15.さらば変態(前)
食堂の騒ぎから30分後、私達の目の前には縛られた変態が正座していた。
その周囲を私とケイジュと王女と猪男、他生徒や達で取り囲んでいる。
あの後急いで窓を開けて煙を外に出した後、立ち直った生徒達と一緒に変態を捕縛した。
その頃には誰かが呼んだらしく、ケイジュや学園長、他の教師も来ていた。
ついでに吹っ飛ばされた王女と猪男も戻ってきていた(残念)
「さて変態…じゃなかった、ローリィ先生。一体何で爆弾なんか投げこんだんですか?」
学園長が質問する。
すると変態は開き直ったのか、堂々と言った。
「私のプリティドールにまとわりつく、悪い虫を駆除しようと思っただけだ」
「まとわりついてるのは、お前だろう。王女様の婚約者は俺だ!」
猪男が会話に入って来た。
すると変態スパイは猪を一瞥すると、フンと鼻を鳴らした。
「人前で既成事実を作って、ムリヤリ婚約者に収まっただけだろう。周りの迷惑も考えず、非常識な男だな。可憐なプリティドールには、私のような大人の男が似合いなのだ!」
「くっ!」
事実なだけに反論も出来ず、猪男が悔しそうに拳を握る。
それを見てスパイが正座したまま、得意そうに胸を張る。
((((((((((いやお前が言うなよ!!!!!!))))))))))
誰もが口にしないが、心の中で全員ツッコミを入れる。
食堂に爆弾投げ入れた奴に言われたくない。
ちょっとムカついたのでこっそり何か投げつけようかと思ったが、その前に本人が胸を張り過ぎて、後ろにひっくり返った。
「「「「「「「「「「……………」」」」」」」」」」
縛ったのは両手だけだが、正座で足がしびれているようで、起き上がれず藻掻いている。
「………」
そこに猪が無言で、痺れた足を突っついた。
「ひゃっ!」
つんつん。
「やめろ!」
もがく変態。
(あ、面白そう)
猪の隣にしゃがむと、一緒につついてみる。
つんつん。
つんつん。
「ひいっ!」
そのうち他の生徒も、参加してきた。
中には足をつつくだけでなく、上半身を擽る者もいる。
「やめろ~~~~」
悶絶する変態を見ながら、ひたすら突っつき(擽り)あった。
「で、何で爆弾を投げこんだんですか?」
改めて学園長が問う。
すると観念したのか、スパイが大人しく話し始めた(ちなみに会話にならないので、あの後みんなで元の正座に戻した)
「いや実は国からそろそろ戻るように言われたので、プリティドールも一緒に連れて行こうかと…」
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
「おぉ、帰れ帰れ!でも王女様は置いてけ!」
皆に緊張が走った。
そして猪は気づかず、喜んでいる。
スパイ(一応)が帰国するという事は、戦争が始まるという事だ。
(というか、仮にも騎士団長の息子が気づかないってどういう事よ)
王女と婚約して後継者から外れたが、それまでは次期騎士団長として教育を受けていたはずだ…この国大丈夫か?
「まぁまぁ、そんなに急ぐこともないでしょう」
「生徒会長?」
何故かケイジュが口を開いた。
「今までへんた…コーン先生にはお世話になったのだし、最後に送別会でも開いてはどうでしょう…積もる話もあるし。どうでしょう学園長?」
突然話を振られた学園長が困惑する。
「それはまぁ…構わないけど」
「決まりですね。では今週末の夜にでも、食堂で精いっぱい送り出しましょう」
そう言ってケイジュは変態を解放した。
「そうか?まぁそこまで言われては、仕方ないなぁ~明日にでも帰るつもりだったけど、連絡して遅らせてもらうかぁ」
見送りが嬉しいのか、変態は快く承諾した。
「何で変態相手に、送別会なんてひらくのよ」
あの後ケイジュは皆を解散させた後、王宮に報告に向かうというので、ついてきた。
午後の授業はもちろんサボりだ。
「時間稼ぎと、帰る前に出来る限り情報を引き出そうと思ってね」
「なるほど」
パーティにはお酒がつきものだし、相手は脳筋だし、ちょっと酔わせておだてれば、ベラベラ喋ってくれるだろう。
王宮につくと何故か国王の部屋ではなく、謁見室に通された。
(珍しいな、今までずっと国王の部屋だったのに…ケイジュが一緒だからか?)
公の場なので、部屋に入ると同時に頭を下げる。もちろんケイジュもだ。
頭を下げる際に、玉座の横で何故か渋面の宰相が見えた。
「陛下のおな~り~~」
嫌そうな宰相の声が聞こえた。
「苦しゅうない、顔を上げい」
「「……?」」
珍しく偉そうな国王の合図に、顔を上げると…
「フフフ…跪くが良い、愚民ども!」
ワイングラス片手に足を組んで、玉座で偉そうにしているオタク王がいた。
「「………」」
アイリスは鞄を投げた!
オタクに500のダメージ!
ケイジュも鞄を投げた!
宰相が受けとった!
宰相は背後から殴った!
オタクは気絶した!
親子は今日も仲良しです。
オタクに「愚か」と言われると、すっごく腹立つ!(# ゜Д゜)




