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01.異世界転生って簡単じゃないね。

どうも、ペンネーム澤村涼夏です。

夜遅くにパソコンで、この小説を書いているのでタイピングが早くなりました。

最近声優さんに憧れています。つぐつぐのサインが欲しいです。ツーショット撮りたいです!今日、サッカーをしていて足を痛めました。

それと、まだこのサイトの使い方が分からなくて章が変になっていますがこれ全部で1章ってことでおねがいします。

  プロローグ

 ―――季節は春―――

高校生となる今日の日

 ほとんどの新入生が期待していただろう。

そう、入学式だ。



 そして、この学校の校長がステージの上に上がる。

―――その時だった―――

  ドンッ!!

俺の近くの扉が勢い強く開いた。その瞬間、新入生、在校生、教職員、全員が振り向いた。校長も目を大きく見開いているだろう。

そこに現れたのは、一人の女性...と言うには失礼なくらいの美しさ、神々しさを纏った女性。服装は白のネグリジェでちょっとエr(ry

胸のところに二個水色の半球のようなものが見える。ブラがすけてま……我に返る俺

(ベベべ、別に胸ばかり見てるわけではないですそうなんです。

 )

 歳は多分、二十いってないくらいだろうか、本当に美しい。女神のようだ。

この学校の女子生徒全員相手にならないだろう。(俺失礼だな)

そして遂にその女神様が歩き出す。

歩き方も気品に満ちている。

誰もが呆気に取られている間、俺の横を横切……らずに俺の前で止まった。

え?

もう一度言おう、俺の前で止まったのだ。

男どもからの視線が痛いんだよやめてくれよ

と、この時、俺は改めて分かった。この人もとい女神様は身体が火照っている、さらに息も荒い。

そして俺は口を開いて声を出す。

「だっ、どなん」

噛んだ。

女神様は小首を傾げる。

かわいいよ!かわいいよ!!メアド教えて!!!

俺は改めて口を開き

「どちら様でしょうか、僕に何か御用ですか?あ、保護者席はあちらですよ」

なんとゆう的確な対応だろう。

そこに遂に呆然としていた校長が言葉を発する。

「その子のゆう通りですよ。保護者席は後ろですよ」

校長先生が優しく声をかける。

でも、この女神様は校長の声が聞こえてないのだろうか、反応しない。

それどころか中腰で俺の顔を除いてくる。

(なにこれ!?めっちゃドキドキするやべぇこれなんて公開処刑ですか?)

さらにその女神様は両手で頬に手を当ててきた。

さらにはもっと顔を近ずける。

(これって、嘘でしょ!?)

俺の目の前に火照った女神様がぁぁぁ。。。頭の中がとろけてしまう。

そして俺の唇と女神様の唇が触れた。

「んんッ……」

女神様の舌が俺の口の中に入ってくる。

「んッ…」

何を考えているんだこの人は!? もうお婿に行けないよ!ママー

「~~っ!?!?」

こんなに気持ちい……社会的に公開処刑されている俺の腹に激痛が走った。

その途端に口を離してくれた。

その激痛が走った腹を触ってみると、なにかドロドロした液体が手に着いたのがわかる。

(うそ、だろ...)

血、だった。

「俺、まだ…ど、うて…い、そつぎょ…う、してな…」

そして意識がなくなる。

目を覚ますとそこは……

自分のベッドの上にいた。

「なんだ夢か」

嬉しいのか悲しいのかわからない。

「とゆうかまだ俺中三だし」

そう、今は一月元旦

まさかの初夢が殺される夢だとか、縁起でもない。

そして俺は今年初めて唱えた。

「異世界転生してぇーなぁー!」



第一章 オタクにも友達はいるもん!


今は冬休み、猛烈にペンを動かす俺の姿。そう宿題が終わらない

―――地獄だ―――



数日後...

学校が始まる。

何とか宿題は終らせ、学校につくと椅子に座り早速ラノベを開いた。

カバーも無しに萌えキャラの絵がほかの人に見えてしまうけど、そんなのは気にならない。

どうせラノベ読みながらにやけたり泣きかけたりしている俺の姿を見て周りの非オタどもは『きもーいあれがオタクなの~』とかどうせ思ってるんだろう。お前らもドラマ見て『この人かわいい~』とか言ってるのと同じだろうとは、あえて言わない。めんどいから。

「ねぇねぇ、みーちゃん」

横から少し高めの声が聞こえる。

「おーい?みーちゃん?」

ダレダロウコノヒト、ズットヨンデクルヨコワイヨ

「ねぇってば!」

――バフっ

背中に柔らかくて丸いものが二つ当たってきた。

「何だよ?!?!心愛!学校でその名前早めてくれよぉ」

「えぇーいいじゃんいいじゃん」

流石に思春期の男の子の俺には、FかGぐらいありそうなしぼu...夢と希望がつまったものを背中に押し付けられたら、たとえ幼馴染だとしてもドキドキするんだよ!!

あ、ちなみにこいつは俺の幼馴染の非オタでリア充の、豊崎心愛(とよさきここあ)家が隣なので子供の頃はよく遊んでいた。目鼻立ちも良くて身体付きも男が好むように出来ている。この学年で一番でかいであろう物体を押し付けられたのだ。な? 皆ドキドキするだろ?

それと、この際だから俺も名乗っておこう、俺の名は弦巻湊(つるまきみなと)だ。オタクで非リアのな!!

んで、話戻ろう。

「何の用だ心愛。」

「えー?用ってゆうかぁ、なんか構ってよぉ~」

「んな!?!?」

なんという罪深きおっp……じゃなかった幼馴染だ。俺の至福のひと時をじゃまして構ってほしいからだと??ギルティ!

「俺、お前と話してたら、男どもの視線が痛いんだよ」

「そんなの気にしな~いの。見せつけてやろうよぉ」

なんだこいつ、今日はいつになく積極的だな。

「なんだよ、今日、お前どうしたんだ?」

「いやぁ、いつも一人でそやってるからさぁ、なんか望み無いのかなぁって思って」

「ひ、ひひひ、一人じゃないもん!少なくとも二、三人はいるもん!! ――まぁ、望みがあるとすれば異世界転生したいなぁバトルクエストがあるとこの」

「一人で?」

「まぁ一人は寂しいから数人で」

「数人って?具体的に何人とかないの??」

ほんとにどーしたこいつ今日変だよな

「まぁ、ねーちゃんがいると安心だろうな。なんだかんだ頼れるし。でも多分ねーちゃん異世界に行きたいとか、言わねーだろーな。」

「……二人……だけ?私はいらないの?」

「あーはいはいココアサンモイッショダッタライイナ」

「なによぉそのボー読みぃ」

やばい今日の心愛可愛すぎ、ちょっと顔が赤いとこもボンキュッボンの身体とうまくマッチしてさらにエロさが増している。

そして吐息もなんか荒っぽい?

