1.密偵見習いはため息をつく
顔文字あり注意
学園前、立派な校門の前に立ちながら1人の少女がため息をつく
「はぁ~あ、何でこんな事になっちゃったんだか…」
~1週間前、国王の私室にて~
「だからな。儂はマリアが心配なのだよ」
「はぁ…そうですか」
突然人を呼び出して何を言うかと思えば…
目の前でうさぎのぬいぐるみを抱えて言うのはこの国の王ジオラス=グラジ=ショークである
そう、うさぎのぬいぐるみを抱えて
「はぁ~あ」
思わずため息をつく
ここショークブツ王国は大陸の中央やや西よりにあり、国はそこそこ豊かで争いもなく国民もノンビリしたものである。そのせいか国を支える筈の王族や重臣達も変人が多いのである。
目の前の王もその1人で公では立派な王様なのだがプライベートでは少女趣味のオタクである。趣味はぬいぐるみ製作とマンガ。そして私含め3児の父である。
自己紹介が遅れた。
私はアイリス。この国の密偵見習いである。
国王が父と言っても王族という訳ではない。私生児で認知はされてるが一部の者しか知らない事実である。昔密偵だった母が国王の護衛をしていた時見染められ一時期愛人になっていたそうだ。ちなみに当時の国王の愛読書は「ベル〇ら」だった
「ねぇ聞いてるかい?」
目の前のオタク王が聞いてくる
「いえ聞いてません」
「聞いてよ~~~~(>_<)大変なんだよ?」
「王女が王立の学園に入学するだけでしょう?何がそんなに大変なんです」
「だって学園だよ?知らない人がいっぱいいるんだよ?」
「学園なのだから当たり前でしょう。初対面の人間との交流も勉強のうちです」
「離れてるからついていけないし~~(ノД`)・゜・。」
「いっそついて行って一から教育受け直した方がいいんじゃないですか?その方がちょっとは中身がマシになるかもしれませんよ」
「??何の事?儂は普通の凡人だよ(。´・ω・)?」
「……………」
「とにかく儂は娘が心配なんだ。最近は貴族の間でも「ざまぁ」が流行ってるし」
「何ですか?その「ざまぁ」というのは?」
「あ、知らないんだ。じゃあこれ読んでみて」
王が書棚から本を何冊か取り出して寄こす。
受け取りざっと目を通す。
「なるほど。つまり「ざまぁ」と言うのは地位目当ての女性が婚約者のいる高位の貴族や王族に色目使った挙句、怒って仕返しする婚約者を逆に断罪するというものですか」
「うんうん」
「で、これが現実の貴族の間にも流行っていると」
「うん」
「アホですね」
いくら誘惑して引っかけられたとしても身分の低い女性が貴族や王族と結婚できる訳ないし、明らかに打算で近づいてるのに引っかかる男もアホとしか言いようがない。
そう思いながら本を返す
「そうなんだよ~~可愛いマリアがそんな目に合うかもしれないと思うと~~~(>_<)」
受け取った本を戻した後オタクが部屋の中をグルグル歩き回る
「誰か護衛に行ってくれないかなぁ~~~|д゜)チラッ」
「………(無視)」
「誰か行ってくれないかなぁ~~~~|д゜)チラッ」
「………(ひたすら無視)」
「誰か……」
「はぁ~~騎士の誰かでもつければいいじゃないですか」
「年頃の娘に男なんかつけられないよ~年の近い女の子がいいなぁ~~|д゜)チラッ」
「…それはご命令ですか?」
「命令なんかしないよ~~マリアもだけど君も可愛い娘なんだからね?だから毒舌も許してるし私室にだって入れてる」
「じゃあお断りします」
「あ、命令はしないけど減給はするからね?(*^▽^*)」
「………分かりました」
自室の天井で磔にされて半泣きになった国王が発見されるのはこれより4時間後の事である
今日も王国は平和である
さてどうなるやら…