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密偵見習いに指令「ざまぁを阻止せよ!」  作者: 一発ウサギ
第2章.密偵見習いは進級する
202/259

13.密偵見習いは丸めこまれる

ブックマークありがとうございます<(_ _)>

週末ケイジュを誘って、出かけることにした…いわゆるデートだ。

「お前から誘ってくるなんて、珍しいな。」

「まぁたまにはね」

実際ケイジュと一緒に行動すれば、この気持ちが何なのかハッキリするだろう。

ケイジュは機嫌が良い…珍しいからだろうか。

適当に街を歩いた後、少し早めだが昼食を取ることになった。

いつもならお店で買った後ベンチで食べるのだが、暑いので中に入ることにした。

近くの店に入り、注文する。店員が去るとケイジュが切り出した。

「それで?今日は何の用なんだ?」

「…何の事?」

「とぼけるな。お前が呼び出す時は何か聞きたい事があるからだろう…学園で言いにくい事が」

「……」

当たらずとも遠からずだ。

(さすが幼馴染)

「う~ん言いにくいというか…何と言えばいいか、わからなくて…」

「?とりあえず思った事を言ってみたらどうだ」

ケイジュが不思議そうな顔をしながらも、促してくる。

そこに店員が注文したものを運んできた。

私はオレンジジュースとミックスサンド、ケイジュはアイスコーヒーとホットサンドだ。

とりあえずオレンジジュースを一口飲むと、切り出した。

「じゃあ言うけど…ケイジュは好きな人いる?」

ブッ!

瞬間ケイジュが吹きだした。

「ちょっと!何やってるのよ」

「ゲホッゴホッ!お、お前こそいきなり何を聞いてくるんだ!」

ケイジュが咳きこむ。

貴族として食べ物を飛ばすわけにもいかず、ムリヤリ飲みこんだせいで涙目になっている。

「とりあえず落ち着いて。ホラ深呼吸」

向かいから手を伸ばして、背中をさする。

「誰のせいだと思ってるんだ…」

ケイジュは不満そうにしながらも、深呼吸した。


「はぁ…それで?何でそんなことを聞いてきたんだ」

一息ついてから聞いてくる。

「う~んちょっと相談事に関係があって…」

「どんな関係だ?」

「ちょっと待って、先に聞いたのはこっち。好きな人がいるかどうか、答えてからにして」

はぐらかされそうな気配を感じたので、話を戻す。

するとケイジュが嫌そうな顔をした後、ようやく口を開く。

「…………いる」

小声で普通の人なら聞こえるかどうかだが、訓練で鍛えた耳にはハッキリ聞こえた。

「…そう」

またモヤっとした。

ジュースを一口飲んで、気持ちを切り替える。

「実は私も…ちょっと気になる人がいて…」

「何だと!?」

ケイジュが、身を乗り出してくる。

(そんなに怒る事かしら?)

「正直よくわからないのよ。気になりはするけど…他の人が言うような恋する症状は出ないし…」

「じゃあ違うんだろう」

ケイジュはまだ不機嫌そうにしながらも、少しは落ち着いたのか元の位置に戻る。

「そうなのかしら?ねぇ経験者としてどう思う?」

「俺に聞くなよ、そんなの人それぞれだろう……あえて言うなら『ずっと一緒にいたい』と思うならそうなんじゃないか?」

「そうなの?」

「だから聞くなって……正直俺も自分の気持ちが良くわからない」

「え?」

「一緒にいたいとは思うが、相手の事を始終考えるとか、相手を最優先させるとか到底思えないからな」

「……」

「ただ一緒にいたいし、他の誰かに渡したくない。こんな風に思うのもそいつだけだからな…それで充分だと思う」

「なるほど…」

言われてみればそうだ。

症状が人それぞれだったように、気持ち自体、人それぞれなのかもしれない。

「ありがとケイジュ。何となくわかった気がするわ」

「それは良かったな。こっちも自覚が出てきたようでよかったよ」

「?」

台詞の後半部分が分からなくて、首をかしげる。

「何でもない。ところで外で会うのもいいが、たまには屋敷に来るといい。父上も歓迎するだろう」

子供の頃はケイジュと一緒に訓練してたせいもあり、互いの家を行き来してたが…

「…やめておくわ。一平民が公爵家に出入りするなんて、身の程知らずだもの」

「…そう言ってお前を虐めてたメイド達なら、もう全員クビにしたよ」

「!?」

驚いてケイジュの顔を見る。

まさかバレているとは思わなかった。

「当然だ。主が自分の家の事を把握してないわけないだろ」

「それもそうね」

ため息をついて、背もたれに寄りかかる。

行くたびに宰相や執事など一部の使用人は、私が王の私生児だと知っていた為歓迎してくれてたが、大半の使用人はその事を知らないので、『母親同士が友人なのをいいことに、貴族子息に取り入ろうとしている平民の子供』と見られており、陰で散々中傷や嫌がらせを受けた…そのうちケイジュの訓練も終了し、疎遠になって行った。

「まぁ気が向いたらでいい。いつでも歓迎するよ」

「まぁそのうちにね」

使用人たちに良い印象はないが、子供の頃はケイジュと一緒に遊びまわった場所だ…懐かしい思いはある。

その後は特に何事もなく、いつも通り他愛無い話をした後互いに別れた。



しかし私は気づいていなかった。

当初の目的だった『ケイジュに対する気持ちが恋かどうか確かめる事』に対して、ケイジュの回答は『恋と思えば恋だ(要約)』であり、結局は恋かどうかは分からないという事を…




腹黒は今日も外堀を埋めてます。



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