4.密偵見習いは手紙を処分する
自己紹介が終わり今日はこれで帰る事となり荷物を纏めていると
「あら?」
王女の声に目をやると手元に1通の手紙が…
「王女様、私が読みますので触らないで下さい」
「え~~せっかく私宛に来たのに~~~」
不満そうに言うのを無視して取り上げ差出人と中身を確認する
「……………」
「何て書いてあるの?」
横から王女が覗きこもうとするのを避けて手紙を丸めて捨てる。
「いえ。ただのイタズラですサッサと帰りましょう」
王女の鞄を持ち外に向かう
「あ、待って~~~」
もちろん待たない。どうせ王女の足なら追いつく
寮に帰り制服を着替え荷物の整理をする。
整理が済んだ頃夕食の時間になり食堂に行く
夕食も王女と一緒だ。
王女がやたらはしゃいで話しかけるのをひたすら適当に流した。
その後部屋に戻り所用を済ませ手紙の事など忘れてさっさと寝た。
~翌日~
「おはようアイリス。今日もいい天気ね」
「そうですね」
適当に相槌を打ちながら校門をくぐろうとすると―――
「ちょっとアンタ!!」
後ろから声がした
振り向くと昨日王女を睨んでた子が立っていた
「何で昨日来なかったのよ!おかげで2時間も待たされたわ!!」
「?」
王女が首を傾げる
「あぁ…昨日の手紙の…」
思い出した。
昨日の手紙は差出人の名もなく王女に人気のない裏庭へ来いという内容だった
「昨日の手紙なら私が処分しました」
「はぁ?何でアンタそんな事するのよ!?」
目の前の子が驚いてこちらを見る
「何でって…当たり前でしょう?私は護衛なんですからあんな怪しい手紙を見せたり、ましてや人気のない場所への呼び出しなんてさせる訳ないでしょう」
「あ、怪しくなんかないわ!れっきとしたクラスメイトの呼び出しよ!!」
いや匿名の時点で充分怪しい
そろそろ生徒も集まってきたしサッサと終わらせてほしい
「と、とにかく今日の放課後絶対裏庭に来なさいね!今度こそ絶対よ~~~~」
そう言って彼女は走り去っていった
「はぁ~~~~」
ため息をつく
「アイリス。昨日の手紙呼び出しだったの?教えてくれないなんて酷いわ何で教えてくれなかったの?(・へ・)」
「さっき私が言った事聞いてなかったんですか?人気のない場所に呼び出すなんてさせる訳ないでしょう?」
下駄箱で靴を履き替え教室に向かうと王女もついてきた。
「お友達になりたかっただけかもしれないじゃない(・へ・)」
「お友達になるのに人気のない場所に呼ぶ必要はありません」
「より交流を深めるためかもしれないじゃない?2人きりの方が気持ちが盛り上がって愛が深まるって本で読んだわ」
「それは恋人同士の場合です。女同士でそれはありません」
「でもお母様は愛に性別は関係ないって仰ってたわ」
「この場合深めるのは友情でしょう。愛は関係ありません」
「愛はすべてを救うって仰ってたわ」
「ならあなたの頭もぜひ救ってほしいですね」
「???よく分からないけどとにかく私は放課後裏庭に行くわ。止めても無駄よ」
「…分かりました。じゃあ私も行きます。これも止めても無駄です」
「分かったわ。アイリスも友情を深めたいのね?(*^▽^*)」
「違います」
「いいわ。みんなで愛を深めましょう(*^▽^*)」
「だから愛じゃありませんって」
学園は今日も平和です
ブックマークありがとうございます。頑張ります<(_ _)>