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日常

朝になれば起きなければならないのが高校生だとすれば、工業高校生は何をすべきだろう。

そんなの決まっている。


寝る、ほかに何があるんだろう?高校生はなにか?特殊生物でなければならないのか?そんなことはない。ただ寝て過ごし朝起きれないまま先生に言い訳をすればいいんだと思う。だがそうもいかない、なぜなら先ほどから部屋のドアがたたき壊れそうになっている。それは古来人類が繰り広げ。おそらく思春期を抱えた子がいる家庭はたいていやるであろう「ノック」だ。


「ユウジー!いい加減起きろゴラー!オメー今日登校すれば皆勤賞だろうが!いつも起こされるんじゃなくてたまにゃぁー自分で起きろ!」


母にせかせか言われわかったとだけ言う。すると体とは不思議なもので簡単に起きて覚醒するのだ。覚醒したからだはまず衣服を着替え教科書をバックに入れそして「作業着」を腕にかける。母にどなられ催促しにしたがうように階段を降り、食卓に行く。それはいつもと変わらない日常風景、いつもと変わらないごはんと味噌汁の味、何一つ変わらない。


「弁当は?今日いるのいらないの?」


「いらない、半日で帰るよかぁさん」


「なら昼は弁当食べな、私もうパート行くから」


母は俺にそういうと玄関から出ていった。父は俺が起きるまえには出勤してるし兄弟はいない。つまり俺が鍵を閉めて家を空けると誰もいなくなり帰ってもまた誰もいない。小さい頃は嫌だったけど、いまでは練れてしまった光景だ。まぁそんなことより自分も学校に行かなければ。


教室を前にききたいことがある。

工業高校といえばどんな想像をするだろうか。ヤンキー?根暗?落ちぶれ?底辺?どれも半分正しく半分

間違っている。ヤンキーは田舎に行くほどやばい奴は退学してるし、根暗はある程度いじめられるとサイコパス顔負けの騒動を起こす。落ちこぼれは後がないと自覚して一生懸命授業をこなし。底辺は企業採用

の温床になる。そして何もしないと留年になる。

それが工業高校、はずれもなくばあたりもない、なぁなぁで入れば後悔するかとそうでもない。そういう


「教室の前で立ちふさがんな、迷惑だ」


妄想をやめ振り返る


「ああ、悪いすぐはいるわ」


「そうしてくれ、HRが始まっちまう」

そういうとクラスメイトは入っていく。別不断髪を染めているわけでもなく、変な服装でもない工業高校

には必ずあると断言できる機械科。そして三学期最後の日、これからは三年生に


「いやだからどけよ」




終業式が終わり実習に使う「工場」の整備を始める。うちの高校は工場と呼ばれる自習棟があり、そこには機械が散乱している、そこは油がそこらで溜まり、熱く、寒く、埃っぽい作業服なしではいられないところになっている。その埃と油を掃除し、新学期に備える、機械はみな古臭く、実際古い。都会のほうなら最新式のものがあるかもしれんがこんな田舎では


「おいそこ、しっかり磨け旋盤〈せんばん〉は埃が付きやすいからな」


先生に言われ我に返り一心に磨く


「ちゃんと整備しないと機械は動かんぞ」


「わかってますってせんせ・・・」


老人といえようこの先生は我らが機械化の先生だ。それ以外に特徴を上げようものならはげかかっているれだけだ。


「わかったら口でなく手を動かせ」


そういうとほかの生徒によばれ行ってしまった。なんだか学校は印象が薄く、機械は臭く、友人は3人、金属と機械の知識は増えたが他は何もかも薄く感じた。これが高校生活なのだろうか、なんだか意識が混濁する。持っているスポンジが妙にとげとげしく草のようだ。そして背中から太陽の暑ささえ感じる。ああ、なんだか熱い、さっきまでストーブがなくてはいきていけなかったのに作業着の上を脱いでしまった。そして立ち上がる。その時錯覚かと思った。どうも俺が見えているのは工場ではなく草原だった。これは妄想か?いつものお得意の妄想だというのか?工業病はここまで分野が広いのか?

いや違う。明らかに先ほどから匂いがとても透明感あふれる感触がある。


ガラガラと崩れる音がする、それは心境的表現ではなく現実だ。


「うわ!っくそ!落ちやがった・・・・・おい!」


「はい」

条件反射で答え声のするほうを向く

「誰だよあんた」

思わず言ってしまった。何やら馬車から降り、丸太を確認しようとしている「おっさん」がいた。

白髪が混じった黒髪にあごひげ、そして古臭いズボンとシャツ。そうまるでイギリスの産業革命のときの服装にとてもよく似ている。


「そりゃこっちのセリフだ坊主、木材の運搬中に急にあらわれやがって」


何やら半分あきれたような顔でこちらをうかがうおっさんは手に何か持っていた。


「おっさんなに銃なんて持ってんの?」


何とも古臭いマスケット?いや火縄かも?


「ん?ここらは〈お前さんみたいな馬泥棒〉が出るからな、護身用だよ」


「ん?ちょっと何言ってるかわからない」


「ん?命乞いにしては斬新だな」


そして現在に至る。

何を言っているかわからないと思うが俺にもわからん。急にトリップしたのかもわからん。否トリップしたのだろう。


「異世界」というやつに


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