2・ころころ
2話です。イチが、ピンチになります!
「わあああぁぁぁぁぁぁあああーーー~~~~っっっっっっ!!」
転がるボクは、叫ぶ。
地面に落ちた衝撃に続き、休む間もなくボクは超高速で坂道を転がって行く。スピードは、落ちるどころか、どんどん速まっていく。
「あああぁぁぁああああああ~-~-~-~-~-~-~-!!」
目の前に石が迫ってくる!
やばいっ。
逃げなきゃっ。
「あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁっ~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
ゴツンッ
あわわわ#”$%&’!♪♤@*x・・・・・・・。
頭がグラグラするぅ。
うえっ。
世界は、マワッテルぅ~・・・。
恐ろしい吐き気と、痛みに襲われ見えなかった世界は、徐々に色を取り戻し、姿を現す。
「・・・・・・ここは?」
辺りに広がる、緑。ところどころが紅や黄に染まっていて、鮮やかなまだらになっている。
しかし、ボクの周りだけ、透明に透き通った液体が広がっている。
時折り、木の葉が落ち、きれいな波紋が出来る。
そう、ここは―――――――池。
ボクは池に浮いている。
ボクは池にはまってしまった!!
これじゃあ、某童謡のまんまじゃないかぁっ。
いいの?これで。
ボクって、なんて不運なんだっ!
某童謡なら、ここで、救世主(勇者)が現れるはず。
おーいっ。誰か助けに来て!
さみしいじゃん。
おーい、救世主ぅ~・・・。
・・・終わったな、コレ。
どじょうや、早く!
下をのぞいた。
ボクは、池の底を、のぞいた。
「ひぃっ」
怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖いって、コレ!
これじゃ、木の上とほぼ同じじゃん!?浮いているっ、ボク、浮いているよっ。
いや、浮いてるのは、当たり前なんだけど。
なんせ、池の水は、透き通って底が見えるほど。
なのに、底が見えないっ!矛盾が起きているぅっ。
この池、むちゃくちゃ深い!
底がぁっ、暗い、見えない。まさに、底無し池だ!!
「Help meィ~~~~っ!!!!!!」
大事なので、何度も言おう。
ボクは、極度の高所恐怖症なんだ!
例え、火の中、水の中。
「助けてぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!」
静かな森に、ボクの悲鳴がこだました。
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ころころころ・・・と 転がって
ついた先は
深くて 暗い 池でした
たった一つの どんぐりは
助けてくれと さけぶのに
小さな 小さな どんぐりの
声は 誰にも 届きません
やがて そのどんぐりは
あきらめて
静かになって いきました。