決着のとき
周りの建物には
隠れながらも
戦いの一部始終を傍観する街人たちがいた。
「ごめんくださーい。
誰か居ませんかー?
コーラとポップコーンありませんかー?」
ムラエモンに余裕がありそうな様を見たカネ坊は、
映画を観賞するかのような気持ちで
つまみを探していた。
「ツヌグイ?見せてやる?
へ〜、
相当な自信だな。
来いよ、ぶっ飛ばしてやるから。」
確かにまともに喰らった。
自分の拳1つで
世界を渡り歩いて来たバビロン。
まともに喰らって立ち上がるムラエモンに、
今まで感じたことのない、
高揚感、危機感、
いろんなものを感じる。
しかし、
格闘家として
世界に名を知らしめてきたバビロン。
他の格闘家とは
経験も力量も段違い。
世界一の剣士と言われるムラエモンを前に、
全く動揺しない。
真っ向迎え撃つ体勢!
「……………。」
「で?
どんな技だツヌグイ?
もったいぶってないで
さっさと見せてみろよ?」
煽るバビロン。
カネ坊も、他のバビロン一味も、
感動的なドラマの最終回を見るような気持ちで
目をバッキバキにしながら
戦いを傍観していた。
「……………。」
「は?
だんまりが好きな奴だな。
かかってこいよ?」
「………………。」
技を出すと言ったにもかかわらず
全く動こうとしないムラエモン。
「ははははは!
ウケるわムラエモン!!
分かりやすすぎだよ?
こっちが仕掛ける、そのタイミングを計ってんだろ?
でも、残念だったね?」
「…………!」
「仕掛けた技を切り返す技ね。
そのだんまりが不自然すぎるよ?
確かに、
お前がさっき言った
攻撃を切り返す方が得意だけど、
こっちからでもいける
必殺技もあるんだよ?」
拳を構え、
何やら念を唱え始めたバビロン。
「え?え?え?
バビロンちゃん何してんの」
もちろん
バビロンに聞こえないような小さな声での一人言。
次、生意気な事言ったら
首折られちゃう宣言されていたカネ坊の、
ちょっと冒険してみた呟き。
「……………。」
バビロンの拳が唸る!凄まじい気迫!
「仕掛けてこないんだったら、
丁度いい!!」
錯覚か?
バビロンの拳が
肥大していくように見える!
そして七色に光り出したようにも見える!
「ちょっ!
ムラっち!?
なんかしないと絶対やばいよ!!
素人目から見ても
あれ絶対やばいって!」
「溜めに集中しないといけない、
戦闘には若干不向きな技だから、
俺も久しぶりだ
この奥義が出せるなんて。」
滴る汗とその蒸気が、拳を虹色に覆う。
溜めを解放したバビロン!
その拳は、象の脚くらいの大きさまで肥大していた。
「虹色えれふぁんと〜隕石!!」
バビロンの奥の手!最強の技!
ムラエモンに振りかぶる巨大な拳!
剣を拳に合わせるムラエモンだが、
「防御は不可能!
完璧に捉えた!!」
虹色エレファント隕石が
ムラエモンの剣に直撃した!
「!!!!?!?!?」
時が止まる
「七天神流 、 角喰」
バビロンは確かにその目で確認した
ムラエモンの剣に拳が当たった瞬間、
しなる竹のように、
グニャニャニャニャーンと
剣が曲がったのを。
しなる剣が元に戻り
時が動き出す。
その剣で
バビロンに一太刀浴びせると、
まるで隕石でも激突したかのような
衝撃と轟音をたて、
身を焦がしながら、
あらゆる骨をバキバキに砕かれながら、
バビロンは街の遥か数百㍍先まで
ぶっ飛んでいった!!
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
やっば!!」
バビロン一味「だ、団長〜〜〜〜!!」
ぶっ飛ばされた団長を追っかけていく
バビロン一味。
「…………ふう
まともに喰らってたら、
こっちがやられてた」
テテレテーン ムラエモンはバビロンをやっつけた!
決着のとき!