「ちょっと、お前顔赤いぞ」

「えぇ?そぉかなぁ」

「ちょっと失礼」

っと心愛のおでこに手を当てる

「ぅあっつ!!お前熱あるぞ!!」

「ふぇぇ 」

―――バタッ―――

「おい!?心愛?ここあぁ!!」





第一.五章 保健室の出来事(このテーマとてもとてもひびきませんか?)


心愛を保健室に運んだ俺は、先生は少し用があるから、親が来るまで見てて。と言われ、只今詠唱中……

『全裸のかぁちゃん。全裸のかぁちゃん』

あまりに心愛がエロいので心臓ばバクバクなる。病人にこれは失礼だろうが、かなわない。

「みーちぁん…水、飲ませてぇ」

「ひゃい!!」

思わず声が上擦ってしまった。



そして俺は、ペットボトルの蓋を開けて心愛に渡……

「飲ませてよぉ?ね?」

「ふぁいっ!」

(うああああああああああぁぁ!!!!まて!俺!待つんだ俺よ、こんなにエロい心愛はただの病人、そう、ただの患者さん。患者さんをエロい目で見るとかありえないからっ!)

俺は自分に言い聞かせる。魔法を唱えるように。


―――その後、ペットボトルを口元に差し出し傾け飲ませてあげた。

決して口の周りから水が溢れてワイシャツに溢れて下着が透けてたなんて知らないんだからねっ!


第二章 オタクにも友達はいるもん!(パート二)


―――時は過ぎ………

受験生の俺たちは、特にすんごい出来事も無ければドキドキの出会いもない。

そんなこんなでもう2月だ。

明日は俺の高校の受験。帰ろうとした俺の元に、友達の←(ここ大事)オタク友達でもある “世良涼雅”(せらりょうが)と “柊祐樹”(ひいらぎゆうき)が近ずいてくる。オタクとしてなのかこの二人の苗字かっこいいと思う自分がいるのはおいといて、

「どーした??」

廊下を歩きながら尋ねる。

「あー湊明日受験だろ?分からんところ無いかなーって。」

あ、言い忘れてたけどこの二人オタクのくせにテストは毎回一桁の順位なのだ。ちなみに俺は中の上くらいです。

「みなだけ違う高校だもな」

ちなみに湊と呼ぶのは涼雅で()()と呼ぶのは祐樹だ。

「多分大丈夫。だいぶ勉強したから」

「そーかそーか」

「じゃあまた明日……じゃなかった明後日や」

「おう。」

「受験がんばれよー」

「うん」

「あなたに、精霊の祝福がありますように。」

「「………」」

祐樹がエミ○アのまねをしながら言ったけど無駄に声が高いだけで似てない。

「よし!帰るぞー」

俺がその場の空気をやわらげた。



ちなみに帰る道、途中まで同じなんですけど。




そして試験当日……



空欄はひとつも無い。

見直しも時間ギリギリまでした。

これで受かってなかったら相当だ。



受験が終わり、家に帰る。

ベットに横たわる。

疲れた。

すると○INEが来る。

心愛からだ。

『受験お疲れ様。わたしの方は多分受かってる。でね』

確信があるのか、羨ましいな。

そこから二十秒くらい間が空く。

『土曜日。デート…しよ?』

…………え、?

幼馴染的なノリなんだろうと思い、時間を決め心愛に送った。



そしてあっとゆう間に土曜日が来た。

幼稚園や小学校低学年まではよく遊んでいた。

が、ここから先は言わなくてもわかると思うがほとんど遊ぶなんて事してない。

緊張が走る。

すると急に視界が真っ暗になった。

先程まで見えていたベンチ、横にある銅像。青い空。そして道行く人々。

「だーれだ」

女の子の声がする。

なんか背中に当たってるんですけど!?

「佐倉綾音」

「はい、現実見ようね」

何だよ期待させといて。ここは平常心を保ち……ん!?こ、心愛の服装がやばいことに今気づいた俺氏。

短パンに黒タイツ、上は赤色のTシャツに、胸の部分だけ閉まらなかったのだろう上着を着ている。とってもとてもイイですね。

「なに?あたしのことジロジロ見て」

「え!?あ、いや、何でもない」

ぱっと視線を心愛の身体から横にあった銅像に向ける。

「――――ッ!?」

「ほらほらぁ。どこ見てたかはっきり言いなよぉ~」

上目遣いで言ってくる。

「え、あ、あぁ…………胸」

「す、素直でよろしい」

声のトーンがおかしい心愛。

こいつ、俺が本気で言うとは思ってなかったのだろうか。

「さわ…りたいの?」

「いいんですか。」

「え、え、え、あ……き、気がむいたらね」

生殺し……

「なまごろしいぃー!!」

むにゅっ―――

「え。」

「もみもみ。おー柔らかい」

「え、」

みるみるうちに心愛の顔が赤くなる。

おっとヤバいな。

「ま、まぁ落ち着け。お前が誘ってきたんだ……フグゥゥッ!」

「キャーーー!!!!」

全力で股間を蹴り、全力で去っていった。



「そろそろ許していただけませんですか」

その後、電話をかけても反応してくれず自力で探し出した。

結果十分ほどで見つけ、たい焼き屋に並んでいたので奢ってやった。いや、奢らされた。

どーしたら許してくれるの。

悠長にそんな事を考えていた俺だが心愛が行きたがっていたショッピングモールに着いた。

ちなみにここまで心愛はずっと早歩きだった。

機嫌直してくれないかなぁ。

「こっ、心愛。そろ、そろ許してくれませんか。俺も悪かったと思ってるし。この事は忘れるからっ!」

...に(別に).........く(忘れなくても).........い(いいのに)......」

え、憎い?嘘だろ。

「ごめんなさい。本当に何でもしますから!」

「言った」

「え?」

「何でもするって言った」

「は、はい」

ヤバい、こいつヤバいことさせる気だ。目から殺気が……

「何でもって言っても何でもってわ」

「こっち来て」

「はい」

心愛がすたすた歩いて行く。それについて行く俺。

そして遂に処刑が始ま……焼肉?

