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捕捉

自分でも思ったんですけど短いです。主人公出てないし。すみません。

 夕日に染まる森の中を三つの人影が走る。一人は壮年(40~50歳)の男性、二人は年若い女性のものだ。

「御二方、お早く。ここは私が時間を稼ぎます。持って数分ですが・・・。その間にわずかでも遠くへ!!」

そう言うと壮年の男、アーバルト王国近衛隊長のイグレス・マーケサスが立ち止まると同時に二人の女性に背を向け剣を構える。

「馬鹿なことを言うな!お前の役目は我が身を守ること。お前は己が職務を放棄する気か!」

気の強そうな蒼眼を涙で滲ませ、美しい金髪を肩口までに切りそろえた少女が悲壮な面持ちで言う。

「・・・。イグレス様。」

金髪の少女に手を引かれていた長い銀髪を一本に結った、碧眼の女性も沈痛な面持ちのまま何も言うことが出来ない。

「アリアンナ様。今は議論している場合ではありません。リズベッド嬢。アリアンナ様を連れて早く逃げ・・!」

二人に逃げるように促そうとした近衛隊長の言葉は二本の矢によって妨げられた。

「イグレス!」

「アリア様!此方へ!」イグレスに駆け寄ろうとしたアリアを先刻とは逆にリズベッドが手を引く。

「だが、イグレスが!」

「追手が迫ってきています!ここで貴族派の手にアリア様が落ちればこれまで命をかけてくれた者達にどのような顔向けが出来ましょうか!今は逃げることだけをお考えください。」

 しかし、二人が走り行く先を妨げるように矢が地面に突き刺さり、二人は逃亡の終わりを悟った。

 後方から貴族派の兵が迫り、アリアは叫んだ。

「貴様ら、私をアーバルト王国第二王女アリアンナ・リスト・アーバルトと知っての狼藉か!王族へのこの仕打ち極刑ものだぞ。」

追いつめられて言うことではないと自覚しつつも、アリアは言わずにはおれなかった。

「その覚悟があるものは、来るがいい。私直々に刑を執行してやろう!!」

震える手で腰の鞘から剣を抜く。

「おお。流石は我が王国の最高の華。追いつめられ、むさくるしい兵達に囲まれても尚美しい・・・。結婚してください!!」

間の抜けた声で兵達の間から一人の長身の男が現れる。年齢は20歳前後。亜麻色の髪と碧眼を持ち、全身から小物臭を絶賛放っている二枚目半の青年。アーバルト王国ユースティア侯爵家長男テオハルト・イス・ユースティアが場違いなことにアリアに求婚した。

 ひと時場に白けた雰囲気が流れたが、

「ふざけるな、よくもそのようなふざけたことを・・・。恥を知れ!」

アリアが激昂し、場に緊張が戻る。

「まったく、しまらないなテオの旦那。ちょっと黙ってな。」

そこへ、もう一人馬に跨った男がテオハルトを押しのけて現れた。

その男は、歴戦の傭兵という言葉を体現したような鋭い覇気と眼光をもっている。彼こそが自分たちを追いつめた者のリーダーであるとアリアは悟った。



キャー、テオサマステキー

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