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ドングリの世界で  作者: 梨野夏
2/13

1・どんぐり

 3作目!前作の『クモの世界で』に続き、ドングリver.です。

 ころころころ・・・



 ボクは(ころ)がっている



 ころころころ・・・



 ボクは、坂道(さかみち)



 ころころころ・・・



 重力(じゅうりょく)()をまかせて



 ころころころ・・・



 からだのところどころが(いた)いけど



 ころころころ・・・



 ころころころ・・・



 一粒(ひとつぶ)のドングリは目指(めざ)



 ころころと(ころ)がって



 いつか



 (あたら)しい世界(せかい)出会(であ)うため



 ひたすら地面(じめん)



 (ころ)がってゆく




==========================




 「オレ達は、いくぜ!」

「おう!」


 そういって、ボクの仲間達(なかまたち)は、旅立っていった。


「ワタシも!」

「ねぇ、行こう!イチもさぁ」


 みんなが、行ってしまう。


「・・・いいよ。ボクは」


 いかないで、なんて、言えない。


「ホントにいいのか?じゃあ、オレは行くぜ」

「あぁ。行ってらっしゃい」


 そして、(のこ)ったのは、ボクだけ。

 幼馴染(おさななじみ)のココも行ってしまい。

 兄のハジメも、親友のカズも。


 ボクも、そろそろ、行こうかな。

 ボクも旅立(たびだ)たなければならない。


 みんなの()つ、(そと)世界(せかい)へ。


 (あたら)しい世界(せかい)へ。






 ・・・でも。







 「・・・やっぱ、無理(むり)っ!!」


 全身鳥肌(ぜんしんとりはだ)。ガチガチだ。



 「・・・(こわ)いよ、こんな(たか)いとこから()ちるとか!」


 ここは、コナラの木。よりにもよって、その頂上(てっぺん)。ボクは運悪(うんわる)く、ここに()まれてしまった。

 木の一番上。だから、ボクの名前は『イチ』。


 「なんか、さっき、かっこいいこと言って、文字数(もじすう)かせいだけど、やっぱムリ~~~っ!!!!」


 全身真(ぜんしんま)(さお)。こげ茶色(ちゃいろ)(はだ)一気(いっき)青緑(あおみどり)に、へんしーん。


 「ここから()()りるとか、気がくるってんじゃねっ!?クレイジーだよ!」


 そう。


 「無理(むり)、ムリ、むりぃぃぃ~~~!!」


 「・・・だって、(こわ)いもん!!」


 そう。ボクは、極度(きょくど)高所恐怖(こうしょきょうふ)(しょう)なんだ!


 「こんなとこから()ちたら()ぬよ!?間違(まちが)いなく!」


 みんな()ってしまったのに。


 ボクだけが、()けない。


 (ふか)い意味はない。

 ぼくは、ただ、ここから飛び降りるなんて自殺行為(じさつこうい)、したくないだけなんだ!


 このままでは、何も(すす)まない。



 なら、いっそのこと――――――



 「死んでやるぅ!」


 ボクは、()()りた。

 木の(えだ)から()()りた。




 (した)


 (した)へと。

 ()ちて()く。

 あぁ、お花畑が・・・目の前に・・・。




 そして、



 ゴツンッ!



 地面(じめん)にぶつかる。


 からの、



 ころころころ・・・



 (ころ)がっていく。ドングリのイチは、(ころ)がって()く。



 ころころころ・・・・・・と。

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