4.役員狩り④
ギリギリ間に合った…
「う~ん、いないなぁ…」
あれから3馬鹿を生徒会室まで連行した後、仕事を言いつけてチューリさん達を探しに来たが、見つからなかった。
(もう帰ったのかな?)
出来ればもう少し人員が欲しかったが…いない者は仕方ない。
ちなみに王女と猪男は問題外だ。
(この人数で何とかするしか……ん、待て?)
そこまで考えて、ふと気づく。
(私、意外と交友関係狭い?)
学園に入学し2年以上経つが、こういう時助けになりそうなのは、ケイジュとチューリさん達くらいしかいない。
立ち止まって、しばし考える。
ケイジュは付き合い長いし(ブランクはあるが)、まぁ友人だろう。
チューリさん達は…まぁ知り合いではあるが、友人かと言われればちょっと疑問だ。
猪男と王女は…断じて知り合い以外の何者でもない。
そこまで考えて我に返る。
(別に今の問題には、関係ないか)
交友関係が広ければ助っ人に困らないが、今さら言っても仕方ないし、友人居なくても大して困らない。
そもそも卒業して1人前の密偵になれば、常に命のやりとりをする事になる…先の知れない人生で、友人を作っても意味が無い。
(どうも寝不足のせいで、考えがまとまらない…とりあえずケイジュのところに行こう)
何故かケイジュに会いたくなったので、人探しを中断して、保健室へと向かった。
「あれ?」
保健室に入ると、そこにチューリさん達がいた。
(灯台下暗しだわ)
しかし3人は私に気づかず、寝ているケイジュすら無視して、カーテンの隙間から何かを覗き見している…。
(何だろう)
ちょっと興味がわいたので、同じく覗き見してみる。
「うん、大分改善されたみたいですね」
「ありがとうございます、これも先生のおかげです」
「いいえ、これも医師の務めです。貴方が苦しむ姿を見るのは辛いですから、良くなって本当に良かったです」
「そんな…」
頬を赤らめながら、保険医を見つめるリージアさんと、リージアさんの両頬に手をやりながら、笑顔を向ける保険医がいた。
(うわぁ甘ったるい~)
目に見えそうなくらい、ピンクな空気が流れていた。
「うわっアンタ、いつの間にいたの!?」
暫く見ていると、チューリさんに気づかれた。
「さっきからです」
「全然気づきませんでした」
小声で話してると、ミーレさんにも気づかれた。
「私もお2人が、ここで覗き見してるなんて、気づきませんでした」
そう言うと、チューリさんが反論してくる。
「覗き見じゃないわよ!人聞きの悪い事言わないで頂戴」
「いやどう見ても覗き見でしょう…違うっていうなら、何なんです」
「これは今後の参考……じゃなくて、親友の恋を影ながら見守っているだけよ」
「影ながら覗き見してるんですね」
「だから違うってば!」
「チューリ様、声大きいです」
私の指摘にムキになったチューリさんが、大声で反論する。慌ててミーレさんが制止するも、手遅れだった。
「きゃっ!」
「うわ驚いた!いらしたんですね」
結果二人にばれてしまった。
「まさかチューリ様達がいらっしゃったなんて…」
「何の御用ですか?」
バレたからには仕方ないと、カーテンから出てくると、不審に思ったのか保険医が聞いてくる。
「ご用というか…さっきリージアと一緒に来ましたが…」
「さっき付き添いで来たの、もう忘れちゃったんですか?」
二人の言葉を聞いて、保険医が思い出す。
「あぁ…そういえば、リージアさんと一緒に来ましたね。ところで貴方は何の御用で?」
保険医の視線がこちらに向く。
後ろ暗い事は何もないが、用もないのに保健室に出入りするのが、何となく気まずい。
「チューリさん達を探しに来ました、用があったので」
「用?」
「はい。という訳で失礼します」
「あ、ちょっと!」
そう言ってちょっと強引に、チューリさんの腕を引っ張って保健室を後にする。
「いい加減離しなさいよ!」
保健室を出て人目のない場所に移動したところで、チューリさんに腕を払われた。
「あぁすみません、実はお願いがあって…」
「嫌よ」
言う前から拒否された。
「まだ言ってませんが?」
「アンタと関わると、また噂が立つじゃない。どんな内容だろうと嫌よ!」
「ケイジュ…会長の一大事でも?」
「何ですって!それを早く言いなさいよ、そうと決まったら行くわよ!」
そう言ってチューリさんは、ミーレさんを引っ張ってサッサと行ってしまった。
「まだ何も言ってないんだけど…」
ついでに言うならチューリさんの向かった方向は、生徒会室と逆方向だ。
気づいたチューリさんが顔を赤くして戻って来たのは、10分後の事でした。
乙女は今日も暴走気味です。




