突撃! 勇者の面接試験!~ミーシャ編~
「またまたこんにちは! しがない一般人こと平和 穣治がお送りいたします『突撃! 勇者の面接試験!』今回のゲストは『詠唱の舞姫』と名高いミーシャちゃんです! ひゅーひゅー」
「みなさん、こんにちは。ミーシャ・エレスペルです。何だか照れますね……」
「それは意外だな。ミーシャは色々な魔法に優れているから、沢山インタビューされたりしないの?」
「やだなぁ、ジョージさん。知らない人に近寄られたら即座に魔法をお見舞いするに決まってるじゃないですか」
「お淑やかな見た目を裏切る好戦的な性格! そんななんちゃって穏やかちゃんのミーシャへ質問です。得意なことはなんですか?」
「えっと……、やっぱり呪文ですかね」
「あ、前々から思っていたんだけど、魔法と呪文の違いって何?」
「……は?」
「すっごい顔してるよミーシャ!? そんなにガッカリする質問だった!?」
「ち、違うんです! 初歩的だなぁって思っただけで! よくこんなことも知らずに今まで生きてこれたなぁとか微塵も思っていません!」
「無邪気にそして冷徹に切り裂く言葉のナイフ! ミーシャ、君はきっと言葉だけで相手を倒すことができるよ……」
「あ、あのですね。魔法というのは精霊から力を借りて起こせる現象の総称のことで、その中で形のないものを媒体として起こす魔法のことを呪文魔法と呼ぶんですよ」
「へぇ、じゃあ魔法の方が定義が広いんだね」
「はい。魔法は他にも祭器や呪具などを媒体として行う儀式魔法や、自分の体を代償に力を得る禁断魔法がありますけど、魔法のほとんどは呪文魔法です。その呪文魔法の中でも言葉や文字を媒介とするものを詠唱と言うんですね」
「そっかぁ。じゃあズィータの言霊は詠唱に入るのかな?」
「いえ、言霊はそもそも精霊から力を借りて行っていないので、正式には魔法の定義に入りません。あれは血の成せる太古の業なんですよ。他にも精霊の力を借りない例として、万物から魔力を抽出して利用する練金というのがあります」
「勉強になるなぁ。それとして、何だか魔法の話をしているミーシャは輝いているね」
「そ、そうですか?」
「うん。勇者の面接試験というより小説の設定紹介になってたもん」
「はっ! そうですね! すみません。次の質問行きましょう!」
「はい、では質問二。苦手なものはありますか?」
「やっぱり虫ですね……。どうしても見ただけで頭が白くなっちゃって」
「あぁ、よく厨房で悲鳴あげては店を燃やしているからね……」
「本当にすいません! でも、あれって一匹見たらあと三十匹はいると言うじゃないですか」
「そうだね。繁殖力凄いからね」
「そんな悪魔の巣窟消えて然るべきだと思うんです」
「おおっとここでブラック発言! 控えよう!? 目が据わってる! 次! 次の質問行くね!?」
「そうですね……」
「好きなタイプはなんですか? うわぁ、青春だなぁ。いいね、なんか」
「ジョージさん、そんな枯れ果てた発言しないでください……」
「甘酸っぱいじゃない。僕が若い頃はひたすら夢を追いかけていたから、こういう色めきたった話はなかったんだよね」
「そ、そういうのもいいと私は思いますけど……」
「本当? そう言ってもらえると嬉しいな。ところで、ミーシャはどういう人が好みなの?」
「私の好きな人は……その、案外近くにいてですね……」
「え、好きな人がいたんだ。初耳だな」
「というか、あの……その……」
「?」
「~~っ! 耐えられません! ライジングソウルフレア!」
「何故にっ!? うわっ熱っ! そして店がーっ!」
「すみません! すみません! 以上、『突撃! 勇者の面接試験!』ゲストは私、ミーシャでした!」