閑話㉒.臨時役員達の井戸端会議②
チューリさん視点です。
「それじゃあ、報告を聞くわね」
学園祭が終わって数日後、生徒会室で以前話し合った王女問題を話し合う。
ちなみにケイジュ様とアイリスは、学園祭の反省会の会議と後始末で留守だ。
「じゃあまず私から…お茶会で聞きましたが、留学生と王女はいつも一緒に行動していて、仲良しだそうです」
まずリージアが、報告する。
「それは私も聞いたわ。他の人は身分差があって声がかけにくいから遠目だけど、留学生が良く笑っているとか…」
次にミーレが挙手する。
「はい。中等部の子達にも聞いたけど、留学生は身分年齢分け隔てなく接しているそうです」
ミーレが言うには、校内で迷った新入生を王女2人で道案内したらしい。
「はい。俺達も噂で聞いたけど、男子生徒にも評判は上々です」
「王女様と2人でいるところを見たけど、特にケンカしてる様な雰囲気ではなかったです」
3馬鹿達も、同じような評価だ。
「う~ん…」
腕組みしながら、考える。
「てっきり留学生と何かあって、猪男ともめてるのかと思ったけど…」
「全然、そんな様子はないですね」
「やっぱり王女様が情緒不安定で猪男と上手くいってないだけで、留学生は関係ないんじゃないですか?」
リージアとミーレも、王女に問題があると思ってるようだ。
「そうねぇ…よくよく考えれば猪男も王女も難ありだし、猪男が無神経な言動で王女を傷つけたか、王女の気まぐれの方が、原因としてはあり得るわね」
「留学生が何かしたのならともかく、痴話ゲンカなら部外者が口を出すのは無粋ですね」
「そうですね。これは当事者が解決するべきだと思います」
「「「賛成」」」
リージアが口を出すべきではないと言い、ミーレもおやつを食べながら相槌を打つ。
全員一致で静観すべしという、結論になった。
「それにしても、もうすぐ卒業ね」
「あっという間の、学園生活でしたね」
「いよいよ、大人の仲間入りですね」
卒業が視野に入って来て、ちょっと感慨深くなる。
「リージアたちは、卒業したらどうするの?」
よい機会だから、聞いてみる。
「私は…その、お付き合いしてる方がいるので、まず両親に紹介したいなと…」
リージアが赤くなって、そっぽを向く。
その様子に私達は、ピンと来た。
「あ、それってもしかして、保険の先生じゃないですか?おめでとうございます」
「まぁ!結構進んでるのね、おめでとう」
私とミーレが祝いの言葉を言うと、リージアはますます照れて赤くなった。
「あ、ありがとうございます…」
そしてそんなリージアを、指くわえて羨ましそうにするバカ3人。
「いいなぁ~、俺も恋人欲しい…」
「そういえば、俺達進路も未確定だった…」
「ロメック先輩たちは、『もしどうしても職が決まらなかった時は、一肌くらいは脱いでやる』って、言ってくれたけど…」
3馬鹿が呟いてると、ミーレがツッコんだ。
「3人には、お花畑さんがいるじゃないですかぁ~。幼児に『メッ!』された人が」
「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」
ミーレの一言が3人のトラウマを刺激したらしく、3人そろって頭抱えながら悲鳴を上げた。
「あんなの恋人、いや女じゃない!」
「女怖い、女怖い」
「嫌な事、思い出させないでくれ~」
余りに必死な様子に、ミーレも圧倒される。
「ご、ごめんなさい…」
「落ち着きなさい、ホラお茶よ」
「フルーツもありますよ」
あまりの取り乱しように、話題をいったんおいて宥めにかかる。
話題にしていたのが悪かったのか、遠くから足音が近づいてきた…。
「見つけたわよアンタ達!何こんなところでサボってるのよ」
やって来たのは、噂のお花畑女だった。
「ここのところアンタ達がサボってるせいで、私が用務員の仕事をする羽目になったんだからね!」
ズカズカと生徒会室に入ってくると、バカの1人の襟首をつかんでガクガクと揺する。
「ぐ、ぐるじい~~」
「うるさい、少しは反省なさい!人に仕事を押し付けた罰よ!」
「「「「「………」」」」」
バカ女の台詞に、皆冷たい目でバカ女を見る。心なしか部屋の気温も、下がったようだ。
(普段押し付けてるくせに、何言ってるんだか)
呆れた目で見られてるが、バカ女は気づかずそのままバカを締め上げる。
「大体何でアンタ達が、こんなところにいるのよ!生徒会に入った訳でもないのに、何を話し合うって言うのよ!」
揺すられた馬鹿は大分気分が悪そうだが、それでも必死に答える。
「お、王女様が婚約者と上手くいってないのは、留学生が関係してるんじゃないかって…」
それを聞いたとたん、バカ女がピタッと止まる。
「はぁ?留学生って、他国から来たっていうあのヤバイ女の事?」
嫌そうに言いながら手を離すと、バカが床に落ちた。
ゲホゲホ言いながら、真っ青な顔で座りこむ。
「ヤバいって…留学生の事?」
意外なセリフに聞き返すと、バカ女ははっきりと言った。
「そうよ、あれはヤバい女よ!」