「ふぁぁぁぁ……」

どしたのこいつ目がキラキラ輝いて。

「ここ!ここ行きたかったの!このショッピングモールできた時から人気で 友達は肉あまり食べないし、親はいつも仕事でいないから一人じゃ恥ずかしくて………あっ。」

急に心愛が黙る。

まだ三時ですよ?さっきたい焼き食ったろ。

「ね、何でもするって言ったよね」

俺の袖をクイクイ引っ張り半径三メートルくらいにここに入りたいオーラを漂わせている。

まぁいいか、昼飯まだだし。

「仕方ねぇな入ってやるよ」

と、横を見ると心愛がいない。

「何名様でしょうか」

「あ、二人で」

「ではこちらに」

おい。



「ふ〜ふふ〜ん♪」

「しっかしまぁ昼間から開いてる焼肉屋もあるんだな。で、何食べるんだ?」

「え、あぁまずはこれとこれとこれとこれ」

「ん?ずいぶんと高いけど大丈夫なのか?」

「え?みーちゃん何でもするんでしょ」

え、

「ちょっと待って」

慌ててサイフの中身を調べる。

こんなに食ったら今月のラノベが……しかもバレンタインのイベントもあるのに……

まぁでも、機嫌直してくれるならいいかぁ。

俺が入試よりも頭を悩ませ葛藤し、出た結果は……

「分かった。今日は俺が払う……よ………」

「えっと、これとこれとこれと」

「熟成赤身とタンとロースステーキですね。かしこまりました」

こいつもう頼んでやがった。

「あと野菜のほうで………」

どんだけ頼むのこの人……



俺が今月のことを考え絶望していた時。

「ごめんごめん全額奢れってわけじゃないから」

「そーなの?ほんとぉ?」

「うん。七割払ってね」

割り勘じゃねーのかよ。

まぁ、今回は俺が悪いしな。いっか。

「うん。分かった」

「よ、よろしい」



そして遂に肉たちが運ばれる。

勿論心愛の目は輝いている。

焼肉デートか。悪くないかな。

俺達は肉を焼き始めた。



え、くっそうめぇ。

ここの肉めっちゃうまい。

肉のあぶらがしつこくなく歯ごたえもあるのに決して固くないこのタレもピリ辛でものすごくあっている。

「ここの焼肉めっちゃ美味いじゃん!」

「でしょ!ホントにココ人気だったから来てみたかったの!ね、ちょっと高いけといいことした気分でしょ!」

「ああ、こんなにうまい焼肉食ったのは初めてだぜ!」

「はいっみーちゃん。ロースステーキあ〜ん」

「あーん。もぐもぐ」

「どーお?」

んっ!?こっこれは!

「最高ですぜ。この店に礼を言いたいくらいだぜ。」

「よねっ!めっちゃ美味しいよね!」

二人がほぼ同時に額の汗を拭う。

「お!こっちも焼けてきたぞ!…もぐもぐ……やっぱ美味い!ご飯が止まらねぇぜ!はいっ!心愛、あーん」

「あ〜んっ…」

「悪ぃちょっと熱かったか?」

「もぐもぐ……ううん大丈夫、ちょっと熱いくらいがちょうどいいから」

「そーかそーか、お、いい具合に焼けてるぞ心愛、あーん。」

「あ〜ん……もぐもぐ……んっ!これも美味しい!じゃあみーちゃんこっちもあ〜ん」

「あーん」

俺達はこの調子でずっと食べさせあいっこしながら食べ、すぐに食べ終わってしまった。

だいぶ軽くなったサイフをポケットにしまい、心愛に話しかけようとするが、また気まずくなってしまった。

ワケは話す必要も無いだろう。俺達はずっとあのテンションで食べさせあいっこしてたのだ。俺が心愛に近ずくと心愛は顔を赤くして目線を斜め下に向ける。ちょっと今日はテンションがおかしすぎた。

結果だけで言えば本末転倒なのだが機嫌はいいのですぐに話せるだろう。

ここは男の俺がリードするのがいいのかな。

「心愛、あ、あ〜美味かったな」

「ひゃっ、えあうん」

めっちゃ動揺してる心愛かわいい。

「ま、また今度行けたらいいな」

「今度……」

「……あ、他に買いたいものとか無いのか?付き合うぞ」

「あ、じゃあこの服屋のとこ行こ」

「おけ」



すぐに着いた服屋。

「うわぁぁぁいっぱいだぁ」

「俺ここで待ってるから買ってこいよ。荷物持ちくらいはするから。」

「え、あ、……試着したいから中まで来て……みーちゃんに見てほしいの」

「お、おう。分かった」

心愛が何着かの服を持って試着室に入っていった。

数分が経ち……

試着室のカーテンが開かれる。

そこにいたのは紛れもない正真正銘心愛……なのか?

「ど、どう…かな…」

「え、めっちゃくちゃかわいい」

「えへへ、そーかな…」

「うん」

「もうっ。即答されたら照れるじゃん… もう何着か着るから待ってて」

「分かった」

途端にまたカーテンが閉まる。

あのかわいい心愛が見えない時間が辛い。

早く心愛を見たい。

そう思っているとカーテンが開く。

そこにはまた、最高の心愛がいた。

今回のはちょっとえっちな服だった。

顔を赤らめてるかわいい。


他にも試着していた。

かっこかわいい心愛。

だらんとした心愛。

やっぱりエロく見える心愛。

すぐに遠い所に行ってしまいそうな心愛。


今日はいろんな心愛を見た。

怒っている心愛。

拗ねてた心愛。

楽しそうな心愛。

かわいい心愛。

テンションのおかしくなった心愛。

天使の様な心愛。

恥ずかしがる心愛。


そして帰り道……

並んで歩いていると心愛が話しかけてきた。

「みーちゃんって好きな人とかいるの?」

急にきた。

「え、俺かぁ」

これが恋バナってやつか。

「どーなの?」

「いるよ。」

二次元だけどな。

「そーなの?」

「二次元にな」

「なぁーんだ」

ほっとしたように言ってくる。

だが、俺は見た。

好きな人がいるって言った時にした顔が、俺が今まで見たことのある心愛で一番…

悲しい顔をしていた気がした。

何故かは分からないが別に注意することも無くゆっくり歩いて帰った。

その帰り道、ずっと心愛は俺の腕に寄り添って歩いていた。

ちなみにその後、心愛に好きな人はいるのかと聞いたら、『え、あ、あたしは多分いるのかな、いないのかな、よくわかんないや。』と答えていた。



そんなこんなで心愛を家に送り、自分の家についた時はもう七時を過ぎていた。

俺は疲れていたので風呂に入ってすぐに寝ることにした。



***



今日は二月十四日。

リア充共が憎くなるこの日。

俺は、クラスの男子共からものすごく痛い視線を感じていた。

「はいこれ。手作りチョコ」

「え!?こっ心愛?何で学校で?」

俺は今、今年で一番驚いている。

毎年のバレンタインは家が隣なのでどこからか買ってきたチョコをさりげなくポストに入れているだけだったのに今日はどうして。

「なに?要らないの?」

「え!?あ……いただきます」

心愛からチョコを渡される時、心愛は視線が泳いでいた。

(恥ずかしいならやんなきゃいいのに)


