15.密偵見習いは授業参観する⑤
声をかけたのはケイジュだった
「おおケイジュか、久しぶりだな」
「はい、陛下もお変わりないようで何よりです」
「宰相子息様、申し訳ありませんがお話は後にしていただけませんか?今は王女誘拐の犯人を断罪するところなので」
お花畑(男)が言う
「あぁすまないね。その前にどうしても確認しておきたいことがあってね」
「確認しておきたい事…ですか?」
「あぁ、簡単な事だよ。君達はどうして王女が誘拐されたと知っていたのかな?」
「え…そ、それは…皆騒いでいましたし…」
何を言われてるか分からないといった感じで花畑が言う
「違うね。皆は王女の姿が見えない事で「どこかで怪我でもしたのではないか?」「何かアクシデントでもあったのではないか?」とは言っていたが「誘拐」とは言っていない、言ってるのは君達だけだ。そもそも王女の姿が見えないと騒ぎになってから君達が現れるまで1時間と経っていない、そんな僅かな時間でどうして君達は誘拐と判断し、居場所を突き止め、救出する事が出来たんだい?」
「そ、それは…」
「ついでに言うならサンベリア伯爵令嬢はずっとここで午後の授業の準備をしていた。それは他の生徒達や先生方もちゃんと見ている、彼女のアリバイは完璧だ。対して君達は昼からずっと姿が見えなかったそうだね、君達のクラスの担任や生徒が「準備をサボった」と怒ってたよ?一体何をしていたのかな?」
「それは…王女を助けるのに…」
「あぁそういえばどうして誘拐とわかって、どうやって短時間で王女の居場所を突き止めたか聞いていなかったね?ぜひ聞かせて貰いたいね」
「…………」
花畑男は返す言葉もなく俯くだけだ
周りも疑惑の目で見ている
「う、うるさいわね!そこの女が体育倉庫に王女を連れこむのを見たからよ!!だから…」
「へぇーそれはおかしいな?さっきも言った通り彼女はずっとここにいた。それはたくさんの目撃者がいる。大体そこの生徒が体育倉庫に確認に行って「誰もいなかった」と証言している。君の言った通りなら彼が嘘をついていることになる」
「そ、それは…」
指さされた取りまきが慌てる
「う、うるさいわね!お、王女が伯爵令嬢に誘拐されたと言ったんだから間違いないわよ、そ、その女のアリバイだって周りを買収したんでしょうよ!?」
花畑女が震える指で令嬢を指さすが説得力はない
買収されたと言われた令嬢と目撃者たちが憤慨しただけだった
「王女の証言は当てにならないよ?護衛がいない事、彼女だけが解放されている事から考えてアイリスを人質に取られているのは明白だからね?」
王女がハッとした顔でケイジュを見る
「な、な…」
「ち、ちが…」
「ひ、人質なんて…そんな事…」
「じゃあこれから皆で体育倉庫に行って見ようか?そうすればハッキリするだろう?」
「「「……………」」」
もはや言葉もない
「いいえその必要はないわ」
名探偵ケイジュ?




