、ですが、その……はい」

少女がそういうと光の玉は少し距離をとった。

「ごめんなさい、えと所で何の話でしたか?」


「えーと、じゃあ改めて貴方に特殊能力を一つ与える事になっておりますので、何がいいですか?」

光の玉は再び質問し直した。

「えと、高速移動ができる程のスピードが欲しいです」

少女は、よくゲームで速さを活かしていたのを思い出しそう答えた。

「意外な選択ですね、もっと伝説の剣とか凄い魔法とか選ぶのかと思いました」

光の玉はそう言い、少女に近づいた。

少女の顔の前に光の玉が来ると少し光った。

「はい、これで貴方のスピードは超絶速いです!」

少女は体には何も違和感も感じなかったが本当なのだろうと思った。

「あ、でも一つ注意が必要です、貴方のその能力は無理矢理早くしてるだけなので、体が壊れる可能性があります、脚力は多少上がってますが、それ以外は全部いつもな貴方ですので気を付けてください」

少女は多少理解し、取り敢えず頷いた。

「あの、光の玉さん、名前ってなんですか? 私はフェリシア、フェリシア・ルシティです」

「私はアリンです、一応女神をやっています」

自己紹介を終えると少女はひとまず立ち上がった。

「あの、一つ聞いてもいいですか?」

「はい、どうぞ」

「なんで私が選ばれたのですか?」

アリンは少し間があったが、答えた。

「えと、実はたまたま、くじ引きで決まりました」

その答えを聞いたフェリシアは雑だなと思った。

「えと、選ばれちゃったんで頑張ります」

フェリシアはそういいアリンに微笑んだ。

「えーと、では、こちらのゲートをくぐって世界を救いに行ってください」

そうアリンが言うと左側にゲートが現れた。

「あ、それとですね、フェリシアさんの携帯に私と話せるようになるようにしましたので、おヒマな時は……その」

アリンは恥ずかしそうにモジモジしていた。

「はい、ぜき電話しますね、私も不安な事も多いので」

フェリシアは緊張が解けたのか無意識のうちに笑顔で言っていた。

「はい!」

アリンは嬉しそうに返事をした。

フェリシアはその返事を聞いた後、ゲートを潜ろうと一歩踏み出した。

「あっ」

しかし足がゲートに引っかかってしまった。

「いたっ!」

フェリシアは草むらにうつ伏せでぶつかった。

「フェリシアさん!?」

アリンの声が聞こえた気はしたがゲートは既に閉まっていた。


ーーーーーー

「大丈夫かな……フェリシアさん、ちょっと抜けてるところがあるような……でも大丈夫なはず!」

ーーーーーー


「ここが、異世界」

周りには広い草原が広がっていて、目の前に大きい街が見えた。

「こんなに広いし、少し試してみようかな」

手に入れた能力を使おうと思い、少し強めに足を踏み込み走り出した。

その瞬間、フェリシアは物凄いスピードで草原を駆け回った。

「すごい!風が気持ちいいし、早くて楽しい」

もう少しスピードを出しても大丈夫と思いさらにスピードを出した。

「…………」

しかしアリンの事を思い出し、やっぱりスピードを緩め止めようとした。

足で地面をエグるようにブレーキかけた。

「あ、やばそう……」

ブレーキで落ちていくスピードと前方に木の枝があるのを見てぶつかるのを確信した。

「ゔっ!」

スピードは落ちてきてはいたが間に合わず木に直撃し枝が折れ地面に落ち止まった。

「ゲホッゲホッ!」

木の枝は腹部に激突しフェリシアは腹部を抑え咳き込んだ。

「調子に乗るもんじゃないなぁ」

そう呟き歩いて街に行くことにした。


ーーーーーー

街に入ると沢山の人が賑わっていた。

商店街には店が沢山並んでいた。

「凄い人混みだなぁ」

そう言った瞬間、前方の人混みの中から女性の声が聞こえた。

「誰かその青い服を着たヒッタクリを捕まえてください!」

その声を聞き、何かのきっかけになると思いヒッタクリを捕まえることにした。

「あ、あれかな」

猛ダッシュで逃げているような青い服を着ている人を見つけその人を走って追いかけた。

少しの間追いかけていると段々人気がなくなってきていた事に気付き始めた。

小さめの橋の上でようやくジャンプしてヒッタクリを捕らえた。

「そのペンダントですね」

ヒッタクリの手に持っていたペンダント奪った。

ヒッタクリもペンダントを取り返そうとフェリシアのペンダントを持っている左手を右手で掴んだ、しかしその右手は何か切られた後があった。そしてヒッタクリは左手にナイフを持ち、それをフェリシアに降った。

