14.バカ爆発
お待たせしました<(_ _)>
ケイジュに答えを貰ってからしばらく経った。
今日も学園の食堂にて、いつものランチをいただく。
「平和だなぁ…」
上を見て呟く。
屋内なので、天井しか見えないが。
「うん平和だわ…」
なるべく横を見ないようにする。
「王女様俺が作った弁当です!はい、あ~~ん」
「あ~~ん………うん、マズイ!」
「そうですか!食べられるようになって良かったです!」
笑顔で王女が酷評し、これまた笑顔で猪男が答える。
殺人ジュースから、マズいけど人並みの料理に進化した……確かに進歩だ。
しかし殴りたい。
ケイジュとは別の意味で殴りたい。
こぶしを握り締めるが、一方は護衛対象だ。
じっと我慢する。
「あぁどうしてこんなことになったんだろう…アドバイスが悪かったのかなぁ」
~アイリスの回想~
放課後、校門のところで仁王立ちする猪男と出くわした。
「王女様!待っていました!」
「こんにちは、ケイトさん。ケイジュ様ならまだ生徒会室よ~」
すると猪男はこちらに向かって歩いて来た。
「いえ!王女様に用があって来たんです!」
「私に~?」
「はい!俺と会長が恋仲というのは、誤解です!俺が好きなのは王女様です!」
(言った)
言っておくが今は放課後で、ここは校門前で、たくさんの生徒が下校途中だった。
当然注目の的である。
皆何事かと興味津々にしつつ、遠巻きに見てくる。
「分かってるわ~。友人として好きなのよね~」
王女がしょんぼりした様子で言うと、猪男が反論してくる。
「違います!恋愛の意味での『好き』です!愛してます王女様!」
(情熱的な事だ)
ハッキリ言って他人事だ。
あくびを噛み殺しつつ眺める。
「でも~ケイジュ様とは、抱き合ってキスしてたでしょう?しかも床に押し倒して…」
(何かエスカレートしてないか?)
キス云々はともかく、抱き合ったとか床に押し倒したとか、脚色されてる気がする。
周りの生徒も2人を見て、ヒソヒソ話をしている…特に女子。
(いつになったら終わるんだろう)
無関係とはいえ、周りから注目される状態は落ち着かない。
すると猪男が、行動に出た。
「それが原因なのですね!ならば行動で証明してみせます!」
そう言うと猪男は、王女の両肩を掴むと―――
いきなりキスをした。
「「「「「「「「「「………………は?」」」」」」」」」」
これには皆ビックリだ。
予想外の展開に大口開けて、見守るしかできない。
そうしてる間も猪男は、いったん口を離してはまたキスを繰り返していた。
王女も真っ赤になって驚いてる状態から、そのうちされるがままになっていった…酸欠なだけかもしれないが。
~回想終了~
その後は怒涛の勢いで進んだ。
公衆の面前で王女に手を出したのだ。
オタク王が半狂乱で剣を片手に猪邸に殴りこんだり、それを王女が泣き落としで止めたり、あっという間に学園中に広まった。
結局猪男と王女の婚約が決まった。
同時に猪男は跡取りの座から下ろされた。
理由は王女を当主夫人にしたら、その天然っぷりで家を潰しそうだから、らしい。代わりに姉夫婦が跡を継ぐそうだ。2人は将来は家を出て一騎士とその妻して、身を立てていくそうだ。
とはいえあの親バカが娘を放っておくわけもなく、何だかんだ言って援助するんだろうなぁ~というのが周囲の認識だ。
経緯を思い出しながら現実逃避してると、横はますますエスカレートしていた。
「おぉ王女様、俺の女神。貴方は今日も美しい」
「ありがとう~今日のケイトさんも素敵よ」
どこから取り出したのか膝まづいてバラを差し出す猪男と、嬉しそうに受け取る王女。
「………………」
(隕石でも落ちて、2人とも吹っ飛ばないかなぁ~)
そんな事を考えてたのが、悪かったのか。
ボールのようなものが投げ込まれたかと思うと、爆発した。
ドカーン!!
「うわぁっ!」
「きゃぁっ!」
勢いで王女と猪が吹っ飛んだ。
「王女、無事ですか!?」
「ナニコレ?周りが見えない!」
「出口はどこ!?」
「誰か先生呼んで来て!」
「無茶言うな!何にも見えねーよ」
辺り一面煙に覆われて、視界が全く見えない。
周りのギャラリーたちもパニックになっている。
とりあえず声を頼りに、武器を構えて警戒する。
「「「「ゲホッゲホッ!」」」」
やがて煙が晴れると、そこには―――
私達と一緒に煙にむせてる変態がいた。
「「「………」」」
(あぁいたな、こんなのが)
3人そろって遠い目をする。ギャラリーも呆れ顔だ。
色々言いたいが、何より…
「「「「「「「「何で仕掛けた奴が、むせてるんだよ!!」」」」」」」」
学園は今日も元気です。




