閑話④幼馴染
「ふぅ…」
早朝、人気のない裏庭を歩く
あの後医者に診てもらったところ左腕の骨にヒビが入っていたらしい
あとアバラも2本ほど折れていたそうだ
どうりで痛いと思った
医者に安静を言いつけられベッドに縛りつけられ退屈だった
ようやく退院し早めに登校したのだ
王女の護衛については私が全快するまでレナさんが臨時でつく事になった
驚いた事にレナさんは元密偵だそうだ
「現役の頃より勘は鈍ってますが…」と言っていたが謙遜だと思う
「やっぱりここにいたな」
「ケイジュ」
現れたのはケイジュだった
「よくわかったわね。誰にも言ってないし、見られもしなかった筈なのに」
まだ夜が明けたばかりだ
「何となくな。1人になりたいんだろうなと思って」
「何それ」
「お前この間の騒ぎで人質に取られて王女の足かせになった事に落ちこんでるだろう」
「……」
「その上毎日王女が見舞いに押しかけてきて気を抜く暇もなくて1人になれる場所を探してたんだろう」
「………」
「黙ってるって事は図星か」
「…幼馴染って嫌ね。何でも分かってしまう」
「そうでもないさ。結構伝わらないこともある」
「?」
そのままケイジュはこちらに近づき…
「わっ!」
いきなり人の頭を撫でだした
「な、なに!?何するの!」
「分かるだろ?頭を撫でている」
「そんな事分かっているわよ!何で頭を撫でているのかって聞いてるのよ!?」
「撫でたいからだ」
「何よそれ!!」
振り払おうとするが結構力が強い
ぐしゃぐしゃと髪を乱される
「お前はよくやったよ。王女から話を聞いたけどお前に落ち度はない、むしろあの状況でよく王女を無傷でいさせられたものだ…といってもお前は自分で納得できないんだろうな」
「………」
「それなら何言ったって無駄だ。気が済むまで落ちこんでそれから浮上すればいい。少なくともお前はただ落ちこんで閉じこもる奴じゃないだろう」
「わかってるわよ。ちょっとだけ…ちょっと落ちこむだけよ」
「あぁ好きにしろ。俺はもう何も言わないし見ないから」
そうして私はしゃがみこんでちょっとだけ泣いて落ちこみ、その間ケイジュは背中合わせで何も言わなかった
やがて私は立ち上がる
ケイジュも合わせて立ち上がる
「もう気は済んだか?」
「まぁね…ところでこの髪どうしてくれるの?すっかりグチャグチャよ」
「寮に戻って直せばいいだろう?まだ授業まで時間はある」
「面倒」
「じゃあ休めばいい」
「それは駄目。動けるようになったんだし護衛に戻らないと」
「じゃあ精々頑張るんだな。ついでに天然との婚約破棄も何とかしてくれ」
「それは護衛の範囲外。そっちで何とかしなさい」
私とケイジュは軽口を叩きながら寮に戻って行った
またいつもの生活が始まる
次は王女です




