2.密偵見習いは目をつけられる
今回も顔文字注意
そんな訳でやって来た訳だけど…
再び校門を見る
『王立ザーマァ学園』
なんて嫌な名前だ。
「ステキな名前ね。校舎も立派だしここでの生活が楽しみね」
そう言って笑うのは護衛対象にしてこの国の王女マリア=カラス=ショークである。
「そうですね王女様。そろそろ中に入りませんと入学式が始まります」
そう言ったのはお付きのメイド、レナさんである
「そうね。行きましょう」
3人で門をくぐる。
「それでは私は寮に行って荷物を整理しますので」
レナさんと別れ会場に向かう
会場にはすでに人が集まっていた。
適当に空いてる椅子に座り式の開始を待つ
壇上に年配の女性が上がりマイクを持って話し始める
「新入生の皆さん初めまして。学園長のリリー=ロッカスと申します。我が学園に未来ある若者たちを迎える事ができ大変嬉しく思います。そもそも我が学園は初代国王ザーマァが身分に関係なく若者達の勉学と交流の場として~」
お決まりの長話だ。遠慮なく眠らせてもらう
隣で王女が目を輝かせているのを横目に見ながら目を閉じた。
「以上を持ちまして入学式を終了します。新入生の皆さんは講堂の外にクラス分けの張り紙がありますのでそれを確認の上各自クラスに向かって下さい」
終了の声で目を覚ます。
「おはようアイリス。良く寝てたわね」
王女が声をかけてくる
「おはようございます。年寄りの長話は受け流すのが1番なので」
背伸びをして立ち上がる。王女も一緒に立ち上がる
そのまま外に出てクラスを確認する。
「私はAクラスね。アイリスは?」
「私もAクラスです」
「まぁ!じゃあ一緒ね。嬉しいわ」
何故か王女がはしゃぐ
疑問に思ったがすぐにわかった
「知らない人ばかりだからちょっと緊張してたの。でもお友達が一緒なら心強いわ(*^▽^*)」
「…………はい?」
今聞き捨てならない台詞を聞いたような…
「私この学園で友達いっぱい作りたいの。アイリスが1人目ね(*^▽^*)」
いつの間にか王女に友達認定されてたらしい。マズイ
「友達じゃありません。護衛です」
しっかり線引きしとかないと大変な事になる
この王女は空気を全く読まない天然で有名なのだ
マイペースな言動で周りを振り回すので王族以外誰も近づかない。最低限貴族の交流はあるけど特定の付き合いはなく個人的に親しい相手もいない。近づこうものなら友人という名のお守り役にさせられる
「わかっているわ護衛兼友人よね(*^▽^*)」
「兼ねてません」
「照れ屋さんなのね(*^▽^*)」
「違います」
「じゃあツンデレ?」
「照れ屋とほとんど同じです。とにかく友人じゃありません」
そう言って早足で先に行く。
「あ、待って~~~」
すかさず王女が追ってくる。噂どおり足が早い
走って逃げたいところだが人が多いのでそれも出来ない
無言のままかなりのスピードで歩く女生徒とその後を負けない位のスピードで追いかける王女を周囲は不思議そうに見ていた
学園は今日も平和です
ブックマークありがとうございます<(_ _)>