だが、それ以上に周りの視線が痛かった。




そしてその帰り道。

俺はいつも通り涼雅と祐樹と話ながら帰り道を歩いていた。

「結局今期で一番面白いのって俺的には○ロウ○タートかな」

「えーそれってあんまり好きになれんかったんよね〜萌え度が高すぎるからかなぁ」

「えーうそぉーこれはこれでいいけどなぁ。あ、ちなみに志温ちゃんが一番いいよね。あの豊富な胸がサイコーだぜ」

「やっぱみなってオタクと変態の掛け持ちか?」

「いやー!やめてぇー!その二つの名前はかけ持ちしたらヤバいから!ごめんなさい僕は純粋な心の持ち主ですよそうですよ」

と、俺らが何気ない話をしていたところ横断歩道にさしかかった。

あいにく赤で止まっていた。

そして青になった。

俺達は歩き出す。

そんなに長くもないただの横断歩道。

たった片方が二車線分の何気ない横断歩道。

だが……

俺は横から信号無視しているトラックに気づかなかった。

あと数メートルといったところか。

結構なスピードだ。

俺は―――死を覚悟した。

―――ドンッ

その瞬間だった。

背後から思いっきり突き飛ばされた。

俺は突き飛ばされた衝撃で軽い逆立ちみたいな状況になる。

けれども太ももから下は思いっきりトラックにぶつかる。

(い゛っでぇ!)


そこで俺は見た。

俺を突き飛ばした本人を……



―――心愛だった。

一瞬……いや、しばらく自分を疑った。

ただの空似かもしてない。制服は着ていたが……

そんな事を考えているうちに、トラックの勢いで飛んでいった命の恩人を再度見る。

顔は向こうを向いていて分からない。

髪の色は心愛と同じ。

足に激痛が走った。そんなん知るか。

俺は立てないのでうつ伏せのまま手で自分を進める。

遂に命の恩人に手が届いた。

顔をこっちに向けようとする。

心愛で無いことを願う。

目が開けられない。怖いからだ。

だが、いつまでも目を瞑っている訳にも行かない。

遂に俺は目を開ける。



―――だが、現実は甘くなかった。



―――正真正銘俺の大切な大切な幼馴染だった。



俺は絶望という言葉じゃ表せないくらい絶望した。

瞬間、俺は心愛に被さるようにして気を失った。




第三章 事の結末



(俺の知らない天井だ)

俺が目を覚ますとともに起き上がろうとする。

すると足に激痛が走る。

(あ、俺トラックにはねられたのか)

ふとベットの横にあったデジタル時計を見る。

二月 十七日 午前 八時五分

あれっ俺がはねられたのって確かバレンタインの日だったから三日経ったのか。

ん?

バレンタイン……トラック……

「あ!心愛!心愛が俺を庇ってはねられて!」

慌てて動き出す俺。

―――ドサッ

ベットから落ちる。

点滴の針が抜け、ものすごく痛い。激痛だ。

いや、それ以上に足がヤバい。

「うあああああああ!」

本気でマズい

落ちた衝撃が身体全体にかかり足だけ異常な激痛が走る。

「ああああああああ!」

廊下を走って来る音がする。

「弦巻さん、入りますよ」

ドアが開かれる。

「弦巻さんベットに上げるから手伝って!あと点滴用の針と液も!」

俺がベットの上に上げられる。

足の激痛は本気でヤバい。



そんなこんなで数分後には落ち着いてきた。

医師がどうして俺がこうなったのかを説明してる。だが、俺の頭に入ってこない。

ワケは心愛だ。

心愛が心配だ、今すぐ心愛の病室に行かないと。

俺の怪我の状態なんかどうでもいいんだ。

「先生……」

途端に俺の怪我の状態の話が止まる。

「どーしたの?」

少し声のトーンがさがる。

「俺と一緒に女の子が運ばれなかったですか?」

医者は少し黙る。

俺は早く何処にいるか聞きたいのに。

「あぁ……その子なら他の大学病院にいるよ。 結構な重傷でね」

「そうですか…… あ、どれくらいの期間入院しますか? その女の子の方も俺の方も」

「その女の子は君の彼女か何かかい?残念ながら僕も別の病院までは分からなくてね、君なら一ヶ月もすれば松葉杖を使って歩くことくらいは出来るだろう。」

「そうですか……」

「あぁ、すまないねぇ」

「いえ」

「とはいえ君も重傷なんだ安静にしといてくれよ?」

「はい」

そう言って医師は出ていく。

医師は少し寂しそうな顔をしていた。



数日後……

俺はまだベットに寝ていた。前の方にはベンチがあり、後ろ側にはトイレと風呂まであり、横にはテレビもある。

結構豪華な部屋だ。

そんなこんなでする事ないからテレビをつけた。

今は昼だ。アニメなどしていない。

暇だ。

あ、

HDDの容量やばくなるな。どーしよ。

少し考えた俺は今日の深夜に備えて寝ることにした。

と、思ったのもつかの間。

この病室のドアが開く。

「よっ」

「湊大丈夫か?」

そこに現れたのは祐樹と涼雅。

「見舞に来た」

やっぱ持つべきものはオタク友達なのかもしれない。

この二人はお見舞いの品が新刊のラノベだった。

「ちなみにりんごもあるぞ」

「皮……剥いてやるよ……いいだろぉ……?」

「あ、あぁ頼むよ祐樹……」



俺は祐樹が…………剥いて……くれ……た、りんごを食べながら二人に今、一番気になる事を質問する。

「なぁ」

「「ん?」」

二人がハモる。

「俺の幼馴染……いや、俺を助けてくれた女の子何処にいるんだ?」

その俺の言葉に祐樹が過敏に反応するが、答えたのは涼雅だった。

「んっ、豊崎さんの事か……今少し遠めの大学病院に入院してる」

「なぁみな、前にみなの友達だからって豊崎さんと話したことあったけどあの子、めっちゃいい子じゃん?かわいいしエロいしで俺の心を揺さぶるんだよ」

「んなっ!?ん、まっ、まぁ仕方ないか年頃だもんな、せっかく俺が二次元に染めてやったのに勿体無い。本当に仕方ないと思うぜ、変態のオタクさん」

「おい。変態とオタクを一緒にするなって言ってた奴が何言ってんだ? お前ちょっとこれ見ろよ」

そう言って祐樹がケータイを差し出してきた。

そこに映っていたのは……

「んな!!おまっ!何てものを!どこでそれを!」

この前、俺と心愛がデートした時に俺が心愛の胸を掴んだ……いや鷲掴みした時の写真でした。

「いやーこの前秋葉に行く途中にな、みなっぽい人がいて話しかけようと思ったけど 女の子と話してるからタイミングを待って声をかけようと思ったんだよ、すると急に女の子の方が顔を赤くしだして、その途端に男が女のむn」

「うわあああああああああ!!」

これ以上は言わないでくれえええ!

