10.猪男は笑撃の事実を知る③
5/30タイトルの番号間違えてたので修正しました<(_ _)>
「う~っ、いてて」
一昨日母上の会心の一撃を食らった俺は、痛みと腫れが引かない左頬を押さえながら登校した。
「さすが母上、見事な右ストレートだ。しかし母上と姉上にまでちびっこのデマが及んでるとは…女のネットワークは怖いな。何としても今日中にちびっこ達と決着をつけなければ」
俺は教室に鞄を置くと、早速ちびっこの教室へ向かった。
「おい、ちびっこ!」
教室につくとちびっこがもう来ていた。王女様と平民女はいないようだ…王女様に会えずちょっと残念。
ちびっこはこちらには目もくれず、鞄の中を覗きこんでいる…どうやら何か探してるようだ。
「ちびっこ言うんじゃないわよ、名前を覚えなさいよこの猪が!」
ちびっこの台詞に俺はカチンと来た。
「お前だって俺の事「猪」とか「猪男」って言ってるじゃないか!」
全く自分を棚に上げて何て奴だ!
「うっ!…仕方ないわね」
指摘すると反論できないちびっこは大人しく引き下がった……ふっ勝ったな!
「それで何の用よ、私忙しいのよ」
「単刀直入に言う、変なデマを流すな!」
「は?」
ちびっこは鞄を覗きこんだ体制のまま固まった。
「変なデマを流しただろう!お前が俺が会長と恋仲だなんて母上に吹きこんだせいで、俺は母上に殴られたんだぞ!?」
「はぁ?流してないわよ、殴られたって何で…」
そう言いながら、ようやくちびっこが顔をあげる。
「プッ!」
そして吹き出した。
「人の顔を見て笑うな!」
全く何て失礼な奴だ!
「笑いもするわよ、何その顔~~アハハハハハ」
腹を抱えて笑う。
もはやこちらの質問など聞いていない。
「おい話を聞け!デマを流すのをやめろ!」
「だから流してないってば!アハハハハハハハハ」
結局HRギリギリまで粘ったが、ちびっこは笑い転げて話を聞かず、むしろ登校してきた他の生徒達にも笑われて、不満が溜まっただけだった。
「くっそぉ、ちびっこめ~」
あっという間に放課後になってしまった。
再度教室に突撃したが、ちびっこの鞄はなかった。
もしかしたら生徒会室にいるのかもしれないと、一縷の望みを抱いて扉を開ける。
「いらっしゃい」
いたのは平民女1人だった。
「あれ?会長たちは?」
こんなに人がいないのも珍しい。
「校内の見回りと先生の呼び出し」
それだけ言うと平民女は机にノートをひろげて何かを書いている。
手持ち無沙汰なので、声をかけてみる。
「何やってるんだ?」
「予習よ。もうすぐテストでしょう?」
「あっ!」
そうだった、すっかり忘れてた。
平民女に倣って慌てて机に座り、ノートをひろげる。
すると平民女が声をかけてきた。
「あ、そうだった。ケ…会長にコレを返すよう、頼まれたんだけど」
「?」
そう言って平民女が何かを渡してきたのを受け取る。
よく見ると先週俺が会長に贈った、痔の薬だった。
「ついでに伝言『絶対にいらないから、もう送ってこないでくれ』って」
その言葉に俺はショックを受けた。
机に突っ伏す。
「そんな…俺の気持ちなのに…」
「そんなこと言うから、拒否されるんでしょう」
呆れ顔で平民女が言う。
「何でだ!俺は心から会長の身体を心配して…」
顔を上げて恨めし気に見る俺に、平民女はため息をつきながら続けた。
「『生徒会長はケイト=アグリモニーと連日熱い夜を過ごしている、そのせいで会長が痔になった』」
頭が真っ白になった。
一体こいつは何を言っているのだろう?
「…って噂が立ってるの、知ってる?」
え?
会長が?
誰と?
俺と?
熱い夜?
自?字?時?………痔?
ダメだ何も考えられない…いや考えたくない
平民女に声をかけられるまで、俺は石になった。




