5.密偵見習いは幼馴染に会う
教室に入ってしばらくすると学園長がやって来た
「え~~~皆さん。突然ですが昨日の夜リンド―先生が何者かに襲われ怪我をなさいました。命に別状はありませんがしばらく入院するのでその間別の先生に担当してもらいます」
突然の事に教室がざわめく
「…………」
「お静かに。それでは先生お入り下さい」
教室に入ってきたのは若い女の先生だった
「皆さん初めまして。リンド―先生に代わりこのクラスを受け持つ事になったガーベラです。よろしくお願いします」
「それでは先生。後はお願いしましたよ」
そう言って学園長は去る
「では授業を始めます」
キーンコーン
終了の鐘が鳴る
「じゃあ今日はここまでね。次は…体育の授業ね。校庭で実技の先生が待ってらっしゃるから遅れないように移動してね」
そう言ってガーベラ先生は出ていく
体育なら着替えないとな
更衣室に向かおうとすると…
「やぁアイリス」
「ケイジュ」
「聞いたよ。朝校門の前で騒ぎを起こしたって?」
「向こうが勝手に騒いだだけよ」
「そうか」
彼はケイジュ=ローレル
宰相の息子で王女の婚約者で私の幼馴染である。
「そんな事言いに来たの?」
「いや。君はそんなこと気にしないだろう」
ケイジュは人目をはばかる時は私の事を「君」と言い、2人の時は「お前」と言う
「君が王女の護衛としてきたと聞いて見に来たんだよ。どうせあの王がゴネたんだろ?王女が心配だけど男の護衛をつけたくないとか」
「当たり」
いい迷惑である。
「ま、親心だろ?迷惑って顔に出てるけどたまには親の気持ちを汲んでやれば?」
「王と王女の親子関係に興味ない」
「王女の事を言ってるんじゃないんだけどなぁ~」
「?意味が解らないけど移動しなきゃいけないからどいて」
「あぁ次は体育かぁ。しょうがないな。続きはまた今度」
そう言って彼は去る。
「よく来た新入生の諸君!私が体育担当のクーバーだ。これからよろしく!(大声)」
やたら元気な先生である。正直言って大声がうるさいし暑苦しい
「まずは基礎体力からだ!校庭10周だ!!(*^▽^*)」
シ―――ン
全員が沈黙する
「お、どうした?ここは張り切るところだろう?(^○^)」
「先生…その、10周は難しいかと…」
生徒の1人が言う
当然である。
平民はともかく貴族が運動などするわけがない。それも女子がいるのに10周は無理だろう
「ハハハハハハ大丈夫!根性で何とかなる!!(*^▽^*)」
なるわけないだろう!!!!!!!!
身分の垣根を超えて全員の心が一致した瞬間だった
学園は今日も平和です
ご覧いただきありがとうございます<(_ _)>