4.役員狩り①
カリカリ、カリカリ。
カリカリ、カリカリ。
静かな部屋にひたすらペンの音が、響き渡る。
ケイジュと2人、特に会話もなく必死で手を動かす。
時計をチラッと見ると、ちょうどお昼を過ぎた頃だ。
手を止めて席を立つと、用意していた昼食を持ってケイジュに近づく。
「ケイジュ、お昼にしましょう」
声をかけると、口を開いてくる…食べさせてくれという事だ。
視線すら向けず書類に没頭する幼馴染に、諦めたようにため息を一つつくと、作っておいたサンドイッチを口元に持っていく。
ケイジュが2~3口食べると、サンドイッチを引っこめて、代わりに飲み物を口に運ぶ。
気分は介護人だ。
合間にハンカチで、口元を拭うのも忘れない。
本来なら「ふざけるな、自分で食えよ」と2~3発殴るところだが、青白い通り越して土気色で眼の下にクマを作りながらも、一心不乱に書類を片付けてる相手にさすがにそんな事は言えなかった。
考えてみれば当然だ。
本来ならば副会長や、書記会計など最低でも5~6人ほどで行う仕事を、たった2人でこなしているのだ。
特にケイジュは、会長でしか決済できない仕事がいっぱいある。そのためケイジュは、すでに3日完徹している。
ちなみに今取り掛かってるのは、今朝提出期限の書類だが、頼みこんで昼休みまで延ばしてもらった…そして今は昼休みに入ったところで、つまりは今時間中に提出しなければならない、という事だ。
食事してる暇も惜しいが、ケイジュは睡眠ばかりか、食事すらもロクにとっていない。見かねて片手間に食べられるサンドイッチを作っては、ケイジュの口に放りこむ毎日だ。
食べ終わったので、皿を片付けようと背を向けると、背後から「終わった…」という声が聞こえた。
「お疲れ様。それじゃあ私が提出してくるわ」
「あぁ頼む…その間に次のに取り掛かっておくから」
「…わかったわ」
力なく笑いながら、ケイジュが書類を差し出すのを、受け取る。
歩きながらも、気を抜くと眠りそうになる。
ケイジュほどではないが、私も徹夜だ。
(真剣に何とかしないと…)
このままでは、2人とも過労死だ…特にケイジュは色々ヤバイ。
職員室に向かいながら、考える。
(とりあえず食べてから、考えよう)
腹が減っては~というし、私はまだ昼食を食べていない(ケイジュと違って、朝は食べたが)
空腹をしのげれば、落ち着いて何かいい案が浮かぶかもしれない。
そう考えて生徒会室のドアを開くと、すでに手遅れな事を知った。
床にケイジュがうつぶせで倒れていた。




