14.密偵見習いは無意識に怒る
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証拠を探すべく、留学生の部屋のドアを開ける。
一目見るなり、眉間にしわができた。
証拠探しをいったん置いて、宝石箱やクローゼットを開ける。
見れば見るほど眉間にしわが寄り、自分でもわかるほどしかめっ面になった。
正直言って不愉快だが、原因は部屋が散らかってるとか内装が悪趣味とかじゃない。
「何よこれ、全部王女の物じゃない」
思わず呟く。
アクセサリーやドレスだけでなく、部屋の装飾品全て王女の物だったのだ。
オタク王は私の誕生日だけでなく、事あるごとに理由をつけて、私に王女と色違いの物を贈っていた。
さすがにドレスやアクセサリーはないが、髪留めやリボン、ペンなどの実用品に同じデザインをワンポイントであしらって贈ってきたし、護衛をしている時、王女がドレスやアクセアサリーを身に着けているのを見た事がある。
(ケイジュの言った通りね)
ここに来る前、ケイジュと交わした会話を思い出す。
~アイリスの回想~
「本当に証拠があるの?いくら自室とはいえ、周囲を完璧に欺く相手よ?」
周囲の評判が良かっただけに、そんなボロを出すとは思えない。
するとケイジュは笑顔で否定した。
「アイリス、なぜあの留学生が王女を痛めつけて、服従させてると思う?」
「さぁ?王女を奴隷にして、甘い汁を吸う為とかじゃない」
「ちょっと違う。ああいう人間は、相手を支配することで、自分がその相手以上に優れていると思って、自己満足に浸るんだ。そして周囲にも『自分は優秀だ』とひけらかして、優越感を得たがる」
「……?」
「具体的に言うと、かつてのバカ女がいい例だ。身分の高い男を虜にする事で、『相手の婚約者よりも魅力がある』『相手を言いなりにすることで、相手よりも上の存在だ』とかね」
「なるほど…すると」
「今あの留学生は天然を支配することで『自分は王女より優秀で、上の存在だ』と優越感に浸っている、だがそれを周囲にひけらかすことはできない。そんな事をすれば、天然を虐めている事がバレるからね。だから十中八九、日記とか形に残して読み返しては、優越感に浸っているだろう」
「なるほどね」
「まぁ万が一形に残していなかったとしても、見る人が見れば部屋自体が証拠になるだろう」
「?」
「行けば分かるよ」
確かに見れば分かった。
他人が見ても分からないが、王女に近い者が見れば全て王女の持ち物だと分かるし、いくら友人でちょっと貰っただけと言ってもこの数は異常だし、人から貰った物を更に贈る者はいない。明らかに強奪の証拠となる。
「……」
私にプレゼントを渡す時「マリアと色違いのお揃いだよー、姉妹の証だよー」と、嬉しそうに言うオタク王の笑顔が浮かんだ。
イライラする。
(何で私と王女共通の持ち物を、こんな女に持たせなきゃいけないの?)
お揃いや姉妹の証とやらにこだわりはないが、繋がりを汚された気がする。
(早く終わらせて出よう)
非常に不愉快だが、ここで出来る事はない。むしろ長居すると我慢の限界がきて、部屋を破壊してしまいそうだ。
机を漁って、目当ての物とその横にあった物を手に取ると、そっと部屋を後にした。
留学生の部屋は壁一面、花柄ピンクのレースです('ω')ノ
今年もお世話になりました<(_ _)>




