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密偵見習いに指令「ざまぁを阻止せよ!」  作者: 一発ウサギ
第2章.密偵見習いは進級する
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6.密偵見習いは身売りする

翌日、いつものように王女を迎えに行くと驚かれた。

「どうしたのアイリス、今日は目にクマだけじゃなく傷だらけじゃない」

「驚かせて申し訳ありません。害獣退治に失敗しました」

もう言い繕う気力も機転も湧かないので、正直に言う。

「害獣退治?動物の被害は聞かないけど…」

「王女が気づいてないだけで、深刻な被害が出てたのです。人の為自分の為頑張ってみたのですが、力及びませんでした…」

無念そうに俯くと王女が追及をやめて、心配そうに声をかけてくる。

「あぁ…野生の動物は力が強かったり、すばしっこいというしね。ところで何の動物だったの?」

「馬+鹿と猪です」

「3匹いっぺんに襲ってきたの!?」

「いえ最初に馬と鹿のペアを退治しようとしたのですが、手強かったので猪の方に行ってみたのですが、こちらも退治できませんでした」

さすが脳筋、強かった。

「そうなの…まぁ無事でよかったわ。次からは専門の人にお任せしましょう」

「そうですね。得意な人にお任せすることにします」

教室に入ると王女がしょんぼりする。

「チューリさん今日もお休みね」

「そういえば新学期が始まってから、1度も見ませんね」

チューリ嬢の席は新学期以来ずっと空席だ。おそらくいつもの2人も一緒に休んでるのだろう。

「この前の夜会でリップ伯爵家の人に聞いてみたんだけど、何か旅に出てるらしいの」

「旅ですか?」

意外な答えが返って来た。

「国内一周の旅ですって」

「優雅ですね」

「お土産楽しみね~」

「そうですね」

その後も他愛ない話をしながら覚悟を決めた。


昼休み。

覚悟を決めた私は生徒会室にやって来た。

王女にはすぐ戻るから、教室で待っててくれと言って出てきた。

最後の手段を実行するためだ。

(もはやこれしかない)

緊張しながら部屋をノックする。

「どうぞ」

中から返事が返って来た。

…が、わかる。相当疲れているうえに不機嫌だ。

「失礼します」

そのまま部屋に入った。

「何だお前か、何の用だ」

部屋の中には、いかにも疲れて不機嫌な顔をしたケイジュが立っていた。手にコーヒーを持っている。一息入れるところだったようだ。他には誰もおらず、ケイジュの机の上にはたくさんの書類が積まれていた。

「忙しいところ悪いわね」

「分かってるなら帰れ」

そのまま見向きもせず、立ったままコーヒーを飲む。

にべもないが、諦めるわけにはいかない。

「お願いがあって来たのよ」

「断る。生徒会は人が足りないんだ、そんな余裕があるか」

「役員達の事は聞いてるわ、でもこっちも限界なのよ」

結局スノーナイトパーティの噂は消えず、生徒会は揉めた。

噂だけで素行や実績に問題のないケイジュを会長の座から下ろすことはできないが、自主的にやめることはできる。そういう訳で身の危険を感じた殆どの役員が辞めて行った。

一応前倒しで選挙が行われているが、噂が広がってるうえ新学期早々でまだ慣れていない事もあり、立候補も推薦も0らしい。

「お願いだから何とかして頂戴、私に出来る限りの事なら何でもするから」

ケイジュの正面に回りこんで懇願する。

あの二人を何とか出来るのは、もうケイジュしかいない。

「………」

「ケイジュ?」

何故か無言でこちらを見下ろすケイジュに若干不安を感じる。

(言い方が気に障ったのかな?)

「…お前がそこまで言うなんて、相当追い詰められているようだな?」

「えぇそうよ」

そう返すとケイジュがコーヒーカップを机に置いてニヤリと笑った。そのままこちらに歩いてくる。

「いいだろう、ただし…」

そのまま壁際に追い詰められて、壁に手をついて逃げられないようにされる。

「『出来る事なら何でもする』という言葉を忘れるなよ」

「……分かったわ、それじゃあ放課後に」

イマイチ不安は残るが、背に腹は代えられない。




学園は今日も大変です。


壁ドン(*_*;

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