それをとっさに右手で防ぐが手のひらに当たり、血が出た。

「いっ!」

その瞬間、ヒッタクリは舌打ちをし逃げて行った。

「取り返せてよかった……」

呟き一息つくと突然背中から棒のような物で突かれ地面に倒れ左手を後ろに持っていかれ、首近くに刃物を突きつけられた。

「い、いきなりなんですか!」

右手の痛みと突然の出来事に混乱し、下手をしたら殺されるんじゃないかと怖がり声が震えていた。

「やっと追いつきました! さぁ、早く返してください!」

さっきのヒッタクリを捕まえてと叫んでた声の人が目の前に来た。

その言動にフェリシアは戸惑っていたがヒッタクリと自身の服装が似ている事に気がついた。

「私じゃないです!」

震えた声でそういうと、目の前にいる、いかにもお姫様という姿をした金髪の女の子はしゃがんだ。

「私はヒッタクリからペンダントを取り返しただけです」

痛みのせいなのか、恐怖でかは分からないが目から涙が溢れ始めた。

「何を苦しい言い訳を、その手の傷は私が貴方を見失はないように付けた傷なんだ……から?」

女の子は首を傾げながら右手を見た。

「あれ?私の付けた傷じゃない……それじゃあ本当に?」

女の子は何かがおかしい事に気付くと考え始めた。

「お嬢様、こいつはどうしましょう」

後ろで抑えている兵士がそういうと目の前で再びしゃがんだ。

「私の目を見てください」

そう女の子が言うとフェリシアは涙を流しながら首を横に振った。

「涙のせいで貴方の目が見えません」

何故こんなに泣いているのかがようやく分かった。

確かに恐怖もあったが、それ以上に右手が手の平から肩まで凄い激痛が走っていたからだ。

「目を向けるだけで構いません」

その言葉を聞き顔を女の子方へ向けた。

フェリシアは涙を通してその子の目が光ったのが少し分かった。

やがてその光は静まり、立ち上がった。

「もういいです、その子を離してください」

そういうと兵士達はフェリシアの上からどき、少し距離をとった。

左手で涙を拭いながら立ち上がった。

「これで大丈夫です」

いつの間にか右手の痛みはなくなっていた。

「痛く……ない」

右手を見たが傷がスッカリ治っていた。

「その手の傷から毒が入ってたから治したわ、それと」

「ほんっとうにごめんなさい!!」

女の子が強く言うとフェリシアは少し驚いた。

「べ、別に大丈夫ですので、その、傷を治してもらったし」

そう言うと、女の子は首を横に振った。

「ぜひ私の城に来てくれませんか?」

女の子は真剣な表情でそう言うとフェリシアは流れのまま頷いた。

「わかりました、私はフェリシアです」

「ありがとうございます、私の事はエミリーと呼んでください」

フェリシアはエミリーに案内されながら城へ向かった。

その最中に街の景色をフェリシアは眺めて楽しんだ。

やがて城へつくと、フェリシアが思っていたより一回り大きい事に驚いた。

「さ、行きましょう?」

城に見とれていたフェリシアをエミリーは呼んだ。

「あ、はい」


ーーーーーーー

「この部屋で待っててください」

そう言われ、その部屋の椅子に座って待つことにした。

おそらくこの部屋はエミリーの部屋ではないかと、部屋の見た目からフェリシアは判断した。

「んーー……あっ」

周りを見渡しているとペンギンに近いぬいぐるみを見つけ側へ寄った。

「モフモフだ……」

ぬいぐるみの触り心地が気持ちよくハマってしまった。

その時、ガチャリと扉が開きエミリーが入ってきた。

「あら?そのぬいぐるみ気に入ったの?」

「あ、えっと……ごめんなさい」

そう言いながら慌てて抱き抱えていたぬいぐるみを元の場所に戻した。

