3.密偵見習いは生徒会役員になりました
皆さんこんにちは、アイリスです。
ただ今生徒会役員として、放課後の校内の見回りをしております。
何でこんなことになったかというと…
~アイリスの回想~
「アイリス、生徒会に入らないか?」
ある日の放課後王女の元に行こうとすると、先日またもや生徒会長に選ばれた、ケイジュから声をかけられた。
「嫌よ、面倒くさい」
速攻で断る。
「少しは考えようと思わないのか?」
呆れ顔で言うケイジュに、こちらも呆れ顔になる。
「逆に聞くけど、私がそんな面倒くさい事を引き受ける奴だと思う?いくら考えようと返事が一緒なら、サッサと断った方が無駄な時間を使わなくて済むわ」
「まぁそうだろうが…断るとお前が困るんじゃないか?」
イヤな笑いをするケイジュに、ちょっとたじろぐ。
「どういう意味よ」
「オタク王から猪君を近づけないように、言われてるんじゃないのか?クラスが違うのを良いことに、護衛の大半を任せているようだが?」
「……」
痛いところを指摘してくる。
「…仕方ないじゃない。留学生が、私を嫌ってるんだもの」
目をそらしつつ、反論する。
数か月前にやって来た留学生は明るく元気が良いが、元王女なせいか下々の者をちょっと見下す性格だった。初対面で王女には笑顔で声をかけてきたが、私が平民の護衛と知ると『平民が王族の周りをうろつくなんて、身の程知らずで不快だわ』と顔を顰めた。
その後も何かにつけて人を蠅のように扱い、追い払おうとする。そのうえ王女を通してオタク王に不満を訴えたらしく、現在の護衛は殆ど猪男が担っており、私は開店休業状態である。
「暇なんだろ?なら生徒会を手伝ってくれ」
逸らした視線を戻し、ケイジュに向き直る。
「何でそんなに、私を勧誘するの?」
すると今度は、ケイジュが気まずそうな顔になった。
「実は…大分下火になったが、まだ噂が尾を引いていて…役員に立候補する者がいないんだ」
「あぁ…」
納得だ。
生徒会室はわりと密室だ。
鍵がかかっているわけではないが、出入りするのはまず生徒会役員しかいない。疑惑の相手と2人きりになるなど、噂が本当であろうがなかろうが、嫌だろう。
「でも私が入ったら、また噂が再燃するんじゃない?」
私が入れば、また『ハーレムS女王とM会長が、生徒会室で励んでいる』と噂になるだろう。
指摘するとケイジュが、フッと遠い目をして言った。
「仕方ないさ…猪君も護衛にかかりきりで、他に人がいない。今をしのがなければ、明日が無いのさ…」
さすがに疲れた顔でたそがれている幼馴染が、心配になった。
「分かったわ…どうせ暇だし」
「ありがとう…それじゃ明日からよろしく」
引き受けると、ケイジュは弱々しい笑顔で礼を言って去っていった。
生徒会長は今日もお疲れ様です。