そう叫びながら手と足をバタバタさせる。

いや、足はバタバタできない状態だったな。

「祐樹、そろそろやめろ病人だぞ」

「はぁい」

助かったぜ涼雅、ん?涼雅の顔が強ばっていってる?

「あ、ちなみに湊さっきの写真俺ら二人の待受画面だからな」

涼雅も知ってた……

いや、それ以上に待ち受けって何だよお前らも危なくなるだろ。

「消せよお前ら!!!友達だろ?な!病人相手だからっていたぶるんじゃねぇよ!退院後には憶えてろよ!」

病人にはもっと優しく接してくれるのが常識なんじゃないのか?

「ま、嘘だけど」

「え……」


この後、俺はずっとおちょくられ続け……

「じゃーなーみなー」

「バイバイ、湊」

「お前らもう二度と来んな!!キー!キー!」

二人が、もうこの後、家に帰ったらすんごい賢者タイムになるくらいに俺をおちょくり、最高の笑顔で退出していく。

「はぁ〜、疲れたぁ。」

人がいなくなり静かになったこの部屋を見渡す。が、別に何かあるわけでもない。

急に暇になった。

なんだかんだであいつらとの会話は楽しいと感じてたのかな……

そして今度こそ寝ようとする―――が、トイレ行きたい。

さっき手伝ってもらえばよかったと後悔するオレ。

仕方なく看護婦さんに頼もうと思い、呼び出しボタンに手をかける。

すると、俺がボタンを押すと同時にドアが開く。

え、はや。

まぁいいかと思い声をかける。

「あ、あのぉトイレしたいんですけど……」

と、言いながら振り返る俺。こっちを見つめる姉。

そう、そこにいたのは姉だった。



「これ使えばいいの?」

「うん」

トイレしたい、と聞いた姉(弦巻 唯)はすぐに俺に寄ってきて 『それならわたしが手伝ってあげるよ!』とか言いながら現在に至る。

「さぁズボン下ろしてね」

「じ、自分で下ろせねぇんだよ」

「あらぁ、それは大変ね。わたしが下ろしてあげるよ」

何でこいつボー読みなんだ。

すると姉は布団の中に潜り込み上半身全部が隠れる。

心愛並にボリューミーなあれが、腰当たりに当たって……

そして姉のケツはこっち向きにある。世に言うあれだ、六と九のあれだ。

これ以上はR-18展開になりそうなので、カットだカット!絶対にだぞ!

「ちょっと!?ねーちゃんっ!?」

「どーしたのミナ〜 何かいやらしい事考えてるでしょ」

「そそそそ、そんな事ないよ!」

カットしてねーじゃねーか。

「もぉ照れちゃってぇ。もういいよぉ出しちゃって」

「………うッ…」

「うわぁぁいっぱい出たね〜 このまま続きをしよっか?」

「しなくていいから!!もう出てくさださいお願いします」

「い〜や〜、もーちょっとここに居るもん」

「ちょっとねーちゃん……」

もう、どうにもならないとと思い諦めた瞬間……

―――コンコン

「弦巻様〜失礼しま…す……」

若い看護婦さんが入って……

「あ、」

そうだった。

「にひひひぃぃ」

呑気な姉の声は、もう聞こえなかった。

「しししっ、失礼しましたー!」

「ごごごごご、誤解です!待ってくださああああいーーー!」

顔を真っ赤にしていった看護婦さんは病院なのに全力疾走だった。

まだR-18展開のほうが、俺のメンタルに対するダメージは抑えられたと思った。

このおんなぁ!



しばらく経ち、俺が口を開く。

「ねーちゃん。俺も気が変わった。ずっとそこにいてくれない?」

「え、うそ、いいの?」

よし、作戦通りだ。

「ずっといてよ?動いちゃダメだよ?」

「うん分かった!遂にミナもこんな事をする年なのかぁ」

バカめ、そんな安い男だと思っているのかこいつは

何か聞こえたが無視だ無視。

「ではいきます」

「ん?」

俺は姉の横腹に手を伸ばし……

「こちょこちょこちょ!」

「あんっ、やっ……やめてっ、」

あれ、

「そこはぁっ……はあんっ……ら、らめぇぇぇ」

おい。

俺が思ってたのと違うぞ。

まいりましたって言わせるつもりだったのに。

―――だが、俺は手を止めない。

ずっとくすぐり続けている。

真顔で。

「やぁんっ……ハァハァ、やっ、あああんっ」

これはこれでいいかもな。

「ええい!もっと激しくだ!」

「いやんっ、もう……これっ、以上、はぁんっ!」


この後俺は、スマホを忘れた涼雅とその付き添いの祐樹にが戻ってきて、『お幸せに』と涼雅が、『やっぱねーちゃんって羨ましいな』と祐樹が言い、『話せば分かる』と言いながらも、もう二人は退出していた。

その後も俺は激しい事を続け、耐えられなくなった姉は俺の足をバンバン叩き出したので、仕方なく思いっきり引き剥がした。



とぼとぼと悲しそうに椅子に座りに行く姉の後ろ姿は本気で落ち込んでいるようだった。

「あ……ミナ……今日、わたし、ここに泊まるから。」

「え、何で?」

「ミナの面倒見」

「大学は?」

「しばらく休んでいいくらいに出席日数と単位は取ってあるから」

「すげぇなねーちゃんは。難関大学何だろ?」

「まぁね。勉強頑張ってたからね」

頬をポリポリかきながら返事をしている。ちょっと照れてるのかな。

「そのぉ、あのねミナ、今日はわたしが泊まるんだから……こっ、この柔らかめの長椅子じゃなくて……その…ミナと同じベットで寝ていいで」

「嫌です」

「ぁ…………」

結構ショックだったのか、目のハイライトが徐々に無くなっていく。

「今日はお見舞いよりもミナと一緒に寝るのが一番楽しみできたのに酷いよミナは酷いよ無理矢理でも入ってやる」

声のトーンが低くて怖いよねーちゃん。

あれ、なんかお見舞いよりも寝るのが楽しみとか言ってたけど、それ、言っちゃいけないやつだよね。本人の前で。

「じゃあわたしは夜にミナの観察をする為に今から寝て備えたいと思います」

いや、ねーちゃん点も丸もないって逆に怖いよ。

「すーすー」

寝るの早っ!

