16.密偵見習いはざまぁを阻止しない
何とか間に合った…(=_=)
王女を連れてチューリさんのところに行くと、チューリさん達から同情の目を向けられた。
「密偵って孤独で辛いのね…」
「まだ若いのに…」
「メゲないで下さいね、人生まだまだこれからですから」
王女とのやりとりが、聞こえていたようだ。
「やめて下さい、昔の事です」
正直同情とか、いたたまれない。
するとチューリさんがそっと私の手を握ると、真剣な顔で言った。
「アイリス…昔は1人だったかもしれないけど、今は違うわ。私もリージアもミーレも貴方の友達よ」
その言葉にリージアさんとミーレさんも、頷く。
「そうですよ、もう3年近くの付き合いなんですから」
「何かあったらいつでも言って下さい、力になります」
「…チューリさん。『まだ若いのに』とか、『人生これから』とか、年寄り臭いです」
「な!」
唖然とするチューリさん達を素通りして、王女の手を引いて廊下に出る。
しばらく進んだところで、チューリさんの声が聞こえた。
「ちょっと待ちなさいよ!せっかくカッコよく決めたのに~~!!」
とにかくサッサと外に出たかったので、リージアさんとミーレさんが「照れ屋さんだ」「ツンデレだ」と言ってたり、繋いだ手が汗ばんでるのに気づいた王女が、微笑ましそうに見てるのに気づかなかった。
外に出ると、バカ女達といつの間に戻ったのかケイジュもいた。
「やぁお帰り。その様子だと姫を無事に立ち直らせたみたいだね」
「王女様、お元気になられて本当に良かった!!」
猪が王女を見て、大泣きする。
その姿を見て、王女も反省する様子を見せる。
「ごめんなさい。みんな心配してくれてたのね…」
「いえいいんです!王女様さえお元気になられれば…」
そう言ってまたも猪男が泣きそうになるが、そこにケイジュが口を挟む。
「とりあえず場所を移動しようか。今後の事も話し合いたいし…」
とりあえず立ち話もなんだし、留学生に見つかるかもしれないので、移動することにした。
「とりあえず留学生の処罰だけど…」
着くなりいきなりケイジュが切り出した。
女子寮は留学生に見つかる可能性が高いという事で、生徒会室に移動した。
一応真剣な話し合いという事で、会議のように各々席について話し合いを始める。
「もちろん処刑だ!王女様を傷つけるなんて、許しがたい!!」
猪男がいきり立つ。
それをやんわりとケイジュが制した。
「うんそれはもちろんだけど、処刑となると外交問題になるしね。ここはやはり学園にのっとって、ざまぁをしようと思う」
「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」
ケイジュの発言に、一同驚く。
「いいんですか?秩序が乱れますし、ざまぁは校則違反と同じに扱われているのですが…」
チューリさんがおずおずと発言するが、猪男が賛同した。
「それはいい考えです会長!あの女を皆の前で、さらし者にしてやる!!」
するとあちこちから「賛成!面白そう」「反対です!仮にも学園の秩序を守る生徒会が、秩序を乱す計画を立てるなんて!」という声が飛び交った。
「じゃあ4:3でざまぁを行う。今からだと、卒業パーティが望ましいだろう…その前に可決に参加しなかった2人は、どうする?」
ケイジュがこちらに目を向けると、他も一斉に私とバカ女に注目した。
「私は別にどちらでも。ただ手伝うなら、見返りが欲しいわ」
「私も別にいいわ。むしろ猪の言う通り、あの女は罰を受けるべきだと思う」
私達の意見に、ケイジュも苦笑しながら頷いた。
決行は一か月後の卒業パーティ。
そこで元凶たる留学生に、鉄槌をくれてやるのだ。
密偵見習いはまだ怒り中です。




