閑話①親心?
アイリス達が入学した頃、城では…
~王城、執務室~
「陛下、手が止まってますよ」
宰相が声をかける。
机の上の書類の山が中々減らない。
ただでさえ普段からサボりがちなのに1週間前天井に磔にされ、降ろすのに時間がかかったのが未だに響いている。
「ふぅ…やる気が起きん」
王がため息をつく
「王女様とアイリス様の事が気になりますか?」
「……ああ」
そう言って王は席を離れ窓際に立つ
「正直2人共学園にやりたくなかった。だがそれでは駄目なのだ。特にアイリスは…」
「アイリス様は存在自体隠されてますからね」
「そうだ。存在を隠し幼いころから密偵としての訓練を施され、王女同様アイリスもこれと言った友人がいない。しいてあげればお前の息子だが…出来れば同性の友人を作ってほしい。あの子が甘えたり、助けになるような」
「そのためにわざわざ見習い中のアイリス様を護衛に抜擢したのですね…女性の護衛というだけなら他にもいるのに」
「そうでもしなければあの子は動かん。それにマリアはアイリスが異母姉だという事を知らない。名乗る事もないまま一生密偵として生きるのならせめて共に接する時間を与えてやりたいし、密偵となる前に普通の女の子として過ごさせてやりたい」
そう言って窓の外に目を向ける
「……アイリス様にそう言えば磔にされることもなかったでしょうに…」
宰相が苦笑する
王も苦笑する
「言ってもあの子は変わらんよ「余計なお世話」と言うだろう…それでもよいのだ。あの子が学園で少しでも異母妹と過ごし、思い出を作れれば…いつかはあの子もわかってくれるさ 」
「陛下……陛下のお気持ちはきっとアイリス様に…」
「伝わるわけないでしょう」
王がズッコケた
「言わなくても通じるなんてあるわけないでしょう!?何のために口がついてるんですか!最初からアイリス様にそう言ってれば磔にされず、こんなに仕事が溜まる事も無かったんですよ!!(# ゜Д゜)」
「そこは嘘でも「いつか通じる~」とか言うところだろう!?せっかくカッコつけたのにぃ~~(ToT)」
「嘘なんか言ってどうするんですか!?ほらサッサと仕事して下さい!ただでさえ普段からサボってて溜まってるんですからね?」
しかし王は床から起き上がらない
「うう~~~~(~_~;)」
恨めしそうに宰相を睨んでいる
「………ふぅ。気持ちは通じないでしょうが無駄にはならないでしょう。アイリス様も卒業する頃にはまぁまぁ良い思い出になったと思われると思いますよ?多分」
「そうか。それならいいんだ。あの子の役に立つなら」
そう言って起き上がる。
「しかしお前ホント口悪くなったな。」
「貴方相手に我慢してもロクな事が無いと学びましたからね。ところで息子と王女の婚約の件ですが…」
「却下」
ガクッと宰相がうなだれる
「お前まだ根に持ってるのか?あの子も昔は子供だったが今は……………ププッ( *´艸`)」
「根にもってるのか!?もってるに決まってるでしょう!!!!王女に悪気が無いのは知ってますし恨んではいませんけどね!未だに社交界で腫れ物扱いですよ!?(# ゜Д゜)それも元はと言えばアンタが!!!!!」
宰相が王の胸ぐらをつかんで思いっきり揺さぶる
「ま、待て落ち着け(;^ω^)(しまった地雷だった!)」
「これが落ち着けるか!このこのこのこのこのこの――――――――!!!!!!(# ゜Д゜)」
30分後終わった書類を引き取りに来た文官が何故かヘロヘロになって床に突っ伏してる国王と肩で息をする宰相を見て開けかけたドアを閉め無言で引き返した
王国は(一部を除いて)今日も平和です
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