あーあー布団も被らないで寝て。

「仕方ないなぁ」

俺はまた看護婦さんを呼ぼうと思い、ボタンに手をかけて押した。

今度は一分も経たないうちにノックの音が聞こえる。

―――コンコン

「しっ、ししししし、しっ、失礼しましゅっ!」

ドアが開く。

「つつっ、つっ弦巻様!ここ、今回はどう言ったご要件でしょうか!」

あれ……この人……

「あ、あぁ、姉貴が寝てしまったので毛布か何かあるませんかね」

「ごごっ、ごごごご了解致しました!!(ピシッ)」

さっき俺がトイレしたいからって呼んで、その時に来た看護婦さんだ。

何故か敬礼までしてる。

「ででで、では!毛布を持ってくるので弦巻様は何をされていても構いいませんですよ!」

言いながら軽蔑と怯えの目をした看護婦さんは出ていく。

何をってもうあれか、俺、変態扱いかな。

「いやぁ〜ん……ミナのエッチ……」

やい、姉貴よ、どんな夢見てんだ。

―――コンコン

「弦巻さん入りますよ」

毛布を持って来たのは僕の担当の先生だった。

「調子はどうだい?」

俺の姉に毛布をかけながら質問してくる。

「まぁまぁですよ。動かなければ大丈夫です」

「そーかいそーかい」

「あっ……ミナんっ、そこはぁんっ、らめぇぇぇ」

…………

…………

「…………では僕はこれで失礼するよ。また何かあったら呼ぶんだよ」

そう言って出ていく先生。

この病院での俺の評判が悪くなる前にねーちゃんには出ていってもらわないとマズい。

とゆうかねーちゃん、起きてるんじゃないかな?

そう思った俺は、寝ている姉貴の方に目線をバッと勢いよく向ける。

ビクンっと身体が震える姉。

こいつ!!




―――その夜。

昼の事は全て忘れようと思い寝た俺は、四時間程寝てしまっていた。

「ねーちゃ〜んご飯どこおうわあああああああ!」

顔を横にむけて寝ていたので首が痛くなり、逆を向いた。するとそこには、顎に両手を置きこちらをニマニマ見ている姉の顔があった。

「な、何だねーちゃんか……」

「ご飯作ったけどいる?」

「あ、うん」

少し大きめの弁当箱を出す姉。ついでにスープも持ってきてくれている。

何が入っているんだろう。

少しの不安と期待を持ちながら弁当箱を開ける。

するとそこには……

「え!何これ!ほんとにねーちゃんが作ったの!?」

「え?そだよ? あー一人暮らしが長いから料理が上手くなったのかな」

そう言えばねーちゃんは一人暮らしだった。

「あーんしてあげよっか?」

「間に合ってますいただきます」

途端に俺は飯をかきこみだした。




「はぁ〜美味かったぁ」

「ん〜〜!」

どんだけあーんが出来なかったことを根にもってるんだよ。

「なんで」

「ん?」

「何でわたしにはあーんさしてくれないの?」

え?わたしには?

「どーゆーことだよ」

ねーちゃんがスマホをこっちに向け、聞き覚えのある声が流れ出す。

『はいっみーちゃん。ロースステーキあ〜ん』

『あーん。もぐもぐ』

『ど〜お?』

『最高ですぜ。この店に礼を言いたいくらいだぜ。』

『よねっ!めっちゃ美味しいよね!』

『お!こっちも焼けて来たぞ! もぐもぐ……やっぱ美味い!ご飯が止まらねぇぜ! はいっ、心愛、あー「ああああああああああ!!!」

どこからこれを!?

「どうやって入手した」

「内緒」

本当にどうやって入手したの!?

「んっ、んん、まぁいいか。もう疲れたから寝る」

「ん。分かった(Kirakirawakuwaku)」

「一応言っておくが俺に何もするなよ。振りじゃないからな」

「うん。分かってるよ!」

絶対こいつなんかするだろ。

まぁ、もう眠いから寝るか。

「じゃあおやすみ」

「おやすみ」

今日一日何があったかを少し思い出しながら……(思い出さなくてよかった事もある気がしたのでやめておいて)深い眠りについた。



朝起きると、案の定姉の顔が横にあった。



そんなこんなでたまに来る二人のオタクに勉強を教えてもらいながら、姉には来る度に弄られながら一ヶ月が過ぎ……

今日は三月十四日。ホワイトデーだ。

「退院おめでとう。まだ右足の怪我は治りきっていないが、松葉杖があれば歩けるだろう」

「お世話になりました先生」

「本当にありがとうございました!先生。 じゃ、行こっかミナ」

松葉杖で歩きながら車に向かう。

「ミナ、今日心愛ちゃんのとこに行く?」

「うん。今日行く。それと今日ホワイトデーだからなんか買ってから行きたい」

「ん。分かった。」

ちなみに心愛が作ってくれたチョコは学校のかばんに入れたままで、もう食べれないだろう。後で謝ってまたいつか新しいのを作ってもらおう。

駐車場に着き、乗り込む。

「まだ入院してるの?」

「ん………」

あれ、今日はやたらと静かだな。天変地異の前振りか?

まぁいっか。

俺はデパートでマカロンを買い、姉は花を数本買っていた。

そっか……まだお見舞いなのか……

俺達はまた車に乗り込む。


数十分後車が止まる。

俺達は車から降りる。

「ちょっと歩くけど大丈夫?」

「え?あ、うん。だいじょう…………」

え……

うそ、だろ?