「別に持ってても、いいのだけど」

エミリーがそう言うと再びぬいぐるみを手に取り胸あたりに抱き上げ椅子に座った。

「まず、私を助けていただいてありがとうございます」

エミリーは再度改まってお礼を言うとフェリシアはどうすればいいか分からなかった。

「あ、えぇっと……私は別に」

「それでですね、フェリシアさん、何か欲しいものはありますか?」

エミリーがそう言うと首を傾げた。

「お礼に何かを差し上げたいので、何でも言ってください」

フェリシアは考えた。

欲しい物と言われても、この世界にどんなのがあるのかわからない、そもそもただ助けただけなのに、そう考えながらエミリーの方を見た。

「お金でもいいですよ?」

エミリーはそう言っているが、フェリシアはお金を貰うのには抵抗があった。

「んー……」

この世界がファンタジーなら強くなければ生きていけないとフェリシアは思った。

「あの、ここの兵士さん達って何処かで訓練とかしているんですか?」

「できれば私も訓練に参加して強くなりたいのですが」

そう言うとエミリーは頷いた。

「裏の方に訓練場がありまして、そこで行なってますね、私の方から言っておきます」

エミリーは立ち上がった。

「……?」

エミリーはフェリシアの前に来ると手を出した。

「そのぬいぐるみ少し貸してもらっていいですか?」

ぬいぐるみを言われた通りに渡した。

エミリーは、そのぬいぐるみを机に置くと両手をぬいぐるみの方に向け目を瞑ると手の先から光が赤青緑黄色と四色の色が集まってできた玉ができた。

「綺麗……」

その光の玉は見惚れてしまうほど鮮やかで綺麗なものだった。

エミリーは一呼吸置いた後、その光をぬいぐるみに入れた。

「ふぅ、できたわ」

そうエミリーが言うとぬいぐるみがピクピクと動き始めた。

「何をしたんですか?」

「簡単に言えば、ぬいぐるみに命を吹き込みました、正確には精霊を中に入れました」

フェリシアは何となくだが言っていることが理解できた。

すると、ぬいぐるみは立ち上がり小さな腕をパタパタさせた。

エミリーの方を見ていたぬいぐるみをエミリーはフェリシアの方に指をさした。

ぬいぐるみはフェリシアの方を向き、テチテチと足音を立てながら歩いて近づいてきた。

「んぶっ!?」

ぬいぐるみはフェリシアの顔に飛び、へばりついた。

「その子を可愛がってあげて」

エミリーがそう言うとフェリシアはぬいぐるみを取り頷いた。

「よろしくね、ペンちゃん!」

ぬいぐるみに名前をつけた。

「キュッキュッ!」

ぬいぐるみは鳴き声を出して喜んでいたようにフェリシアは思えた。

「それでは、えっと、そろそろ帰ります?」

エミリーがそう言うと泊まる場所が無いことにフェリシアは気が付いた。

「あ、えと、泊まる所がありません……」

そう言うとエミリーは驚いた顔をした。

「でしたら空き部屋を使ってください、案内しますね」

「あ、お願いします!」

立ち上がるとペンちゃんはフェリシアの頭の上に乗った。

3階につき、しばらく歩くと一つの扉の前で立ち止まった。

「この部屋をご自由にお使いください、私は少しやる事がありますので、では」

そう言うとエミリーは何処かへ行ってしまった。

「少し豪華?」

部屋の扉を開けると空き部屋の割にはベッドに椅子、机と綺麗に揃っており、ホコリも無かった。

フェリシアはベッドに座るとペンちゃんは頭から飛び降りベッドに転がり、小さな両手でベッドを叩いていた。

「んー、これからどうしよう……」

そう思っていると、ふとアリンに電話ができる事を思い出し携帯を手にアリンに電話をかけてみた。

