4.役員狩り②
これから週1ペースになります('ω')ノ
「ふぅ…」
とりあえずケイジュを、保健室に運んだ。
保険医が言うには、寝不足と過労だそうだ。
「う…」
特にやることもなく(書類が溜まってるが、体調悪い人間を放っては行けない)傍についていたら、そのうちケイジュが気がついた。
「おはよう」
「ここは…保健室か」
ケイジュが周囲を見回す。
「そうよ。アンタ生徒会室で倒れてたのよ、覚えてない?」
「ない。お前が出て行った後、仕事をしてたところまでは、覚えてるんだが…」
「重症ね、しばらくここで寝てなさい」
多分仕事中に限界を迎えたのだろう。
「だが書類が…」
「急ぎの分は提出してあるわ。どうせ今行ったところでまた倒れるのがオチなんだから、諦めて休みなさい」
「そうだな…」
ケイジュも諦めたのか、大きくため息をついた。
そのまま特に会話もなく、時間が流れていく。
不意にケイジュが口を開いた。
「手を握ってくれないか?」
「いいわよ」
言われた通り、差し出された手を握る。
するとケイジュがこっちを向いて、ほんのり笑った。
「何だか懐かしいな…」
「え?」
「昔…一緒に訓練を受けてた頃、お前よく臥せっていただろう?その時、苦しそうにしているお前に何かしてやりたくて、手を握ってた」
「……」
「今は逆だな」
「……そうね」
子供の頃、一緒に密偵の訓練を受けていた。
ただ護身目的で、基礎の体術のみを習っていたケイジュと違い、私は体術以外にも習っていた。その1つに、毒を服用して体に耐性を持たせるのがあった。そのたびに寝こんでいたが、心配したケイジュがいつも顔を見せていた。
とりあえず返事を返すと、ケイジュが顔を戻して天井を見上げる。
そのまま何を言うでもなく、沈黙が過ぎていった。
(マズイ)
こういう空気は苦手だ。
昔からケイジュといると、たまにこういう空気が流れる事がある。
その度に耐え切れず、ケイジュを殴って来た。
しかし今のケイジュは、体調が悪い…そんな相手を殴るのは、さすがに気が引ける。
退散すればいいのだろうが、しっかり手を握られているし、離そうとすれば強く握られる。
(1発ならいいかな…)
さすがに我慢の限界が来た時、不意に手を離された。
驚くとこちらに顔を戻したケイジュと、目が合った。
「もういいよ、ありがとう。ここはいいから、新しい役員を探してくれ」
「確かにそれも大事だけど…ついてなくて大丈夫なの?」
「タダの過労だ、寝ていれば治る…それに、お前と一緒にいる方が危ない」
「何ですって」
ちょっとカチンと来た。
「お前さっきから、俺を殴りたいと思ってるだろう」
「物凄く思ってるわ!!」
間髪入れずに、返事する。
どうやら見透かされていたようだ、なら誤魔化してもしょうがない。
「…正直な返事ありがとう。そういう訳で身の危険を感じて休めないから、新しい役員を探してきてくれ」
「……分かったわ」
ため息をついたケイジュに、シッシッと手で追い払われる。
正直ムカつくがその通りなので、仕方なく部屋を後にする。
密偵見習いは今日もツンツンです。
アイリスにデレはない。