「行くよ、ミナ。」

ゆっくり松葉杖を使いながら歩いて行く。

しばらく歩き……

「着いたよ。ミナ。」

「見たくない」

「何でよ……ずっと病院でっ……会いたがってたじゃん……」

俺の姉が、どんどん涙声になっていく。

「仕方ないんだよっ……ミナ……」

姉がデパートで買ってきた花を刺している。

それにつられ俺も前を見る。

その目の前にあったのは……



豊崎家と彫られた墓石だった。

「何でだよ」

何でいなくなってんだよ。

「ごめん、言えなかった」

ああ、分かってる。ねーちゃんの気持ち、涼雅と祐樹の気持ち、分かる。俺もその立場だったら言えねぇわ。

「心愛……」

唯一の俺の大切な幼馴染。

俺の不注意が招いた事の結末。

残酷すぎやしませんかね。

これが神様のイタズラだとしたら俺は……

「心愛…………」

そっと手に持っていたマカロンを台に置く。

「ごめんなぁ……心愛。 心愛が作ってくれたチョコ、食べれなかった……」

もうこの世にいないけど……

「また……またっ……作ってくれよぉ……心愛……」

暖かい雫が頬を伝う。


泣いてんのか……俺……

頭の中が心愛の事だけでいっぱいになる。

走馬灯のように心愛との思い出が脳裏をよぎる。


もう……焼肉屋行けねぇじゃねぇか……

もう……新しい服着た心愛、見えねぇじゃねぇか。

もう…………

「はい、ミナ。お線香」

ねーちゃんから貰った線香を刺す。

「じゃあ……帰ろっか」

「うん……」



家に着いた俺は、その日は寝込んだ。次の日は学校を休んだ。



三月十六日。

今日が中学の卒業式だ。

 衝撃的な事実を目の当たりにして、はや三日。

 学校からそう遠くない俺の家は、今、登校している生徒の声が聞こえる。

「ぁ……喉乾いた……」

 やる気のない声が部屋に響く。

 だるい体をダラダラと起こす。

 松葉杖を片方だけつき、ゆっくりと階段を降りると姉と涼雅と祐樹が玄関にいた。

「あ、久しぶりだな湊。それと退院おめでとう」

「おめでとう」

「ああ……」

「ミナ……」

 水道に着くと蛇口をひねり、水を出す。

一口目は口の中がネバネバしていたのでうがいに使う。

二口目に一気にたくさん飲む。

少し気分がマシになったのでサンドイッチを一枚食べた。

もう歯磨きもだるいので、寝る前だけでいいやと思い、階段を上がろうとする。

途端、祐樹が声をかけてくる。

「みな、卒業式くらい一緒に行こうぜ」

「……だるい」

と、一言だけ言い残し、階段を上がろうとする。と、やっぱり止められる。

「ミナ……中学の卒業式は人生に一回だけだよ?行くだけ行きなよ」

「嫌」

「ダメ、姉として絶対に行かす。さぁ脱いでぇ」

「ああー!はいはい分かったから脱がそうしないでくれ」

とゆう訳で学校に行かされた。



登校中に二人が話しかけてくる。が、人と話す気力すら無い。

 とゆうか今日は卒業式なのでかばんはいらないのだが、急いでいたので持ってきてしまった。

 重い……

五分ほど歩いたところであの交差点にさしかかった。

 今すぐにでも帰りたかったが、今帰ったら姉がうるさいし、学校のほうがここから近いので、まだましに思えた。

 



 学校に着いた。

 靴箱で靴を履き替え教室へ向かう。

 教室に入るとまず、奥の窓際の心愛の席を見てしまう。

 いないのは分かってるんだが……

 俺は一ヶ月でなまった身体をあずけるようにして椅子に座る。

 疲れた。

 卒業式が始まるまで寝よう。

 そう思い寝ようとすると、『そろそろ並べ』と先生に言われしぶしぶ並んだ。



 何事もなく卒業式が終わる。

 ちなみに心愛の名前も呼ばれた。

 

 教室に帰り、集合写真が撮られる。

 涼雅と祐樹は、いつも隣にいてくれた。

 写真を撮るときも。

 でも、俺は、笑顔はできなかった。



 二人は『先に外で待ってる』と言い残し、教室を出ていく。

 教室には誰もいなくなった。

 ふと、心愛の席の前に行ってみる。

 心愛の椅子に座ってみた。

 後ろの端なだけあって、教室を見渡せる。

 俺は、何となくかばんを開けた。

 すると、教科書の上に一ヶ月も前に貰ったチョコがあった。

 心愛がくれた最後のプレゼント。

 綺麗に包装されていたこの箱を、丁寧に開ける。

 中には少し大きめのハート形のチョコが入っていた。

 以外にも、変なにおいはしない。ほんのりチョコの香りだ。

 そのチョコを手に取ってみると、下に手紙が入っていた。



 『チョコの上に書きたかったけど、できなかったのでここに書きます。

  いつもありがとう。

  そしてこれからもよろしくぅ!!


                                     心愛   』

 鼻の奥が熱くなる。

 手紙に雫が落ちる。

 涙が止まらない。

「なんだよ……もう、会えねぇじゃねぇか……最後に残した文がこれかよ……短すぎんだよっ…」

 気が付けばチョコにかぶりついていた。

 ……くっそまずい。

 元からあいつ、料理下手だったな。それとも腐ってんのかな。

 たまに作りすぎたとか言っておすそ分けしにきてたっけ、その時はいつも、ねーちゃんとジャンケンしてどっちが食べるか決めてたっけ。

「でも、もう……そんなことする日は…ないのかぁ」

 いつの間にか手元にあったチョコは、無くなっていた。

 後味が悪い。

 気分も悪くなってきた。

 でも、涙は止まることを知らない。

 俺はしばらく泣きつずけた。

 外で待っていた二人が迎えにきたのは、十分程経ったあとだった。




第四章 いよいよここからがこの小説のメインです!



四月七日。

心愛が助けてくれたこの命、死ぬまで一生大事にして生きようと決め、だいぶ元気になった。

遂に来た。高校の入学式!

中学卒業の後、あの二人と撮った写真を眺める。

その横にある心愛の写真にも話しかける。

もう、松葉杖もついてない!

「じゃあ、心愛……行ってくるね」

そう言って俺は、希望と期待と不安を胸に、勢いよく玄関のドアを開けた。



オタク友達が出来ることを願って!



○○高校体育館

入学式が始まる。

知らない顔が大半だ。

この学校の校長が、ステージに上がる。

―――その時だった―――

―――ドンッ!!

俺の近くのドアが勢いよく開く。

全員がそっちを振り返る。

そこには、女性とは言い難い女神様がいた。

服装は白のネグリジェで…………

あれ……?

なんかこれ、どっかで見たことあるぞ?

俺が熟考する中、その女神様は歩き出す。

 頭の中をフル回転させ、記憶をたどる。

―――あ、

思い出した。

夢で見た光景と同じだ。

そんなことを考えている間にもその恐怖の人物は近ずいてくる。

マズいマズいマズい!

全員が見とれている!

