21.だるだる流行中
2章ラスト
帝国との戦争が終わり、学園が再開になった。
「はぁ~」
廊下を歩きながら、ため息をつく。
ちなみにため息をついているのは、私だけではない。
周りを見渡すと、そこかしこで気が抜けたようにだらけている生徒達を見かける。
(無理もない)
ついこの前まで王国存亡の危機で張り詰めていたのが、あっさり片付いて気が抜けてしまったのだ。
燃え尽き症候群と言うヤツだ。
皆やる気が無くなって、だらだらしている。
問題ではあるが、傍迷惑なざまぁが行われなくなったのはいい事だ。
「アリッサ!アンタとチェスト様の婚約を破棄するわ!」
(前言撤回)
一部元気なバカがいるようだ。
校庭から聞き覚えのある声がしたので、窓の方に顔を向ける。
校庭でいつぞやのお花畑女が、見知らぬ令嬢に指さしており、隣にはいかにもやる気なさそうな貴族令息が、あくびしながら立っていた。
「ふわ~ぁ」
指された令嬢も扇子で隠してても分かるくらいに、あくびをしていた。
「キーッ!真面目にやんなさいよ!」
一方お花畑女は、やる気のない様子にヒステリー気味だ。
「何故真面目にやらなくてはなりませんの?こんな馬鹿らしい茶番に」
そう言ってもう一回あくびをする。
(ごもっともだ)
周囲のギャラリーも(数人しかいないが)うんうんと頷く。一部ではあくびをしていた。
「ふっ負け惜しみね!私とチェスト様の真実の愛の間に入れないからって、強がっちゃって」
お花畑女が鼻で嗤うと、令嬢が顔を顰める。
「愛の間…ダジャレですか?つまらないですわね」
令嬢の台詞に周囲もプッと吹きだす。
大してお花畑は顔を赤くする。
「ダジャレじゃないわよ!とにかくアンタは、私にしたいじめを謝って慰謝料払って、婚約破棄すればいいのよ!」
「ふわ~ぁ」
令嬢がもう一度あくびする。
「真面目にやんなさいよ!ほらチェスト様も何とか言って…って寝てる!?」
そう言ってお花畑が横を見ると、令息が居眠りしていた。
(立ったまま寝るなんて、器用だな)
感心していると、令嬢も眠そうにあくびをする。
そのままチラリとお花畑達に目をやると、そのまま去っていった。
ギャラリー達もあくびしながら、散っていく。
お花畑だけが気づかず、必死で令息を起こしている。
それを見て私も後にした。
教室に入ると、机に突っ伏してる者もいる。
…と思ったらチューリさんだった。
「おはようございます、チューリさん」
「ああ~アイリス、おはよう」
近寄って声をかけると、さすがにそのままでは行儀悪いと思ったのか、起き上がって挨拶してきた。
挨拶が終わると、再び机に突っ伏す。
「だらけてますね」
「えぇ~何だか気が抜けてしまって~」
「そうですね」
「あんなに長年警戒してきた戦争は、思ったより被害少なく終わったし~、まぁそれはいい事なんだけど~、何だか張り合いが無くなってしまったわ~~」
「同感です」
最大の警戒相手だった帝国が落ち着いて、密偵達もわりと暇になってしまった。
(お給料下がるかな?)
「ケイジュ様もいらっしゃらないし~」
もはや取り繕う気もないのか、チューリさんが突っ伏したまま言う。
「あぁ、そうですね」
ケイジュは戦後の処理で駆り出されている。
そのためずっと学園を休んでいる…このままだと留年確定だ。
「来年は会長と、同じ学年になるかもしれませんね」
(そうなったら笑ってやろう)
数か月後の進級を楽しみに、席に着いた。
学園は今日もだるだるです。
後日談的にするつもりだったんだけどな…次回から第3章、3年生になります('ω')ノ




