7.腹黒は駆除する
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放課後、王女と共に校舎の外に出るとケイジュが待っていた。
「ケイジュ様?どうしてここに?」
「こんにちは姫」
王女が驚く。
(そう言えば言っていなかったな)
「私が頼んで来てもらったんです、あの二人をどうにかしてもらおうと思って」
「あの二人って…」
王女がそう言いかけた時、土埃を立てながらこちらに向かってくる人影が見えた。
「王女様~~」
「プリティドール~~」
「どうやら来たようだね」
「げ」
やがてはっきり視認できるようになったが…何だあの格好。
猪は普通の制服だが、スパイは白のタキシードだ。
「「げ」」
そして向こうからもこちらが視認できたらしい。ケイジュを見て二人とも「げっ」という顔をする。
「『げっ』とはご挨拶だね、ケンカを売ってるのかい?」
仕事の山に追われてるせいか、ケイジュの沸点がいつも以上に低くなっている…
「か、会長…どうしてここに」
猪と変態が一歩後ずさりする。
「それはこっちの台詞だよ。ねぇケイト君、君今生徒会の仕事がどれだけ溜まってるかわかってるよね?ずっと見かけないと思ったら、仕事サボって何やってるのかな?」
(あーなるほど)
つまり猪はずっとサボって王女のところに来てたのか。
猪はダラダラと冷や汗をかきながらも、必死で弁解する。
が、怒れる腹黒には通用しなかった。
「え、えーとそれは…王女様を守る為…」
「姫の護衛はアイリスの役目だろう?そもそも学園の警備は万全だし、君が出しゃばる必要はない。もう一度聞くよ。あの書類の山を放置して、何遊んでるんだい?」
猪男は答えるどころか、金縛りにあったように身動きすらできず、ひたすら冷や汗マシーンと化した。
そんな猪男を一瞥すると、ケイジュは今度は変態に矛先を向けた。
「わ、私は生徒会とは関係ないぞ!?」
言われる前から、変態が必死で反論する。
「えぇ分かってます。ですが教師が一生徒に肩入れするのはどうでしょう?」
「い、いやそれは…教師として生徒と交流を…」
「特定の生徒に限って、ですか?教師なら全校生徒と平等に交流するべきではないのですか?」
「ううう…」
こちらも猪男と同じく、蛇に睨まれたように身動きせず、ひたすら冷や汗を流している。
「聞きしに勝る効果だわ」
実はノウキ―ン人はケイジュが苦手だ。
正確にはケイジュのように頭が良くて口の回る相手が苦手なのだ。脳筋なので上手い反論も思いつかず、いつも言い負かされるからだ。
だからこそ誰もが次代の王としてケイジュを認めている。
帝国と渡り合えるのは、ケイジュしかいないと誰もがわかっているからだ。
3人を見守ってると、横にいた王女がポツリと呟いた。
「ケイジュ様…仕事を放って来るなんて、そんなにケイトさんの事が好きなのね…」
とりあえず聞かなかったことにして、視線を戻す。
視線の先では笑顔のケイジュに2人が気圧されていた。
翌日ケイジュに生徒会室に呼び出された。
結局あの後猪男は生徒会室に連行され、変態は「仕事があるから~」と逃げ出した。
「じゃあ約束を果たしてもらおうか」
「わかってるわ、何をすればいいの」
「生徒会に入ってもらう」
「は?」
予想外の要求に目を丸くする。
「他にも色々要求したいところだが、目下一番の優先事項はこれだ。全然人が集まらなくて困ってるんだ」
「拒否したら?」
面倒だからちょっとだけあがいてみる。
「許すと思うか?」
「思わない」
恐ろしい笑顔ですごまれた。ここで拒否したら真剣に恐ろしい事になりそうだ。
こうして否応なく生徒会入りが決まってしまった。
密偵見習いは今日も大変です。




