ナリキン王国の決意!!
血筋の良い、強くカッコイイサラブレッド勇者の戦いなんか、この物語には無い。
お金!お金!お金!
お金があれば何でもできる!
魔王を倒すことだって!
そんな夢と希望を、
財力に託す!
ひがむ人がいっぱい出そうな
金持ちボンボン勇者の
サクセスストーリー!
魔王ゴクアークが世界に君臨して3年。
空は焼け、
海は枯れ果て、
鳥たちは唄うことをやめ、
人々は生きる希望を失っていた。
「それじゃダメでしょ。
そろそろ魔王倒さないと、ホントにヤバいんじゃないの」
「その通りです王子!
このままでは世界は魔王ゴクアークの思うがままに!」
「う~む♪」
マジメなのかふざけてんのか分からないような、
絵に描いたようなヒョロヒョロっとした顔立ち、
テッカテカの黒髪七三分けにキャシャな体の、
主人公こと王子。
世界は大きく分けて5つの大陸で成り立っている。
その大陸の1つ、
ヘーボン大陸最大の王国、
ナリキン王国で
今、軍事会議が行われていた。
ナリキン王。
そして主人公こと王子カネナラール、
民衆にはカネ坊として慕われているナリキン王国の2世だ。
そして指揮官、
参謀、
一般兵たちが会議に参加していた。
指揮官「えぇーい!者ども!
いかに早くこの世界を平和に導くために!
我らが!
我らナリキン王国がするべき事は何なのだ!!」
一般兵「しかし、我が国ナリキン王国は、、、
他国に見劣りする軍事力。
とても魔王に太刀打ちできるとは思えません、、、。」
会議の行われている多目的ルーム。
絵画に骨董品
豪華なシャンデリア
会議に必要ない高級シャンパンのタワー
金箔でできた会議資料。
王「ならば。
我が国にあるのは何だ?
答えてみよ。」
指揮官「は、はい。
失礼ながら、
力はなくとも財力は世界一。
あるのはお金。」
王「はっはっは。そうだろ?
私が若い頃堀当てた、
石油に温泉、
新たに発掘したダイヤモンドの鉱山。
それらの全てがこの国を造り上げた。
お金なら、
申し訳ないけど腐るほどある!
指揮官!
ここで1つ問おう。
愛はお金で買えると思うか?」
指揮官「愛、、、ですか?
愛は特別な感情ゆえ、買うことはできないかと、、、」
王「できる!!!!」
「!!!?」
「月50万稼ぐ商人より、
一晩のデートに1億使う私、
どちらが女の子にモテると思うか?!
目の前で突如、
病で倒れた人を、
病院まで送り届ける優しい青年より、
入院の費用、
治療にその後の介護と生活支援、
ありとあらゆる金銭面での補助をする私、
どちらが感謝をうけるか?!」
「、、、、、、。」
王「愛改め、
人の心までもを、
私はお金で買えることを悟った。
話が脱線したようだ。
本題に入ろう。
キミ!入りたまえ!」
王室の奥から、
ミイラの包帯みたいに布切れを体に纏った、
風変わりな格好をした、
二本の長刀を腰にぶらさげた男が歩いてきた。
「…………」
「!?、、、この男、
どこかで見たことあるような、、、」
「二刀流、、、まさか??」
王「紹介しよう。
みんな、名前くらい聞いたことがあるだろう。
ダイヤモンドをも斬ると言われれる腕と、
それに見あった最高峰の名刀を持つ、
世界一の剣士と名高い
ムラエモンだ!」
「やっぱり!!」
「……………」
王「6兆の大金で彼と2つの契約を交わした。」
一同騒然!!
「ろ、ろ、ろ、6兆?!」
王「契約内容は2つ。
1つは魔王討伐に力を貸すこと。
そしてもう1つは、
共に旅をする王子カネナラールの護衛をすること。」
カネ坊「んあ!?!?」
王「契約は半年更新、
半年毎に1兆のお金を彼の口座に振り込む。
満期は3年。
3年以内に必ず!!
魔王を倒してもらう。
成功報酬は別途、
破格の金銀財宝を用意することになっている。
明朝、
カネナラールとムラエモンに、
魔王ゴクアーク討伐の旅に出発してもらう。」
荒れる軍事会議!
久々に荒れたわけではない。
これはナリキン王国第一回軍事会議!
カネ坊「ちょちょちょ!!
ちょっと何それ聞いてないよfarther!!
なんで僕がそんな危険な旅に!
なんでこんな、
無愛想で!
ミイラみたいな変な格好の!
いかがわしいオッサンと!!
旅に出ないといけないの!!!?」
「…………」
王「コラ息子よ。
口が悪いぞ。
何もふたりで魔王を倒して来いとは言ってない。
カネナラール。
お前には、行く先々で出会う、
名だたる戦士と契約を交わし、
最強の魔王討伐チームを作ってもらう!」
カネ坊「だ、だったら!ふぁあざぁあ!
いや、fartherが行けばいーじゃん!?
それか軍の指揮官のオッサンとかさ!?」
王「私はこの王国を統率する義務がある。
この国を離れることはできない。
しかし、莫大なお金で契約を交わすには、
このナリキン王国の王族であることの証を持った私と、
妻であるセレブリティ王妃、
そして王子であるお前にしかできないだろう。
口先だけの約束では信用されないからな。
話は以上だ!」
「そんな、、、」
会議は終わった。
眠れぬ夜は君のせい、
いや、眠れぬ夜はムラエモンのせいにして、
カネナラールは寝室でずっといじけていた。
早くも旅立ちの朝はやってきた。
城の入口にて二人の門出を見守る王国の人々。
王「息子よ。
これは契約にあたり、前金で支払う分の複数の小切手だ。
総額1兆ある!
大事に使え。
ムラエモン。
息子を頼んだぞ。そして魔王を倒して来て欲しい!!」
「……………」
カネ坊「はぁ、、、。行ってきます。」
「王子ー!!頑張ってくださいー!!」
「カネ坊!!ファイト~!!」
「ムラエモンさんも頑張ってくださいー!!」
ナリキン王国を後にする、
魔王討伐の旅に出たカネナラールとムラエモン!
お金に物を言わす、
壮大な物語が今、始まった。