クラスメイトが全員異世界召喚されたみたいだけど、俺だけ取り残され……あれ?
タイトルが全てです。
ある日の事だった。
とてもベタな架空の日本にある、とてもベタな架空の一般人と自称する逸般人な生徒がひっそりと在籍する高等学校。
その高等学校の2年のとある教室。
そこには平和な日常があった。
ほのぼの、のびのび、和気藹々。
クラスメイト達が複数のグループに分かれて、それぞれで楽しくおしゃべりし、はしゃぎ回り、特定の生徒へ会いに少数の3年の先輩や1年の後輩が訪れる。
中にはしゃべるのが苦手な生徒や、今日は1人でいたい気分の生徒が自身の席で本を読んだり寝ていたりする、とても平和な光景――――
――――の、はずだった。
「なんだ?」
教室の中の誰だろうか。 そんな声を上げたのが始まりだった。
その直後に起きたのが、床の強い発光。
「え?」 「なに?」 「は?」
急な発光で混乱し、素っ頓狂な音ばかり発する生徒達。
だがその中に、例外もいた。
「魔法陣? 異世界召喚? 集団転移?」
「まさか、なろうみたいなのが現実に起きるなんて!」
いわゆるオタクグループの、そっち方面が好きな連中だ。
その興奮ぶりは察せるが、実はよく見ると嬉しそうな顔はしていない。
まあ、気持ちは分かる。
他人を眺めているからエンタメになるのだ。 自分が本当にそんな立場になっても、主人公みたいな働きをできる自信なんて無いのだから。
「まぶしっ!!」
不測の事態で混乱して金縛りに遭ったように動くのを忘れてしまった中で、教室の床全体に浮かび上がった魔法陣の発光が強まった。
これはいよいよ……。
「うわーー!?」 「なんだーー!?」 「きゃーーっ!!」
光が強まり、明るくなりすぎて目の前の生徒すら視認出来なくなる位になって、いよいよこの魔法陣が発動してしまうのだろう。
――――…………――――…………。
光が弱まってきて、周囲を見渡せる様になる。
が、周囲は変わらず、教室だった。
のだが、教室内には誰もいない。 俺だけだ。
「なんだ? まさか、異世界クラス召喚で取り残されたパターンか? 1人だけ現代でチート使いになる展開か?」
なんて思ったのだが、窓の外の景色がなにかおかしい。
2年の教室は2階にあったはずなのに、高さが足りてない。
まるで1階教室にいるようだった。
それになにやら教室の外が妙に騒がしい。
なので状況確認のために教室を出ると、そこは少しの木が生えている平原だった。
それとなにやら、如何にも「王様でござい」と言った格好をした人と、西洋の騎士甲冑を着込んだ大量の人達もいる。
まさか……これは……。
「よくぞ我らの呼び掛けに応じてくれた。 異界の勇者よ!」
俺だけ異世界召喚だった!!?
俺はそんなのやりたくねーよ! 帰らせて!!!
プロローグではなく、これで終わりの一発ネタです。
でっかい教室全てを対象とした集団転移っぽい魔法陣を出しといて、呼んだのは1人かーーい!?
しかも三人称のナレーションっぽい書き方してたのに、実は一人称だったんかーーい!!?
と読者様に言わせたいだけの作品でした。