「あ、フェリシアさん! どうですか、異世界は、何かありました?」

アリンは何やら嬉しそうに喋っていた。

「泥棒を捕まえて、お姫様とお友達になって、城で泊まれるようになりました」

今までの事を簡単に言った。

「お姫様……なんか凄いですね」

言われてみればと今頃思った。

「あの、アリンさん、お姫様に私が異世界からやってきた事は隠した方がいいんですか?」

ペンちゃんを撫でながらフェリシアは聞いた。

「そうですねー、お姫様だけには伝えても大丈夫です、ただ余り良いことではないので気をつけてくださいね」

「はい」

「ま、そんなに深刻な話でもないんですけどもね」

結局どっちなのか気になった。

そう話しているとドアの外から足音が聞こえてきた。

「あ、誰か来たみたいだから切ります」

「はい、ではお気をつけて」

そう言い電話を切り携帯をしまった。

それと同時に扉からノックの音が聞こえた。

「はーい」

返事をして扉を開いた。

そこには清楚な白服を着た金髪の男性がおり、服装からしてこの城の騎士なのではと思った。

「初めまして、君がフェリシアであってるかな?」

男性はそう言うとフェリシアは頷いた。

「俺はエルフ、君が剣を習いたいと聞いて俺が教えることになったんだ」

「あ、よろしくお願いします」

頭を下げた。

「でもまー、訓練は明日からにして今日は少し城でも案内するよ」

「お願いします」

そう言うとペンちゃんは私の背中に飛び乗り肩に登ると目を瞑り眠った。

「んん……」

ペンちゃんはフェリシアの頬に頬を思いっきりくっ付くように寝た為、少し鬱陶しそうな顔をしながらもフェリシアは我慢し部屋を後にした。

「君はどのくらい剣を扱えるんだい?」

本物を触った事がないフェリシアは実際はよくわからなかった。

「剣は使った事がありません」

エルフは少し驚いたような顔をしたがすぐに笑顔に戻った。

「はは、まぁそうだよね、騎士にならないと大抵は剣を使わないからね」

エルフは少し考え込んだ。

「んー、城の案内って、どこを案内すればいいんだろうね?」

そう言うと、なんと答えればいいか分からず少し戸惑った。

「うぇ? ど、どうなんですかね?」

エルフは頷いた。

「よし、訓練場は案内する予定だけど、他は風呂場かな?」

「ありがとうございます」

そう言うとエルフさんについて行った。

一階に降り玄関から真反対の場所にある風呂場に到着した。

「ここが風呂場だよ」

やっぱり城の中だけあって、かなり広そうだった。

「じゃあ、訓練場に行こうか」

「あ、はい」

案内はスムーズに進み城の裏に着くと沢山の兵が素振りの練習をしていた。

「おおぉ〜……」

なかなか見れない光景に関心していた。

「あ、男性だけじゃないんですね」

よく見ると兵士に女性もいることがわかった。

「ああ、男女両方いるよ」

エルフは練習している兵士をキョロキョロと見渡した。

「あ、いたいた、おーいソルティア」

エルフは手を振りながら誰かを呼んだ。

その後団体の中から1人の女性が走ってきた。

「エルフ、この子が例の?」

と赤髪のポニーテールの女性の人がエルフに聞いた。

「ああ、お願いできるか?」

「まかせて」

2人が話してる間にペンちゃんは目を覚まし頭の上に移動した、そして2人の話が終え、エルフはフェリシアの方を向き何処かに行く事を告げ去っていった。

「さて、急遽私が指導する事になったんだけど、私は剣の扱いがエルフより劣るから剣の方はエルフに聞いてくれる?」

「私の名前はソルティアでよろしく!」

