10.猪男は笑撃の事実を知る⑥
「う~ん…ハッ!ここは?」
目が覚めると、天井が見えた。
「保健室よ」
かけられた声に目を向けると、傍で平民女が仁王立ちしていた。
どうやら俺は気絶して、保健室に連れてこられたらしい。
「アゴが痛い…というか顔全体が痛い」
顔全体をさする。
思えば一昨日から殴られてばかりだ…厄日か?
「アンタはアホな発言をして、私に殴られて気絶したのよ。覚えてる?」
「あぁ覚えてる」
確かに我に返ってみれば、アホな発言だった…誤解を解きたいのに、事実にしてどうするというのだ。
「正気に戻してくれたのはありがたいが…他にいい方法が思いつかん」
どうすれば誤解が解けるのか…
「あれを「良い方法」に入れるな!」
平民女が再び怒り出す。
咄嗟に構えを取りつつ、反論する。
「何でそんなに怒るんだ?俺と会長の噂だろう!」
すると平民女は怯んだ。
「それは…そうだけど…」
その様子に俺はピンと来た。
「はは~ん、さてはお前会長に好意を持っているな?」
「………!」
そこで平民女はまたしても予想外の行動に出た。
一瞬あっけにとられた顔をしたと思ったら、そこから一気に赤くなったのだ。
半分冗談だったのだが…もしや図星か?
名推理だ、さすが俺。
「な、な、な…」
赤くなって動揺する平民女に、俺はイタズラ心をくすぐられた。
散々殴られたんだから、ちょっとくらい揶揄ってももいいよな。
「図星だな。それでいつから会長の事が好きなんだ?あ、幼馴染だから物心ついた頃からか?」
「な、何言ってんのよ!私は別に…」
平民女がそっぽを向くが、全然隠せてない。
「ならなんでそんなに動揺してるんだ?顔真っ赤だぞ?」
笑いが堪えられん。
日頃平静な平民女がここまで動揺するとは……面白い!
ニヤニヤしながら、平民女に顔を近づける。
「さぁ白状しろ!いつからだ?何がきっかけだ?それとも一緒にいるうちに徐々に~と言うヤツか?」
「そ、それは…」
「それは?」
更に顔を近づける。
「アンタに言う必要はな――――――い!!!!!!!!」
叫ぶと同時に平民女は思いっきり頭を突き出した。
「イテェ―――!!」
俺は頭を抱えてしゃがみこむ。
「人の事に口を出すより、自分の事を何とかしろ――――――!!!!」
そう言って平民女は保健室を飛び出していった。
そのまま見送って、俺はハッと気づいた。
「しまった!まだ解決案を聞いてない」
俺1人では到底思いつかない!
他に相談できる相手もいない!
1人より2人!
文殊の知恵だ!
グーッ
追いかけようとした瞬間、腹の虫が鳴った。
俺はしばし自分の腹を眺めた後、顔を上げた。
視線の先ではドアが開けっ放しになっていた。
平民女の姿はもうどこにもない。
「腹が減っては戦はできぬ、だ!」
俺は平民女を追うのを諦めて、食堂に向かった。
翌日平民女に平謝りして、何とかアドバイスをもらった。
あ~お腹空いた(´-ω-`)




