7.学園は祭りを行う⑥
裸の描写が少しあります。念のためR12で
気絶したチューリさんを保健室で寝かせた後、再び校内を回る。
「何だか疲れたわ…精神的に」
「そうだな……あれ?ミーレ嬢は?」
「あ」
いつの間にか見失ってた。
「まぁいいや。縁があれば、そのうち見つかるだろう」
「そうね」
もう面倒くさくなったので、2人揃って匙を投げた。
その後適当に何件か店を回って、延び延びになった昼食を済ませた。
「ただいま戻りました」
昼食と巡回を済ませて、ついでに哀れな下僕達にお土産を買って戻った。
身ぐるみはがされて裸で転がっている下僕共がいた。
「「………」」
無言でそっと中に入る。
小悪魔は親が迎えに来たのか姿は見えず、全裸のまま縄で縛られて気絶していた。部屋の隅には3人分の服がまとめて置かれていた。
よほど悪戦苦闘したのか、全身ひっかき傷や痣だらけだった。髪も切られたり、変な風に結ばれたり酷いものである。
「…とりあえず身なりを、何とかしないとな」
「じゃあ私は、ちょっと外に出てくるわ」
教室を出て、目当ての物を探す。
近くの教室に置いてあったので、そのまま持ってくる。
中に入ると、ちょうどケイジュが全員にシャツを着せたところだった。
持ってきた花瓶を3人の前に置く。
その横に持ってきたお土産を供えて2人で合掌した後、静かにその場から立ち去った。
その後一通り校舎を回った後、最後に屋上に行った。
その頃にはすっかり日も傾いて、風が気持ちよかった。
「学園祭ももう終わりね」
「大変だったが、それなりに楽しめたかな」
「そうね」
色々あったが、喉元過ぎればだ。
沈む夕日を眺めながら、しばしの沈黙が流れる。
不意にケイジュが、口を開いた。
「なぁもしもの話だが、もしお前が密偵見習いじゃなかったら、将来何になりたい?」
「はぁ?」
いきなり何を言うのだ、この男は。
「密偵になるのは確定でしょう。意味が無いわ」
「だから「もしも」だよ、密偵以外の道を選べるとしたら、お前は何になりたい?」
「………」
その言葉に、しばし考える。
が、やはり答えが出ないので正直に答える。
「…ハッキリ言って分からないわ。ずっと物心ついた頃から『お前は密偵になるんだ』と言われて、育てられて来たもの…それ以外の道なんて、想像もできない」
すると今度はケイジュが黙りこむ。
しばらく何かを考えた後、もう一度口を開いた。
「じゃあ密偵関係以外で、何かやりたい事はあるか?」
これはすぐに答えが出た。
「ぐうたらしたい」
「……」
予想外だったようで、ケイジュが絶句した顔で黙りこむ。
顔が面白かったので、更に思いつくまま喋りだす。
「毎日寝転がってゴロゴロしたい。食事を作るのも面倒だから、身の回りの世話全部、誰かがやってくれるといい。あと犬猫100匹飼って、好きなだけ遊びたい。それと…」
「分かった、もういい!」
良いところでケイジュの制止がかかった。
ノッて来たところなので、ちょっと残念だが締めくくる。
「まぁ、そんな感じね」
「あぁそうか…叶うといいな…」
何故か遠い目をしながら、ケイジュが空を眺める。
日はすでに沈んでいて、空が藍色に染まり始めていて、ケイジュの視線の先に1番星が輝いてた。
先ほど言いそびれたが、この先もずっと、こんな風にケイジュと過ごせたらいいなと思った。
乙女はちょっとナーバスです。
~裏話・学園祭終了後の生徒の会話~
男子A「はぁ~」
男子B「お、どうした?ため息なんかついて」
A「いや実はこの前の学園祭で婚約者が…」
B「あぁ、あの成績悪くて『留年したら、婚約破棄する』ってお前がよく言ってた…」
A「そう。その彼女が学園祭で、爆弾魔の人体実験にされたんだけど…」
B「確か『成績が良くなる』という触れ込みで、怪しい機械の実験体にされたんだろ?よく無事だったな」
A「ある意味無事じゃないよ。それ以来アフロになっちゃってさ…」
B「うわ~、それもう婚約破棄した方が、いいんじゃないか?」
A「でもそれで、ホントに成績上がったんだよ~。それでアフロを気に入っちゃってさぁ、全然直さないんだ…」
B「うわわ~~」
A「それによく見たら、他にも何人かアフロがいるみたいなんだよね…それで俺も、アフロになっちゃおうかな~って気がしてきて…」
B「いろんな意味で、早く婚約破棄した方がいいんじゃないか…?」
A「うん…」
※ミーレさんとは一切関係ない、通りすがりの会話です。




