7.学園は祭りを行う⑤
長めです。
「うぅ~~」
耐え切れずに店を出た後も、まだ恥ずかしくて顔を上げられない。
ケイジュは何がおかしいのか、まだニヤニヤしている。
そんなケイジュを横目で睨みながら歩いてると、前方から来た人とぶつかった。
「あ」
「あ、すみません」
「いえ…って、アイリスとケイジュ様!」
不注意を謝ろうとしたら、見知った声がかかった。
顔を上げると、チューリさんだった。
「な、何でお2人が一緒に…はっ、もしやデート!?」
驚いたようにチューリさんが言った。
「いえ違います、見回りです。人も多いし、トラブルが起きやすいので見回ってたんです」
忘れかけてたが、見回りだった。
ケイジュに視線を向けると、肩をすくめながら「まぁ一応そうだけどね」と言った。
「そ、そうなの?あんまりそう見えないけど…」
言いながらチューリさんは、私とケイジュの手を見る。
視線の先では、私とケイジュの手がしっかりと握られていた。
(あっ、しまった)
慌てて手を離すと、そっぽを向く。
「アイリスは照れ屋だからね、そっとしておいてくれないかな?」
「は、はい。わかりました…」
ケイジュのフォローに、チューリさんも何とか収まった。
「ところでチューリ嬢は、どうしてここに?」
ケイジュが話題を変えると、チューリさんがハッとした顔になる。
「そうでした2人とも、ミーレを見ませんでした?あの子また迷子になってしまって…」
「「あぁ~~」」
もの凄く納得だ。
「とりあえず見てないな」
「見つけたら知らせますね」
「分かったわ、私はもう少し探してから生徒会室に行きますから、見つけたらミーレにそこに行くよう伝えて…」
「私ならここに~~」
「「「えっ?」」」
声がした方を振り向くと、黒いじゃがいも、もといアフロなミーレさんがいた。
「「ぎゃっ!!!!」」
「ミーレ嬢、その髪型は一体…」
あまりの衝撃にチューリさんと一緒に驚く。
ケイジュが驚きながらも、ミーレさんに聞く。
「これは頭が良くなる髪型です」
「「「は?」」」
「正確には『頭が良くなる装置』を試した結果です」
「頭が良くなる装置?」
「そんなの聞いたことないけど…」
「いったいどういう経緯で、そんな事に…」
「それはですね…」
~ミーレの回想~
「あぁ~また迷子になっちゃったぁ。困ったなぁ~もぐもぐ」
両手に食べ物を抱えながら、一人歩きするミーレ。
全然困ってるようには見えない。
とりあえず校舎の外には出てないので、本人的には上出来と言えるだろう。
食べ歩きしながら適当に歩いていると、1つの教室の前に来た。
そこにはこんな看板が出ていた。
~これで今日から君も成績アップ!頭が良くなる装置お試し期間中~
「やぁやぁいらっしゃい!どうぞ中へ」
教室から爆弾魔もとい、化学のロメリア先生が出て来た。
「嫌です。遠慮します」
「まぁまぁそう言わずに、新発明の頭が良くなる装置を是非試してくれたまえ。賢くなりたいだろう?」
「……」
その言葉にミーレは無言になった。
頭が良くなりたいのは本当だし、興味もあったからだ。
無言で大人しくなったのを肯定と見たのか、ロメリアはそのままミーレを引き摺っていく。
「これは私が開発した外部から頭に刺激を与えて、脳を活性化させる装置なんだ~。これの開発に1年以上かかったんだよ」
そう言って、ミーレを装置に座らせる。
装置は一人がけのソファのようになっていて、その上にヘルメットのような物がついていた。
大人しく座ったものの、やはり一抹の不安を感じるミーレは、落ち着かず辺りをきょろきょろと見回していた。
「あぁ大人しくしててね、特に頭を動かすと危ないから~」
その言葉に大人しくなるミーレ。
それを確認して、すかさずヘルメットを被せるロメリア。
「そうそう、そのまま正面だけを見ていてね~。ではスイッチオン!」
ロメリアがボタンを押すと、ヘルメットから稲妻がほとばしり、ミーレの頭を直撃した。
「あばばばばばば!!!!」
悲鳴を上げるミーレ、しかしロメリアはお構いなしだ。
「そうそう、その刺激が脳を活性化させるんだよ」
悲鳴を上げ続けていたミーレだったが、やがて変化が訪れた。
「しびびびびび~~~」
衝撃を受けたような悲鳴から、刺激を受けるような悲鳴に変わっていった…ついでに表情も楽しそうな、気持ちよさそうな表情になっていった。
「ぼんっ!」
ボムッ!
最後の悲鳴と同時に、装置も小爆発を起こし、ミーレから離れた。
「いやぁお疲れ様~。こんなに簡単に壊れるとは…火薬量が多かったかな?まだまだ改良が必要だな。ところで気分はどう?」
「ふはぁ~、何だかスッキリした気がしますぅ~」
「それは良かった。はい実験に協力してくれたからお礼だよ。また何かあったら来てね~」
そう言ってロメリアはミーレの手に飴玉を1個乗せると、用は済んだとばかりにとっとと追い出した。
「あれ?頭が良くなったんじゃないのかな?実験ってなんだろう?」
貰った飴玉で口をモゴモゴさせながら、ミーレは化学室を後にした。
聞き終えた3人は頭を抱えてしゃがみこんでしまった。
「来年の課題が増えたわね…」
「いやその前に、人体実験を止めさせないと…」
落ちこむアイリスとケイジュより、いち早く立ち直ったのはチューリだった。
立ち上がって、ミーレに説教する。
「ミーレ!何でそんな、爆弾魔のあやしい誘いに乗ったのよ!」
「え、でも頭良くなるっていうから…」
「そんな胡散臭い言葉に乗せられるんじゃないわよ!」
「でもなんか、頭がスッキリした気がしますぅ」
「気のせいよ、目を覚ましなさい!」
「…チューリさん元気ね」
「まぁ昔からミーレ嬢の面倒を見ていたし、放っておけないんだろう」
私とケイジュも立ち上がったが、説教する気力もなくただ見ているだけだった。
「そもそも、淑女がする髪型じゃないわ!」
「え、でも…」
そう言ってミーレさんが、チラッと周囲に目をやる。
つられて3人も見回すと、人ごみの中にアフロがちらほらと…。
チューリさんはそのまま卒倒しました。
乙女は今日もデリケートです。
頭が良くなる装置は、美容院などになるパーマする機械を思い浮かべて下さい('ω')ノ