俺は椅子から立とうとする……

だが、異常に身体が重たい。

俺は、椅子の前に仰向けで、倒れた。

瞬間、誰かの影が現れる。

見上げる俺。

「やっぱり重力魔法をかけておいて良かったわ」

 え、今なんて、

「き~み、暴れられたら困るじゃない」

 なんだよその笑顔……

 不気味すぎて顔がくしゃくしゃじゃねぇか。

身体重すぎ、ピクリとも動かねぇ。

とゆうかこいつ、この世界の人間じゃねぇな。

「悪いけど君は、この世界にいちゃいけないんだ」

マジか……

この前命を助けてもらったのに……

心愛の代わりに……いや、ために一生この命、大事にするって誓った。

そうだ、心愛の気持ちを無駄にしたら天国で合わせる顔がねぇ。

「ダメ……だ、まだ死ねない……」

口を開けるのもきつい。

それでも俺は、その重力に必死で抵抗する。

「ギギギ……ぐああああ!」

少し身体が浮いた。

よし!このままいけば…

「凄いね君は、幼馴染との関係ってこんなにも凄いものだったんだね。尊敬するよ」

相手の顔が強張る。

「でも…………ごめんね、君は、一旦死んでもらわないと……」

瞬間、俺は腹から真っ二つになった。



***



知らない床。知らない場所。

目が覚めると、見たことの無い場所立っていた。結構暗い。

周りを見渡していると後ろから足音が聞こえてくる。

「弦巻湊さん……」

透き通った声。俺の知ってる声優さん並に凄い綺麗な声。

「あなたの願いを叶えに来ました」

願い?

なんの?

「失礼ですが、あなたはいったい何者ですか?」

 ―――言いながら俺の横を通る。

 ……え、

「え?私ですか?……えぇーと……私は…………」

頬に片手を置いて、悩んだ顔をする。

 ちょっと待ってくれ、

 やばい。

 可愛すぎる……

 清楚な服に身を包んだ彼女は、俺の心を鷲掴みにした。

「しいて言うなら……女神的な存在ですかね?」

 まさにその言葉が正しいといえるだろう。

 じぃーーーーーーーーー

「あ、あのぉ、本題に入りますよ?」

「お構いなく」

「見つめられるとやりにくいんですが……」

「あなたとなら一生くらしていけそうでs

「嫌です」

 俺の生れてはじめての告白を断られた。

「コホン…では湊さん。あなたが願ったことは覚えていますか?」

「いいえ。」

「そうですか…あなた、心愛さんに向かって言ったでしょ?異世界転生したいって」

「え…………あ、ああ!!言いました!」

「思い出してくれましたか」

「はい」

「色々省略しますね。誰かさんの質問に答えたり私のことをじろじろ見つめていた人がいたので時間がなくなってしまいました。本当に迷惑な人ですねぇ。私、結構忙しいんですよ?」

「す、すみません……」

 怒った顔も可愛い。

「分かったなら以後しないこと。いいですね?」

「……はい」

「よろしい」

 ニコッと微笑む。クッソ可愛い。

「では、今からあなたを異世界に転送します。心配しなくても大丈夫です。言語も文字も、たいていのことは出来ます。」

「まじですか」

「はい。……それと、あなたはバトルクエストがあるところがいいと言ったので努力はしました。気に入らなくても文句は言わないでください。他には………あ!ステータスの割り振りと、あと……あなたの奥底に秘めている力を一つだけ、引き出します。両方ともランダムです。」

「はい」

 俺の潜在能力はどんなやばいのがでてくるのかなぁ……うへへ

「この服は私からのプレゼントです。」

 RPGによくある初期装備的なものが手元に現れる。

「あと、これで最後です。この願いを叶えられたのはあなたの大好きな心愛さんのおかげですよ。」

「いいい、いやだいすきなんかじゃないし!……え?心愛?」

「はい。あなたの願いを叶えたいという気持ちが私たちに届きました。少し手荒でしたが、無事、ここまでこれました。」

 今なんて、

「無事……だと」

「はい」

「どこがだよ」

「?」

「心愛、死んだじゃねぇか!!」

「おおお落ち着いてください!!生きてますから!!今からあなたが行く世界で生きてますから!!!」

「え、まじで??」

「まじです。ただし、代価として、彼女にとって大事なものが一つだけ失っていますが、そんな彼女を見つけ出し、一緒のパーティーに入れるのがあなたの目標となるでしょう。」

「大事なものって??」

「そこは私も知らされていません。今年の元旦で、上の者が彼女にはお伝えしました。そこから彼女の態度が変わっていたのなら結構大きいものだったのかもしれません。……あ、もうそろそろ時間です。」

 態度か…

「そうですか……わかりました。では。転生お願いします。」

 結構変わってたな、急にデートに誘ってきたりで。

「では、弦巻湊さん。陰ながらあなたに災いが無いように願っています。」

「はい………あ、そうだ、また、あなたには会えますか?」

 俺の質問に彼女は……いや、女神様はやさしく微笑んだ

「はい、またいつの日か。時間ができればそっちに行ってみますね」

 その言葉一つで俺は頑張れる気がする。俺、ちょろいな。

 徐々に床が透けてくる。

 あ、

「女神様!!名前!!名前聞いてなあああああああぁぁぁ

 いつの間にか床が完全に透けて……消えていた。

「うわああああああああぁぁぁぁ!!!!」

 俺、ただいま落下中。

 名前、聞けなかった。

 ―――ドサッ

「芝生?」

 ガヤガヤ―――

 落ちたとこ(転生先)は、町の中だった。

 人間がたくさんいる。川がある。家がある。戦闘服みたいなのをまとった人もいる。

 正直、女神様の名前が聞けなかったのは結構ショックだ。

 でも、それをかき消すかのようにわくわくが止まらない。

 ついに始まるんだ。

 俺の人生の新たなページが開かれるんだ。

 心臓の音がうるさいぜ。

待ってろよ異世界ライフ!

 待ってろよ心愛!

「絶対に見つけ出すからな!!!」



 ***



 私は穴の開いた床を見ながらつぶやいた。

「ふふ、あの方は何か面白いことをしてくれそうですね」

 私は、見えない彼に向ってってほほ笑んだ。

初めまして澤村涼夏です。

最近学校に行くのがしんどいですけど、楽しい友達に会うと元気が出てきます。

僕はこの小説を書くに当たって、構想は練っているものの文字に起こすと変になってしまうんです。国語、勉強してきます。

そんなわけで、末永くよろしくお願いします。

さぁ!今年から受験生だぜ!いや〜

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