勇者が村にやってきた時に、次のボスの弱点を教える村人です
この村は、大体魔王の城と国王の城から丁度間くらいの位置にある。
適当な武器があれば、ゴリ押しで到達出来るが、そろそろ周辺のモンスターも手強くなり一筋縄ではいかないレベルの場所だ。
なので、勇者が訪れた時に無事に次の村に進めるよう色々なヒントを与える。
「ボスの弱点は水属性の魔法です、状態異常攻撃もしかけてきますので仲間全員にそれぞれ薬草を持たせて対策して下さい」
こう言うつもりだ。
正直ヒントというより答えなのだが、ここまでしないと勇者は儚く死んでしまうので仕方がない。
武器屋に、それとなくここのボスに有効な掘り出し物の装備を置かせておいたのも私だ。
この先ダンジョンの宝箱やモンスターが落とさないのでコレクションアイテムとしてもオススメだと言えば勇者は絶対に買うと店主にも伝えておいた。
万が一私に話しかけずに進んでしまってもいいように、村の出口で噂話が好きな村人が話しかけなくても勇者に届く声で「月の出ている夜にしかここのボスは姿を見せないそうだ」「逃げた二人組のうち川に落ちたやつだけが助かったそうだ」と同じ話を繰り返すように仕向けた。
総合してなんとなく、水に弱いんだと気がつくはずだ。
ダンジョンの最初の宝箱には、そこのダンジョンの罠の位置と宝箱の効率的な取得ルートを書き込んだマップを置いてきた。
途中で薬草がきれても大丈夫なように、中間地点に回復の泉とそこに水耕栽培で薬草がいくらでも取得出来るようにしておいた。
低レベルで来てしまってもいいように、出現するモンスターも、なるべく経験値の高いやつだけを残して、倒してもあまり勇者の徳にならないような雑魚は私が先に倒しておいた。
万全だ、これでいつでも勇者が来てもいい。
「勇者さま御一行がこられたぞー!!」
門番が大声で村人に勇者がやって来たと叫んだ。
私も緊張して持ち場についた。
やがて勇者が私に話しかけた。
「すいません、この先のボスに詳しいみたいでお話を聞きに来ました」
「待っていましたよ、勇者さま。このダンジョンのボスの弱点は水属性の魔法です、睡眠などの状態異常攻撃もしかけてきますので仲間全員にそれぞれ薬草を持たせて対策して下さい!」
やった、勇者に無事にボスの弱点を言えたぞ、これでこの勇者さまは次に進めるだろう。
「おおー、詳しいですね!」
「はい、ここまで調べるのに40人死にました」
私は、勇者が村にやってきた時に、次のボスの弱点を教える村人。
今日も新しい弱点を調べては勇者に伝える。