と彼女が言い手を出してきたからフェリシアも手を出し握手した。

「フェリシアです、よろしくお願いします」

ソルティアはフェリシアの肩をポンと叩くと左の方に指をさした。

「私が教えるのは精霊術だよ」

指をさした先には人型の的に魔法を放っている人たちがいた。

「じゃあ、いこうか」

フェリシアはソルティアの後をついていった。

「さてと、精霊術ってのは知らないんだよね?」

そう尋ねられるとフェリシアは頷いた。

「簡単に言うと精霊術って言うのは精霊と契約して等価交換する事で精霊術を使う事が可能になるんだ」

「ま、言葉で言われても分からない所があると思うから実際にみせるね」

ソルティアがそう言い右手を前に出した。

するとその右手から手の平位の赤い魔法陣が出てきた。

その魔法陣から赤く光る小さな球が現れ、ソレは次第に炎をまとい始めた。

「はぁ!」

手を一度引いてから思いっきり前に突き出した瞬間、手から炎の球が放たれ人型の的を灰と化した。

「今のが精霊術ね」

「すごいですね!」

フェリシアは興味深々だった。

「そんな新鮮な反応されると照れるな」

ソルティアは頭をかいた。

「じゃあ、フェリシアもやってみようか」

「はい」

「と、その前にフェリシアの得意な属性を見つけないとダメだったんだ」

ソルティアさんはポケットから葉っぱを一枚出した。

「それは?」

「これはただの葉っぱ、これを手の平に乗せて」

言われた通りにした。

「ソレを握って手に力を流し込む感じにしてみて」

目を閉じて手に集中した。

「…………」

「もういいよ」

そう言われ手を開くと葉っぱは何にもなってなかった。

「失敗ですか?」

フェリシアは精霊術が使えないのかと思い、少し落ち込みそうになった。

「いや、よく触ってみて」

ソルティアは葉っぱを触って言うとフェリシアも触った。

「湿ってる?」

その葉っぱは若干湿っていた手汗で湿ったのではとフェリシアは思った。

「フェリシアは水属性だね」

「水ですか」

精霊術を使えることが分かりホッとした。

「因みに他には、炎、雷、土、風、闇、光、全、があるよ」

その説明を聞きフェリシアは(全)以外は何となく理解した。

「全ってなんですか?」

首を傾げて聞いた。

「全はそのまま、全てって意味だよ」

「全部得意ってすごいですね」

ソルティアはその言葉に首を横に振った。

「たしかに色々出来るけど、突出してない分できないこともあるんだよ」

フェリシアは思ったより難しい事だという事を理解した。

「因みに私は炎ね」

ソルティアは親指を立てながら言った。

「それじゃあ、やろうか、手を前に出して」

フェリシアはさっき見た通りの動きをした。

「んで手の平から精霊を何となく呼ぶ感じにして」

言われるがまま手に集中すると青色の魔法陣が現れた。

そしてその中から青い球も出てきた。

「その光ってるのが精霊だよ、その精霊に君の力を流し込むようにして、一気に飛ばす感じだよ」

手を引き思いっきり放とうとした瞬間、パァーン!と音と同時に水が弾けその衝撃で尻餅をついてしまった、そして頭に乗っていたペンちゃんも地面に落ちた。

「いたっ!」

前だけ若干濡れてしまった。

「あはは、失敗だね」

そう言いソルティアは倒れたフェリシアに手を貸した。

フェリシアはその手に捕まり立ち上がった。

「あ、あの……今の失敗で精霊さんは死んじゃったりしてませんよね!?」

フェリシアは精霊が爆発してしまったのではと思っていた。

「大丈夫だよ、打ち出すだけになった時には既に精霊は居ないからね」

その言葉に一安心した。

「ソルティアさーん」

