英雄を狩る少女
リドリア王国の市場で、人々は壁際に座る少女にほとんど目を向けなかった。
彼女の服は破れていた。
マントは擦り切れていた。
黒髪は乱れていた。
両手には小さな木製の椀を持っていた。
空っぽだった。
「また浮浪者か…」
「年々増えているな」
「働く力もないようだ」
人々は立ち止まることなく彼女のそばを通り過ぎていった。
中にはコインを置いていく者もいた。
彼女に目を向けようともしない者もいた。
少女は何も言わなかった。
ただ見つめていた。
人々を。
商人たちを。
冒険者たちを。
英雄たちを。
なぜなら、その王国では英雄は有名人だったからだ。
像があり、
歌があり、
物語があり、
子供たちは英雄になることを夢見ていた。
しかし、少女は他の誰も知らないことを知っていた。
あの英雄たちの多くは…
ただのクズだった。
その夜、市場はゆっくりと人影を消していった。
松明の灯りが消え始めた。
少女は立ち上がった。
椀が地面に落ちた。
空っぽだった。
「今夜も夕食はなし…」
彼女は呟いた。
しかし、彼女の目はもはや疲れた様子を見せていなかった。
冷たく、
計算高い目だった。
彼女はマントの内側に手を伸ばした。
小さな巻物を取り出した。
巻物を開いた。
対象:
紅の英雄
レベル:
78
罪状:
村の虐殺
冒険者ギルドによる隠蔽工作
少女はため息をついた。
「またか…」
巻物を折りたたみ、彼女は城門へと歩み寄った。
城門の衛兵たちは彼女を見て笑った。
「おい、坊主。」
「夜の街は物乞いのする場所じゃないぞ。」
彼女は顔を上げた。
一瞬…
空気が揺れた。
目に見えない圧力が地面に降り注いだ。
衛兵たちは笑うのをやめた。
彼らの本能は危険を察知した。
少女は軽く首を傾げた。
「心配しないで。」
「仕事に行くだけよ。」
そして彼女は街を出て行った。
遠く離れた、衛兵に囲まれた屋敷で、紅の勇者がまたもや勝利を祝っていた。
笑い声。
ワイン。
音楽。
しかし、バルコニーに影が現れた時、誰も気づかなかった。
少女は宴の様子を見渡した。
「あなたが勇者…」
彼女の目が光った。
「なんてがっかり。」
彼女の手に短剣が現れた。
そして、完全な静寂の中で…
彼女は飛び上がった。
なぜなら、この世界では…
英雄が怪物に変貌した時…
誰かがそれを止めなければならないからだ。
そして、その人物は…
彼女なのだ。
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