いつも婚約者にカゲで小言を言われる令嬢が謎の幼女に渡された魔道具で婚約者を転移させてみた話
「アグリーター、全く君は!恥ずかしかったぞ。招待した客の家名を間違えるなんて!」
「・・・・・・申訳ございません。ロメオ様」
今日は婚約者の家でパーティーだったわ。
百家以上来られたので私も混乱したわ。
いつも裏で文句を言われますの・・・
「全く、バルド家とバドル家を間違えるなんてあり得ない」
私は勉学とロメオ様の用事で毎日クタクタだわ・・・
そして、いつもお小言の佳境に入ると。
「何故、間違えた!」
と聞くの。
答えると。
「はい、毎日、ロメオ様のブルグ家の家政も手伝っておりますから・・・寝不足でつい・・・」
「はあ?言い訳をするな!」
と怒り出す。理不尽だわ。
そして、目を閉じて自慢話をする。
「僕だってね。その気になれば・・・」
今だ!
私は通りがかりの幼女からもらった魔道具のボタンを押す。
すると、転移をするわ・・・・
転移先は・・・・彼に相応しい場所だ。
☆☆☆ケーニッヒ侯爵家会議室
「その気になれば、僕は千家ぐらいの家名を覚えられるよ。百も覚られないなんて、全く、君はたるんでいるよ!メイド達にも手伝ってもらっただって、それくらい1人でやれ、ゴホン!」
「僕だったらこんなチャチなパーティー僕1人で回せるね!・・・えっ!」
ケーニッヒ侯爵夫人の前に現われたそうよ。
夫人はパーティーの名人だわ。それでも紋章官をいつもお側に置いているわ。千家も覚えられないわと公言している鷹揚な方だわ。
「あら、あなた、ケーニッヒ侯爵夫人のこのフランソワーズに・・・勝負を挑むつもりかしら?」
「えっ・・」
その時は、執事長を筆頭に執事たち。メイド長、上級メイドたち。総勢十名以上でパーティーの計画を練っていたそうよ。
「オ~ホホホホホホ、なら、貴方1人で回しなさい!」
「え、そ、そんな!」
・・・・・・・・・・・・・
このことが分かったのは一週間後やつれたロメオ様がフランソワーズ様に連れてこられたからだわ。
「オ~ホホホ、貴女も大変ね。ブルグ家のパーティー、貴女がやっていたのが分かりましたわ。中々若い感性があって素晴らしいわ。このポンコツをお返ししますわ。十家も覚えられないわ。お猿さんかしらね」
「はい・・・」
いらないとは言えなかったわ。
この転移魔道具は手の平に乗るぐらいの大きさで黒い四角い箱。押すなと言わんばかりに赤のボダンがついているわ・・
幼女からもらったものだわ。
ロメオ様に叱られて泣いているところを幼女に渡されたの。
パーティーの招待客のお子さんかしらね。
『お姉ちゃん。これあげるの~、三回だけ短距離転移できるの~』
『転移・・・実用化したのかしら・・・』
転移魔法、伝説の魔法だわ。現在は十メートルくらいしか出来ないと云われている。
まさか・・・
『嫌な奴を相応しい所に送るの~、強く念じるの~』
『はい・・・』
それから十日もしないでロメオ様はまた元気になった。
「おい、アグリッター、剣術の試合に行くぞ、先輩が出ているから応援だ。ランチボックス用意しろよな」
「はい・・・」
試合当日・・・試合会場で学園の殿方達が汗を流して頑張っておられたわ。
ロメオ様は・・・
「ロメオ、選考落ち残念だったな」
「はい、先輩・・・」
「婚約者殿も応援ありがとうな」
「はい・・・」
ロメオ様は剣術の成績は下から数えた方が早いらしい。
なのに、
他の方々を・・・冷笑に近い批評をする。
「ああ、なっちゃいないな。そこじゃない、そこじゃない」
「どちらも頑張って下さいませ・・・」
「分かっちゃいないな・・・僕だったら・・」
魔道具のボタンを押したわ。
☆☆☆試合会場
「僕だったら、こんな2人、瞬殺だよ!」
目の前の試合会場に転移したわ・・・・対戦者の2人を遮るように転移したわ。
「ほお、決勝戦でほざくか。貴様はロメオ・ブルグ」
「二年生、成績と剣術落第ギリギリではないか?」
「審判殿、特別試合を申請する」
「・・・殺さないを条件で許可する」
「誰か、彼に防具と木剣用意してくれ」
「ヒィ、そ、そんな」
「木剣で勘弁してくれよ。何せ瞬殺だからな」
「さあ、試合開始だ!」
特別エキビジョンマッチが始まって、ロメオ様はボコボコのピービコにされた・・・。正直に言うと嬉しいわ。
倒れて口から舌が出ている。大丈夫かしら。
「アグリッター嬢、婚約者殿で苦労されているな」
「お悔やみ申し上げる」
「いいえ・・・」
私の評判が良くなったわ。
ルン♪ルン♪だけど・・・ついに。
「アグリッター、その魔道具は何だ!」
「キャア!」
魔道具の事がバレたわ。
「はあ、はあ、はあ、道理でおかしいと思ったのだ。父上と母上にパーティーの準備はお前がやりなさいと怒られたぞ!」
・・・それは・・やって欲しいわ。
「先輩や同級生、だけではなく下級生からも少しは優しくしてやれと言われたぞ!」
・・・そうよ・・・優しくして欲しいわ。
「寄越せ!」
「キャア!」
魔道具を奪われたわ。そして無理矢理操作を聞かれたわ。
「このボタンを押せばお前は嫌な場所に行く。もう、さよならだ。婚約破棄だ!」
・・・そう、ロメオ様にとって私は嫌な奴になったのね。
だから、私は思い切って。
「私もロメオ様のこと大嫌いでした。婚約破棄受けますわ!」
と叫んだわ・・・
☆☆☆王宮研究棟
「私もロメオ様のこと大嫌いでした。婚約破棄受けますわ!」
「あら・・・」
気がついたら、ここは王宮の研究所らしいわ・・・
魔道具をくれた幼女がいたわ。
「良く来たの~、メアリー・フォン・ノースリアなの~」
え、王女様と・・・
「君、婚約を破棄されたのだっけ?失礼、私はメアリーの兄のオリヴァーだ」
「え、第三王子殿下・・・」
がいらっしゃった。
「ちょうど、メアリーに良い助手が欲しかったのだ」
「え、何故?」
「まだ、この魔道具は誰でも使えない。意思の強さが必要だ」
「なら、私が来たのは・・・」
「君の意思だ」
それから、私は王宮付になった。この魔道具を使える人材として重宝されている。
距離は1キロ以内。重さ人1人分、でも、これから伸ばす研究を続けているわ。
人材も発掘しなければいけない。構想は王国の兵站輸送だわ。
「次は平行して魔道レンジを開発するの~」
「はい、メアリー様」
齢5歳でいろいろな物を作られている。
前世の記憶があるらしいわ。
それからロメオ様は・・・
「あら、ロメオ様は・・・学園でも会いませんわ・・」
「ああ、彼は表裏卑怯の者として噂が立ち屋敷に閉じこもっているよ。彼は逃げ場所も選ばない卑怯者かもね。それと君に頼みがある。個人的な話だ・・・」
第三王子殿下から婚約を打診されたわ。
「アグリッター、実は婚約者になってもらいたい」
「はい・・・でも、私も逃げてばかりでしたわ」
「逃げではない。ここに来たではないか?」
婚約をお受けしたわ。
私、もう逃げないと決めましたの!
最後までお読み頂き有難うございました。