他の精霊術をしている人がソルティアを読んでいる声が響き渡った。

「あ、呼ばれたから少し行くね」

「今行くよー」

ソルティアはそう言うと兵士の方へと歩いて行った。

「ふふふ、精霊術もロクに扱えないなんて飛んだ若輩者ですわね」

声の聞こえる方を見ると長めな金髪に横に小さなツインテールをしている女性が側に歩いてきていた。

「初めまして、フェリシアって言います」

フェリシアは取り敢えず挨拶をし握手しようと手を出したが女性はその手を叩いた。

「そんな汚い手を私に握らせるおつもりですか?」

その言葉に精霊術が失敗した時に地面に手を付いていた事を思い出したフェリシアは申し訳なさそうに頭を下げた。

「あ、ごめんなさい……」

「ふん、貴方みたいな人が来るからダメになっていくんですわ」

フェリシアは首を傾げた。

「えと、何の話を……」

「世間の事も知らないんですの? 飛んだ愚か者ですわね貴方は!」

「あ、えと、あの……」

何を言えばいいのかわからずアタフタしていた。

フェリシアは少し横を見るとソルティアが走ってきているのに気がつき女性の人は元の場所に帰って行った。

「ごめんごめん、ちょっと遅くなって」

「あ、いえ、そんな」

さっきの女性を見ると雷系の精霊術を使用していた。

その威力は高くフェリシアは凄いと思った。

「ん? あの子気になるの?」

「へ?」

フェリシアはソルティアの方を向いた。

「あの子はちょっと気難しい子だから、頑張ってね」

そう言うとソルティアはフェリシアの肩をポンっと叩いた。

それと同時にペンちゃんが頭の上に乗って来た。

「って、もうこんな時間か」

ソルティアが小さめな時計塔の様な所を見て言った。

「時間は同じなんだ」

フェリシアはこの世界の時間が元いた世界と同じ事を知り呟いた。

「今日はもうお姫様の所に戻ってて、私はやる事あるから一緒に行けないんだ」

「わかりました」

そう言い戻ろうとした時ソルティアが呼び止めた。

「そうそう言い忘れてた、明日は8時から剣の訓練でそのあと精霊術の訓練って感じだからね」

そう言われると深くお辞儀をして戻った。

城の中が広く迷いそうになったが部屋の前までなんとか戻ってこれた。

ドアノブを握り回して入るとエミリーが椅子に座っていた。

「あ、やっと帰ってきましたね」

そう言いエミリーは走ってフェリシアの目の前にきた。

「一緒にお風呂に行きましょ?」

「え?」

突然の誘いに唖然とした。

「ほらほら、親密を深めるには裸の付き合いって言いますよ」

「えぇ〜」

手を引かれるがままにフェリシアは連れてかれた。

部屋の扉が閉まる前にペンちゃんは中へ入って行った。


ーーーーー

風呂場に着くとエミリーは服を脱ぎ始めた。

「早く脱がないと脱がせるわよ?」

「わ、わかりました」

ニヤけながら言うエミリーに脱がせられないようにフェリシアは焦りながら服を脱いだ。

「さあさあ、早く入りましょう」

「あ、あんまり引っ張らないでください」

エミリーはお湯を自分にかけた後、フェリシアにお湯をかけてきた。

「それ!」

「んぶっ」

フェリシアは顔に着いた水を手で拭うとエミリーは手を掴み風呂の中に入れられた。

「気持ちいいね」

「えと、はい」

戸惑いながら返事をした。

「いきなりごめんね、私風呂が大好きで誰かと一緒に入りたかったんだ」

「なんでそれで私なんですか?」

そう言うとエミリーは手の平をこちらに向けた。

「敬語は今から禁止だよ!」

「え、あ、うん」

フェリシアは返事をした。

「よし」

エミリーは満足そうな笑みを浮かべた。

風呂場のドアからノックの音が聞こえてきた。

「お嬢様、二人分の服をお持ちいたしました」

女性の声だった。

「ありがとう、それと貴方も入らない?」

「いえ、私はメイドですからその様な事は致しません」

そう言われるとエミリーはムスッとした表情になった。

「わかったわ、下がっていいわよー」

そう言われるとドアの影からお辞儀をしたのがわかりドンドン遠ざかっていった。

「あの子は硬いわね、全く」

「えと、アレが普通だと思うよ?」

そう言うとエミリーは暗い顔をした。

「わかってるけど……でも」

「……?」

沈黙となった瞬間突然エミリーは両手を上げて水が飛び散った。

「わーー! もう! 」

フェリシアは心臓が止まるかと思うほど驚いた。

「ねぇ、フェリシアって何処から来たの?」

その質問に困ったフェリシアは考え込んだ。

「えっと……」

どう答えようか迷っているとエミリーはニヤりとした。

「異世界でしょ!」

その言葉に驚いた。

「なんでそれを?」

「やっぱり?」

エミリーは嬉しそうにしていた。

「まー、簡単に言えばこの世界に転移してくる人がかなり多いからかな?」

この世界に来てるのは他にも居たんだとフェリシアは驚いた。

「ま、なんだか分からないけど異世界から人が来てるって気づいてる人はかなり少ないみたいなんだけどね」

エミリーは精霊術で手を光らせて水を自在に操りながら言った。

「そうだったんだ、じゃあこの町にも誰かいるの?」

「どうかな、この町では余り見た事ないかも」

操っていた水を水の中に入れ背伸びをした。

「まぁ、案外沢山いると思うよ?」

「それより、この世界の事を知りたいんじゃない?」

フェリシアは頷いた。

「まず簡単に言うとねー、この世界は三つの国があってエルガン、ガルス、そしてここエスティーユで、元々はこの三つの国で戦争とかしてたんだけど、突然現れた魔物を対処するのが先と言う事になりエスティーユとエルガンは共闘してるって状況ね」

「ガルスって所とはしないの?」

「できるならしたいわよ、だけど何度声を掛けても音沙汰なしなのよ」

エミリーは残念そうに言うと話を続けた。

「で、さっき言った魔物っていうのなんだけど、フェリシア達からしたらこっちの方がわかりやすいね、魔王が現れた」

フェリシアはその言葉に自分のするべき事が分かった気がした。

「そのせいで被害が増えるばかりなの?」

フェリシアの言葉にエミリーは首を横に振った。

「うーん、微妙な所かな……今は案外静かにしてるけど、ジワジワやってきてるのよね」

エミリーはため息をついた。

「私がここに来たのも……」

「魔王を倒すためなのかもね」

フェリシアの言葉に続いてエミリーが言った。

「うぅ〜……」

フェリシアは壁に手をついた。

その様子を見たエミリーは立ち上がった。

「ごめん! のぼせたよね!」

そういいフェリシアの手を掴んで出た。



ーーーーー

風呂から出てフェリシアの部屋の前に来るとエミリーは笑った。

「今日は付き合ってくれてありがとね」

「うん」

そう言葉を交わすとエミリーは何処かへ行ってしまった。

一息つき部屋の扉を開けるとベッドの枕の右側にペンちゃんが寝ていたのに気がついた。

フェリシアは窓に手を当て外を見ると真っ暗な夜空に星が無数に広がっていた。

「これから色々頑張らないとな」

そう言い部屋の電気を消してベッドで横になった。

「浴衣で寝るのいつぶりなんだろ」

目を瞑った。

どうでしたか!?

これからも頑張ってきます!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